いわゆる、『イイ話』を書こうとすると、故人を悼むようなしんみりとした作品に遭遇しやすい。
もちろん、ダメ、とは言わないが。
命の尊さや思い出の中の切なさを物語の主軸に据えるのは、安易なだけに比較されれば類似作も出てくるし、被ったり埋もれたり、は日常茶飯事だろう。
その点、こちらの作品は一線を画する。
後悔や、感謝や、老いていく命への描写を織り込みながら、スポンサーのカップ麺に対するその仕打ちはどうなのだ!? とすら思える、憎めない祖母からの意趣返し。
その全てが、愛情の根底にあることも欠かせない。
そうそう、こういうのでいいんだよ。
生きる、とは、食うことでもある。美味くても、不味くても。
育つも、老いるも、同義である。
死を思うことだけが、命の尊さの量りではあるまい。
この祖母のキャラクター性に、敬意を表したレビューを贈ろう。