『反抗期』

やましん(テンパー)

『反抗期』


  『これは、ギャク的妄想的ホラであり、フィクションです。』



          


  〽じゃかじゃか、じゃんじゃん、じゃじゃ、じゃんじゃん。



 え、お忙しいなか、毎度、ご来場、ありがとうございます。


 さて、とある、うっとおしい11月の、晩のことです。


 中上下町の一角に、やましんという、役立たずの、遊び人の小屋がありました。


 若い時分は、それなりに奉公に出ていましたが、出来が悪いのと、反抗的なのが、災いし、出世はできず、事実上、追い出されて、今は、小屋に籠ったっきり。


 食うや食わずの生活をしております。


 もはや、自分もこれまでか、と、観念をし始めてはおりましたが、生来思い切りが悪い。


 この晩も、壁に向かって、ただひたすら、じっとしていた、その、やましんの右手首が、もぞもぞと、うごめきはじめたのでした。


 そうして、こう言い放ったのです。


 『やましん、早く、カットしろよ。でないと、どんどん膨らんで、爆発するぞ。カットしたら、上手く行けば、助かるかも。さあ、早く。』


 すると、右の手首当りが、むすらむくらと、膨らみ始めたのです。


 『おわわあわ。なんだあ。こりは。』


 様子が判らず、びっくりしているやましんの、こんどは、左足首が、同じように膨らみ始めました。


 『こら。やましん、腕はほっといて、こっちっを、カットしろ。ほらほら、爆発するぞ。』


 『ひえ。』


 ところが、間髪を入れず、首筋が叫んだのです。


 『ばあもん、カットするなら、首と決まっている。ほらほら、中身が、噴出するぞぉ。ほらほら。』

 

 『うな、ばかなあ。』


 やましんが、叫びます。


 しかし、さらに、こんどは、お腹が言い出しました。


 『なんという、たわけたことを。古来、この国では、しくじったサラリマンは、切腹ということになっておる。きさまも、サラリマンだったなら、潔く腹を切れ。』


 そうして、お腹もどんどんと膨らんで、煙が立ち始め、まさに、大噴火寸前になりました。


 まるで、風船人間です。


 たまらず、やましんは、大きく、叫んだのです。


 『なにをお~~~~~! おまえたち、朝ごはんと昼ごはん、抜き!』


 すると、膨張が停止し、なにやら、首と腕と、お腹と足が、ひそひそ話しを始めましたのであります。


 何、言ってるのかは、わかりません。


 やがて、代表して、首が言いました。


 『うおほん。我々は、毎日、毎日、三食まるまる、65円のカップ麵ばかりを喰わされる。これでは、たまらない。善処しなければ、もはや、爆発する。』


 『なんとお。善処しろったって、無いものは出ない。』


 『じゃあ、爆発してやる。やましんなど、おさらばだぜ。』


 『まったまった。ふうん、先に爆発されても、困るなあ。仕方ない。じゃあ、毎日とは行かないが、二日から三日に一回程度、200円の、とうふそうめんをメニューに入れよう。100円のお野菜付き。最大限譲って、そこまでだ。』


 『いや。それでは、不足だ。たまには、肉を入れなさい。』


 『それは、無理だ。肉類は、高いんだ。コレステロールも高い。』


 『じゃあ、爆発する。』


 『まった、まった。ううん。じゃあ、198円の、鶏肉ステーキを、たまには入れよう。ものすごい譲歩だ。』


 『月に一回くらい、ころっけを用意しろ。』


 『ころっけ。ふんまあ。コロッケなら、安いし。わかった。いいだろう。』


 『ひそひそひそ。・・・・・・・よかろう、それで、二か月様子見するが、守らなければ、容赦なく、爆発するぞ。』



    ****************



 二か月後、やましんちで、小さな爆発が起こったのです。


 幸いに、奥さんのびーちゃんが、夜中に来ていたので、すぐに、病院に運び込まれましたが、左足首と、右手首が、軽い、謎の爆発を起こしていました。


 医者は、首をかしげました。


 でも、優秀な病院だったので、なんとか、命は助かったのです。


 それから、しばらくは、その病院で食事を食べたおかげか、それ以上の問題は起こらなかったのですが、医療費が払えなくなりそうだったので、さっさと、丁寧に、追い出されました。



 その先は、もはや、お話にさえ、できないような、それはそれは、恐ろしいことが、つぎつぎに起ったのですが、残念ながら、これにて、お時間。この続きは、また、いつか!! 



  〽じゃじゃじゃかじゃんじゃん、ぴ~~~ひょろひょろ。




 


     ****************

  

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『反抗期』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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