お前マジでふざけんなよ勇者

魔王にさらわれたお姫様は、塔の中で毎日祈りを捧げながら、自分を救い出してくれる勇者様を待ちます。ここまでは物語やゲームの世界ではありがちなやつです。ありがちですけれども、女子なら一度は憧れたシチュエーションかもしれません。

が、この小説の何が面白いってここからですよ。

勇者、来ません。
えっ、来ないとかある?
いや、あるにはあるよ?
魔王の部下にやられちゃったとか、部下じゃなくても魔王と戦って敗れたとかね?

違うんですよ。
逃げたんですよ。
えっ、逃げるとかあるんだ。
いや、あるよね、勇者ったって人間だもの!

ってなわけには行かんのですよ。
おい、マジでふざけんなよ勇者!

さぁ、ここから囚われのお姫様はどうする。
何もかも諦めて魔王の妻になる?
それとも新しい勇者が来るのを待つ?

いいえ、どれも違います。

だったら私が魔王を倒してやるわ!

なんとも勇ましいお姫様です。
ですが、さすがにこれまで蝶よ花よと大事にされてきたお姫様が、よっしゃいっちょ魔王倒しますか、ってことにはならないわけです。身体作りとかね、意識改革というかね。
というわけで、場内で仲間を増やし、打倒魔王を旗印に頑張るわけですが――、

もう!百合!
百合があるじゃない!
めくるめく百合の世界じゃない!(※百合ばかりではありません)

コメディも織り交ぜつつ、百合もありつつ、だけれども、手に汗握る展開もありつつの大盤振る舞いな本作!
どうやら『第一章』が終わったみたいです。これは第二章も期待しちゃって良いやつ?!

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