物語は急がず遅すぎず、引き籠っていた主人公の心を解きほぐしながら、優しく進んで行きます。
『精霊は、なぜ滅びたか。』?
靄がなかなか晴れないもどかしさと、徐々に解き明かされて行く世界の理。
話数が進んで行く度に、真っ白にしか見えなかったジクソーパズルに、徐々に美しい彩が見え始め、作者の描くこの世の真理を知りたくて……その空白を埋めたくて、次の話へその次の話へと読み進めてしまいます。
最後は美しく描かれた世界を目の前にして、その世界を現実のものとして受け入れている自分に気が付かされますよ……。
自分の人生観や世界観をも変える事が出来る作品かも知れません。
その価値がこの作品にはあります。
磨糠 羽丹王(まぬか はにお)