一緒に居ようよ

作者 須能 雪羽

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★★ Very Good!!

不器用で、どちらかといえば世渡りが下手……そんな共通点を持つ二人の主人公が奮闘する、そんな物語。

決してキラキラした二人ではないし、何もかも逆転して上手くいく……という雰囲気でもない。寧ろダメな部分を抱えた者同士が支え合い、お互いの弱点を補い合って、それでも一人前とはいかないけれど……それでもささやかな幸せに向かってゆっくりと歩んでいく――どこか頼りなくて応援したくなる、温かい気持ちにさせてもらえるストーリーが好印象。

「華々しい成功ばかりが幸せのカタチではない」という、当たり前だけども忘れがちなことを思い起こさせてくれる、そんな作品です。

★★★ Excellent!!!

苦労人気質のスーパーの従業員・晴男さん。
モラハラ彼氏に振り回される彼女・まひるちゃん。
二人の視点が交互に展開していく構成の物語です。

冒頭から共感の嵐でした。
仕事や人間関係ですり減っていく精神や自尊心。
楽しいことならば誰とでもそれなりに楽しめるけど、苦しい時に荷物を預けられる相手は限られてくるということ。
読者から見ると、似た部分を持つ二人それぞれの悩みが、欠けた部分を上手い具合に埋め合っていく様がよく分かります。

絶妙なのは、まひるちゃんの彼氏・品下のキャラ性の描き方です。いるいる、こういう男。ものすごくリアル。
見事なまでにクズですが、二人が出会えたのは彼のおかげなので、ある意味キューピッドかもしれません。

善良だけど完璧とは程遠い、どこにでもいるような二人の、穏やかな幸せへと続く道程のお話。
この先もいろいろあるのかもしれませんが、「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」がこれほど似合う二人もいないのでは……と思えるようなラストシーンでした。
人生で大事なものが何なのかを教えてくれる、素晴らしい作品です。すごく好きなお話でした!