絵描きの夢

りんごあめ

絵描きの夢


 あるアパートに絵描きが住んでいました。その絵描きは絵描きになりたい絵描きだったので生活のために毎日仕事に行き、その合間に絵描きになるための絵をなんとか一枚完成させたいと思っていました。

 朝起きてシャワーを浴び、朝ごはんにパンを一枚食べて仕事場へ向かいます。全然好きではない仕事を終えて家に帰ってくる頃にはぐったりと疲れ切り、何をする気も起きません。絵描きのキャンバスはいつまで経っても真っ白なままでした。なんだかその真っ白なキャンバスが日に日に存在感を増していて絵描きはどんどん追い詰められるような感覚に陥りました。溜まったほこりのせいかもしれません。

 精神的にも追い詰められてきた絵描きは思い切って仕事を休みました。時間さえあればきっと描けると思ったからです。しかし、陽が傾き、夜になっても絵描きはとうとう筆を持つことさえ出来ませんでした。

 絵描きは今日も描けなかったというフラストレーションと明日の仕事への憂鬱を抱えたまま眠りました。そして翌朝、目が覚めても絵描きは全く嬉しくありませんでした。新しい朝を歓迎できるだけの気力も希望も絵描きにはありませんでした。


 その週も、次の週も、何か月か経ってもこんな毎日が続いたので絵描きはとうとうキャンバスを見ることもやめてしまいました。

 絵描きの心の奥に確かに残るほんの僅かな描きたいという願望も他の重苦しいものに押し潰されて消えてしまいそうでした。その重たいものは絵描きが思う以上に深く絵描きの心も身体も蝕んでいきました。絵を完成させたいという絵描きのたった一つの夢さえも今は重たいものとなって絵描きを苦しめ始めていたのです。

 ある日絵描きは会社を辞めてしまいました。絵を描くことも明日のことさえ、もう何も考えたくなくなってしまったのです。

 何者でもなくなったその日、絵描きはとにかく何もしないことを心に決めました。ベッドに行くことも面倒くさかったので床に寝転がって窓から見える小さな空をぼんやりと眺めました。お腹も空かなかったのでご飯を食べる必要もないし、夕方になってももう明日の仕事のことを考えて嫌な気持ちになることも、いちいち休む理由を考える必要もありません。これは絵描きにとってとても幸せなことでした。そして久しぶりにぐっすりと眠ったのです。


 次の日もその次の日も床に寝転がって一日を過ごしました。絵描きの部屋からは空がよく見えたので退屈もしません。空には雲が流れていくし、時々鳥が飛んだりしてまるで空のスクリーンに映し出される映画を見ているようで絵描きはそんな毎日が楽しくなってきました。


 そのうち絵描きはもっと大きなスクリーンを求めるようになりました。

 ある日絵描きは家から出て広い原っぱにやってきました。誰もいない原っぱでごろんと仰向きに寝転がると絵描きの真上には大きな空のスクリーンが広がってきました。どこまでも広がる空の下で絵描きは思い切り深呼吸しました。すると絵描きの身体中に新鮮な空気が流れ込み、まるで身体が宙に浮いているような感覚がしました。絵描きはなんだかふわふわしながら空のスクリーンを眺めました。

 その日の空は本当によく変わっていく空でした。絵描きの上をたくさんの雲が形を変えながら通り過ぎて行きました。大きな塊の真っ白な雲やどこかで逸れてしまったような小さな雲、小さい雲は早く流れて大きな雲に追いついて、やがて一つの雲になったり、今度は大きな雲の端っこから千切れてふわふわとした綿飴みたいな雲になったりと、とにかく忙しい空でした。

 そんな空を見ながら絵描きはふと、少し前の自分を思い出しました。いつも何かに追われて、何者かになろうとしては失敗し、それでも生きなくてはならなくて、その日その日をただ必死に夜が来るまで走り続ける、そんな風にして絵描きは生きてきました。

