第46話 水族館②
「この度はイルカショーにお越しいただきありがとうございます!」
館内を一通り見終わった俺たちは館内にあるレストランで腹ごしらえをして、イルカショーを見に来ていた。
「今日、いろんな芸を見せてくれるのはココちゃん、ハルちゃん、アキくんの3人です!」
「かわい~~!!!」
「......」
全く可愛さがわからん!いや全くとは言わんがそこまで夢中になるほどか?
ココちゃんは後頭部(?)らへんに白い模様があって分かりやすい。
ハルちゃんとアキくんの違いは一見判別できない。見る人が見れば見分けがつくかもしれないが素人目の俺にはわからない。
「ハルちゃんとアキくんの違い全然ないね。」
「そうだな。」
どうやら見分けがつかないのは俺だけではなかったようだ。
「でも何となくなら見分けがつく気がする。」
「奇遇だな、俺もだ。」
まさかここまで同じだったとはな。
「ハルちゃんって陽華に似てるよな。」
「アキくんって明さんに似てるよね。」
「「...えっ?」」
ハモった...?
「そうか?」
「そうだよ!特に全体的にやる気のない感じとか!」
「それ俺のこと貶してない!?」
ちょっと泣きそうだよ...
「そ、それよりハルちゃんはどうして私に似てると思ったの?」
「あ〜、それはだな。」
「うんうん!」
これ言うの恥ずかしいんだがな。
「なんか元気があるのと、なんか雰囲気が似てる気がした。」
「雰囲気?」
「そう。ただ曖昧だからはっきりと言葉では言えないんだけどな。」
「ふ〜ん。言葉で言えないことを分かっちゃっうんだ〜。」
またにやにやしながら聞いてくる。最近こういうことが多くなってきたな。美結の影響が出始めてるぞ。ちょっと仕返しでもしておくか。今回は指向性を変えてみよう。
「そういう陽華はどうやら俺のことはあまり好きじゃないみたいだけどな。」
「ど、どういうこと?」
「だって俺のことはやる気のない感じに見えるんだろ?俺のいい所言えないってことはそこまで俺のことは好きじゃないんじゃないか?」
「な、何言ってるんですか!?」
「悲しいな〜。」
「違います!明さんはカッコイイし!可愛いし!しっかりしてるし!おもしろいし!優しいし!それに、」
「もういい!分かったから!ステイ!」
やばい。これはやばい。顔が熱すぎる。恥ずかしすぎるだろ。もしかしてこいつ、
「からかいに弱すぎ?」
陽華は我に返ったのか顔を真っ赤にしてプルプル震えてる。
「わ、私はからかうのはいいけどからかわれりゅのは苦手なのであります。」
「噛んでるし口調がおかしい!」
そんな話をしているうちにイルカショーはどんどん進んでいく。
「ほ、ほらイルカショー見るぞ。すごいぞ。」
「そ、そうだね!」
「それでは最後に高い場所にあるボールに鼻でタッチしてもらいま〜す。」
もう終わりかよ!全然見れなかった。
「まずはココちゃんです。ココちゃん!GO!」
ココちゃんは難なくクリアした。
「おぉ!すげ〜!」
「綺麗です!」
「次はハルちゃんとアキくん!実はこの子達、カップルなんです!」
「「そうなの!?」」
「なので、息のあった演技を見せてくれます。ハルちゃん、アキくん!GO!」
今しれっとすごいこと言ったよね。
パシャン
ハルちゃんとアキくんが跳んだ。とても息が合っている。それはとても美しく綺麗だった。
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