彼女の熱

バブみ道日丿宮組

お題:出来損ないのぬくもり 制限時間:15分

彼女の熱

「ねぇ、そろそろ離してくれない?」

 困った様子の声色を彼女がするが、

「やだ」

 頑固として拒否した。

 今日は掃除の時間で、一緒にいる時間が少なかったんだ。その分部屋でぬくぬくと密着していたい。

 だから、ベッドの上から逃がすつもりはない。

 せっかく恋人同士になれたのだ。思う存分抱き合いたい。もとい入れたい。

「また大きくして……。さっきやったばっかりじゃん」

 おっしゃるとおりだった。

 でも、彼女の温もりに包まれてたらそうも言ってられない。

 男の子はどんなときでも子ども繁栄、もとい赤ちゃん製作体であそこがびんびんなのだ。

「まぁいいけどさ。あなたとの性行為は楽しいからね」

 まるで他の人のを体験したような言い方だ。

「困った顔しちゃって。初体験があなただって言ったんだから、少しくらい信じてほしいなぁ」

「……うん」

 胸の谷間に顔を突っ込む。

 温かい。こんなに人間って温かいんだって、そう思えてしまうくらい、僕は彼女に依存してた。

「あんま遅くなると、お母さん帰ってきちゃうよ」

「泊まってくれるから、大丈夫」

 こういえば、彼女は家に泊まってくれてる。

「そういうことじゃないんだけどな……」

 彼女との付き合いは、親公認だ。

 お互いの両親との交流は滞りなく行ってる。

 お泊り会をしたとしても、反対されることはない。

 そのため、平日に泊まることを伝えたとしても、反対されることはない。

 部屋のタンスの中には、彼女の衣服、タオル、洗面道具、お化粧道具などなどが収納されてる。いつでも滞在可能だ。

 残念脳と言われようが、僕は彼女にここにいてほしかった。

 学校じゃ、近くによれる回数は少ない。

 日陰者の僕は陽気者の彼女の側で自然体として、和気あいあいとできないのだ。

 学校でいじめられたりはしないが、あまり近寄れない。彼女との関係は結構知られてるが、よく思われてない。裏で悪口を言われてるのはもう周知済み。

「もう一回する?」

「もうちょっとぬくぬくしたら」

 大好きを表現できないのが残念でしかない。

 彼女をとられることは、避けたい。

 NTRになんてさせたくない。

「……温かい」

 この熱をいつまでも感じていたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女の熱 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る