「あぁ、辛かった」

 絵描きは声に出して呟きました。

 そんな生き方しか絵描きは知らなかったのです。この広い空を見ているとそんな日々がずいぶん遠い昔の出来事のように思えてきました。今ここで何者でもなくなっってしまった自分について空に問いかけてみます。


「なぁ、空よ。今日一日のこの自然の中に私の居場所はあっただろうか?」


 空は何も答えずに雲がただ流れ続けていましたが絵描きは気にせず空のスクリーンの下でもう一度目を閉じました。

 雲は空に、草木は大地にしっかりと根をはり、風は流れて次の空気を運んでくる。そんな在るべき場所に在るべきものがきちんと在る、そんな場所にいることに絵描きはとても心地良さを感じました。

 絵描きはふと私にもこんな居場所があったらいいのに、と思いました。


 目を開けた時、空が茜色に変わっていました。西の空からはみ出してきたオレンジ色が絵描きのスクリーンを鮮やかに染めて、それは一日の終わりを告げる色でした。絵描きは起き上がって、服についた草を払うと空に向かって言いました。

「明日もくるよ」

 絵描きは返事も聞かずに家へ帰っていきました。


 次の日も絵描きは昨日と同じ場所へやってきました。そして昨日と同じようにごろんと寝転がり目を閉じました。こうしていると絵描きはいつか人間であることも辞めて、この自然の一部になれるような気がしていました。そしてこのままじっとその時を待つのも悪くないと考えていました。

 どれくらい時間が経ったでしょう。絵描きが目を開けた時、絵描きの目の前には大きな雲がありました。その雲は動かず絵描きをじっと見つめていました。

「お前は誰だ?」

 大きな雲は絵描きにそう問いかけました。

「ここで何をしている?」

「お前は何者だ?」

 次々に飛んでくる質問に絵描きは戸惑いつつ自分が何者か必死に思い出そうとしましたが突然の質問に絵描きは焦っていたので答えが見つからず、ポケットの中を探りました。

 すると使いかけの黒い絵の具がありました。絵描きは絵の具を見せながら

「私は絵描きです」と言いました。

 しかし大きな雲は納得していないのかなかなか動きません。仕方がないので今度はカバンの中を探ると古いスケッチブックが入っていました。それは絵描きが初めて買ったスケッチブックでしたが何も描かれてはいません。絵描きはその真っ白なスケッチブックを見せて

「ほら見てください。私は絵描きなんです。何も描いてないけど・・・これでは証明になりませんか?」と必死に訴えました。

 雲は納得したのかゆっくりと空へ昇り、次の風に乗ってどこかに流れていきました。

 絵描きはホッとしてその場に座り込みました。それと同時に自分が絵描きだということを思い出しました。なんだかとても不思議な気分でした。自分のことをとっさに絵描きだと名乗ったことにも、自分が絵描きだということを思い出したことにもなぜか悪い気はしませんでした。


 そこへ一羽のカラスがやってきました。

「なぁ、あんたは絵描きなんだろ?」とカラスが話しかけてきました。今日はいろんな存在が私に話しかけてくるなぁと思いながら

「そうだよ。絵描きになりたい絵描きなんだ」と答えました。

「さっきの雲は時々ああやってお前は何者なんだって確認しにやってくるんだ。しかも何回だってやってくるんだ。全く面倒くさいったら」

 カラスはうんざりというように言いました。

「カラスってだけではだめなのかい?」と言うとカラスは

「違う!俺様はただのカラスじゃない!」

 カラスは興奮しているようで羽をバタつかせながら必死に抗議してきました。

「俺様は作曲家のカラスだ」

 カラスは今度は誇らしげにそう言いました。

「まあ、正確には作曲家になりたいカラスだが。あんたと同じさ」

 どうしてかは分からないけれど絵描きはこのカラスともっと仲良くなりたいと思いました。それから絵描きとカラスは日が暮れるまで世間話をしました。絵描きにとってとても楽しい時間でした。絵描きとカラスはまた明日、と小さな約束をしてそれぞれの家に帰っていきました。

