第2話 村を守る3人組

 今日もいつも通り、あそこには大勢の警備が集まる。


「おうテール、今日も特訓か?」


 何度か顔を合わせた警備のおじさんが、俺の頭をポンと叩いた。


「おじさんこそ、毎日警備とか大変だね」

「まあな。まだ実物を見た事すら無いんだ。本当は平和の為に処分された……なんて噂もあるけどな」


 もしそうなら、とんでもない骨折り損だ。まあ見張ってるだけで収入があるから悪くないのかもしれないけど。


「んじゃ、頑張れよ」

「ありがと。おじさんもね」


 ──かく言う俺は、空き地へやって来て修行の毎日。自給自足のこの村で、魔物と戦ったりする為に必要なスキルだ。


 ただ俺は……父さんに言われた事に従っている感じだけど。


『テール……強くなりなさい。いざという時に、大切なモノを守れるように』


 父さんは昔、村を出て冒険していたらしい。その中でよく危険な目に遭ったとか。


 だからかな、物心ついた時からそう教えられた。父さんからは武術も教わった。カッコ良かったし、体を動かすのは好きだから、毎日飽きずに続けてきた。あと少しだけ魔法も。


「はっ! はっ!」


 拳で空を切る。実際に本気で人を殴った事はない。


「──おーいテール!」


 少しして、聞き慣れた声がした。


「おいっすー、今日も早いな」


 幼い頃からこの村で一緒に遊び、途中から組み手をやるようになったトラメナ。

 手品が大好きで、いつもシルクハットを被っている。


「ふっ、流石は僕のライバル。精が出るじゃないか」


 同じく組み手をやっているエルヴィ。キザっぽく鼻に付く喋り方をする。

 剣術が得意で、なんか俺をライバル視している。


「んじゃ、今日もやるか」

「おう!」

「ふふ、今日こそ僕が勝ち越す」


 こうして3人集まって、仲良く過ごして……この村が大好きだ。だからこそ村を守れるように、強くなろうって思える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

時空を駆ける者達(旧:棒人間大戦) スピニングコロ助 @spinningkorosuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