 次の日、絵描きが原っぱにやってくるとカラスが鳴いていました。どうしたのかと聞くとカラスは

「作曲をしているんだ」

 と言いました。

「どうやって作るんだい?」

「御覧の通りさ」

 カラスはなんとなく手段を見失っているように見えました。ただ鳴いているだけで、素晴らしいメロディーが浮かんだとしても次の日には覚えていないのだ、とカラスは言いました。絵描きがなんとかカラスの力になれないかと考えていると

「なあ、俺の絵を描けるかい?」とカラスが言いました。

「いいよ」絵描きはカバンからスケッチブックと鉛筆を出して

「私の絵の記念すべき第一号になってくれるのかい?」と言いました。

「もちろんさ。で、どんなポーズを取ればいいんだ?」

「そのままでいいよ。なるべく動かないでくれるかな」

「なんだ、せっかくかっこよく決めたかったのに。なあ、かっこよく描いてくれよな」

 カラスは注文をつけるとどこか嬉しそうに横を向きました。

 カラスはよく見るととても綺麗な顔をしていました。絵描きは一度深呼吸をして、黒色の鉛筆でカラスを描き始めました。何かを描くのは久しぶりでした。削りたての鉛筆は少し尖りすぎていましたが、それでも絵描きは夢中で描いていきました。カラスは黒色がよく似合っていました。絵描きは黒色をどんどん濃くして描いていきました。絵描きは絵を見せたときのカラスの反応がとても楽しみでした。喜んでくれるかな、素晴らしいと褒めてくれるかな、そんな気持ちで描いていきました。

 カラスの絵が出来上がりました。

「出来たよ」

 絵描きは少し緊張しながらカラスに絵を見せました。カラスは絵を見た途端に

「なんだこれは!こんなの俺じゃない!」

 と言って怒り出しました。

「こんな真っ黒で、真っ黒で真っ黒で何にもなくて、俺様がこんな姿をしているわけないじゃないか!」

 カラスは怒りながらくちばしで絵をつつき始めました。絵が破れてボロボロになるまでつつき続けて、どこかに飛んでいってしまいました。

 絵描きはボロボロになった絵を拾い集めて家に帰りました。


 何がいけなかったんだろう、カラスはなんであんなに怒ってしまったのだろう、家に帰ってからも絵描きはカラスのことばかり考えてしまいました。しかしどれだけ考えても絵描きにはカラスが怒った理由がわかりませんでした。

 絵描きにとっては絵描きが初めて描いた絵をボロボロにされたことよりカラスが喜んでくれなかったことの方が悲しかったし、カラスが怒ったことよりもうカラスと会えないかもしれないことの方が辛いことだと思っていました。その夜、絵描きはあの怒りん坊のカラスのことを想って眠りました。そしてまた会いたいからあの原っぱに行くことに決めました。

 次の日、原っぱにカラスはいませんでした。絵描きは残念に思いながらもカバンからスケッチブックと鉛筆を取り出してもう一度あのカラスを描こうとしました。カラスの姿を思い出しながら描こうとしましたが何かしっくりきません。絵描きは諦めてごろんと寝転がりました。最初にここに来た時のようにただ空をぼんやりと眺めました。

「あのカラスは今ごろ何をしているんだろうなぁ」

 絵描きはカラスのことを想いました。


 その時、頭に何かコツっと当たる感覚がしたので絵描きは目を開けて起き上がりました。そこには綺麗な青色のガラス玉とカラスがいました。

「これ、あんたにやるよ。綺麗だろ?俺の宝物なんだ」

「そんな大切なものをどうして私にくれるんだい?」

「だって、なんて言うかさ…昨日はごめんよ。絵を破いたりして悪かったよ」

 カラスは申し訳なさそうに言いました。

「また会えて嬉しいよ」絵描きはもう会えないのではないかと不安になっていたこと、ずっとカラスのことを考えていたことを伝えました。

「あんたは変わっているな。もう許してくれないと思っていたよ」

「絵はまた描けばいいけど、君は大切な友達だからさ」

 仲直りした絵描きとカラスはまたいろんな話をしました。

「あんたとこうしているとすごく楽しいんだ。だけどどうしても上手くいかない事があるんだ」カラスが言いました。

 絵描きはきっと作曲のことだろうと思いました。


 絵描きは帰り道、作曲家になりたいカラスのために何か力になれないか考えていました。絵描きはふと子供の頃にお母さんに買ってもらったおもちゃのピアノのことを思い出しました。急いで家に帰った絵描きはずっと開けていなかった押し入れを開けました。もう何十年も前のおもちゃだから残っていないかもしれませんでしたがそれでも絵描きは必死に探しました。

 押し入れからはいろんな物が出てきましたが絵描きはそれらには目もくれずどんどん出していきました。すると一番奥に大きな段ボール箱がありました。あれだ、と絵描きは思いました。段ボール箱の中には絵描きが子供の頃に遊んだおもちゃたちが入っていました。車と電車、ラジコン、動くパンダのぬいぐるみ、クレヨンに大好きだった絵本、たくさんたくさん出てきました。

「あった!」絵描きは段ボール箱の一番下におもちゃのピアノを見つけました。大切に取り出して鍵盤を叩いてみるとポーンと音が鳴りました。絵描きは出鱈目な曲を一曲弾いて音を確かめて眠りました。


 次の日、絵描きはおもちゃのピアノを持って原っぱにやって来ました。そこへカラスもやって来ました。

「今日は君にプレゼントがあるんだ」

「何だい?」

 絵描きはおもちゃのピアノを見せました。

「これはピアノと言っていろんな音が出る楽器なんだよ」

 と言って鍵盤を叩いて音を出して見せました。

「ほら、こうやって音が鳴るんだ。これがあれば君は曲が作りやすくなるんじゃないかな」

 絵描きはカラスが喜んでくれると思っていましたが、カラスは下を向いたままで何も言いませんでした。

「どうしたんだい?」

 絵描きがたずねるとカラスは

「いらない」ときっぱりと言いました。

「これは俺の夢なんだ。あんたには関係ない。それとも何か俺の夢を奪うつもりか?」

 カラスはそう言うとそっぽを向いてしまいました。絵描きはびっくりしました。だた、友達のカラスのために何かしたいと思っていたからです。

「私はただ君を助けたいというか、力になりたいんだ。友達だから。それに君の夢を奪ったりしないよ」

 カラスはまだこっちを向いてはくれませんでした。

「ねぇ、夢ってさ、ずっと持ってると重たくないかい?」絵描きはカラスに問いかけました。

「夢って素晴らしいんだ。だけど重いんだよ。今、君の夢が君を苦しめていないかい?重たい荷物になっていないかい?」

 カラスは振り返って言いました。

「じゃあどうすればいいんだよ?諦めればいいのか?捨てればいいのか?」

「捨てなくていいんだ、叶えるんだよ」

 絵描きは静かに言いました。

「君が叶えるんだよ」

「ありがとう」


 それからカラスはおもちゃのピアノをくちばしでつつきながら音を出していきました。とても楽しそうに音を鳴らすカラスを見て絵描きも楽しい気持ちになりました。


 それから毎日おもちゃのピアノで曲を作り始めたカラスの隣で絵描きも絵を描くことにしました。まず最初にカラスが曲を残せるように五線譜を描きました。そしてそれを大切に持ち歩くことにしました。


 それから絵描きはもう一度カラスを描きたいと思いました。しかし不思議なことに絵描きにはカラスは真っ黒には見えませんでした。絵描きはカラスの見た目ではなく内面を描きたかったのです。家に帰ってからも夢中になって描きました。

 プライドが高くて頑固だけどものすごい情熱を持っているカラス。わがままで面倒くさいけど嘘をつかないでまっすぐに生きるカラス。怒りん坊だけど気にしいで本当は優しいカラス。そんなことを想いながら絵描きはいろんな色を重ねてカラスを描きました。


「カラスにはまだ内緒にしておこう」

 絵描きはカラスの曲が出来上がったら絵を渡すことにしました。


 それから絵描きの描いた五線譜に少しづつ音符が並んでいきました。


 その日は朝から雲が厚く、今にも雨が降り出しそうな天気でした。

「雨なんか降ってもらったら困るんだよなぁ」

 カラスは空を見ながら呟きました。

 するといつかの雲がやって来て

「任せておきなさい」

 と言って、空一面に広がる灰色の雲たちをどこかに連れて行ってくれました。絵描きとカラスの空には太陽が輝き、カラスはいつも通りに曲作りに専念しました。夢中になっているカラスの代わりに絵描きは

「ありがとう」と空に向かって叫びました。

「みんな君のことを応援してくれているね」

 そんな絵描きの声もカラスには聞こえていませんでした。

 最初は独りぼっちだったカラスの周りにはいつの間にか他のカラスや鳥たちが集まってくるようになりました。みんな絵描きと同じようにカラスの曲を楽しみにしているようでした。



 カラスの曲があと少しで完成するという時にカラスは突然いなくなってしまいました。絵描きは心配で心配で仕方がありませんでしたがとにかく毎日カラスを待ち続けました。しかしそれだけ経ってもカラスはもう絵描きの前に姿を見せませんでした。

「なぁ、雲よ。教えてほしいことがあるんだ」

 絵描きはいつかの雲を呼びました。

 雲は最初に話した時のように絵描きの真上にやってきました。

「カラスを知らないかい?」

 絵描きは尋ねました。

「あのカラスはもう、ここへは来ない」

 と、雲はきっぱり言いました。

「どうしてだい?もうすぐ曲も出来上がるというのに。もしかしてカラスに何かあったのですか?」

「あのカラスは、もうカラスという器では収まりきらなくなったのだ。今度は作曲家という運命を背負って生まれてくるだろう。その準備をするために一度還った、それだけだ」

 雲は続けて言いました。

「もちろんカラスはそんなことは何も知らない。自分で作った曲のことも忘れて生まれてくる」

「そんなぁ、やっとここまで作ってきたのに。もうすぐ完成して仲間たちに披露して、みんなも楽しみにしていたのに。それから、私が描いた絵も渡したかったのに……」

「お前のことも忘れている」

 絵描きはがっかりしました。がっかりして悲しくて、聞きたいことはたくさんあるのに言葉がこれ以上見つからず、雲をにらみました。

「だけど、必ずこの世界に戻ってくる」

「そしたらまた、お前が助けてやればいい」



 絵描きは完成したカラスの絵を雲に見せました。

「気が付いたらこんなカラスになってて…私の中でカラスはこんな風に見えました」

 雲は絵描きが描いた真っ黒ではない鮮やかなカラスの絵を見て

「うん、この絵ならばあのカラスは喜ぶだろう」

「お前も絵描きになったのだな」


 絵描きは雲の言葉を大切に抱きしめました。


「これから、お前はどうする?」

 雲は絵描きに問いかけました。

「ここで、絵を描いてカラスを待ちます。カラスが見つけやすいように何か目印を探さなきゃ」

 雲は絵描きの答えに満足そうに空の高い所へ昇っていきました。


 カラスはいなくなってしまったけれど、カラスが作った未完成の曲は今でもカラスの仲間たちが電線で音符となって受け継がれています。

 絵描きはその光景を絵にしました。

 どこかのミュージシャンはその光景を歌詞にして歌いました。

「なぁ、カラス、そこから見えてるか?君は作曲家になったんだよ。偉大な作曲家には未完成の曲ってあるもんだ」


 それから絵描きは毎日絵を描き続けました。絵描きのキャンバスにはカラスからもらった奇麗なガラス玉がぶら下がっていて、太陽の光でキラキラ光っています。

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