木こりの泉 現代版
朽木桜斎
JKはろくでなしの兄貴を泉の中へ突き飛ばすが――
「うお?」
ごぼごぼ……
泉の中から女神登場。
「あなたがここに落としたのは、大学受験に失敗してヒッキーになり、二十歳を過ぎても働きもせず、いい年こいて俺は間違って生まれてきたとか中二全開にこじらせてるポンコツの兄貴ですか? それとも東大に合格してハーバードの院を修了し、上場企業のマーケティング担当をしているけっこうなチートスペックの兄貴ですか? それとももしかして、それに輪をかけて医師免許・弁護士資格・公認会計士のトリプルブーストに加え、GAFAMをぶっ潰すことが確定している新規ベンチャーの起業主で、おまけにインフルエンサーで顔面偏差値メーター切りスポーツ万能友達いっぱい、こいつが兄貴だったら一生勝ちゲーぬるゲーでシンデレラにしてくれますよな最高最強の無敵チートな兄貴ですか?」
「あ、最後のやつで」
「了解です。あなたはとても自分に正直な方ですね。まさにいまの時代をよく理解していらっしゃいます。そんな正直なあなたにはプレゼントとして、この無敵チートの兄貴をさしあげましょう」
「お、ラッキー」
女神、無敵チートの兄貴をよこして姿を消す。
「四季、異世界行こうぜ!」
「お、兄貴、空も飛べるの?」
「なんせ無敵チートだからな」
「いいねえ、地球なんてくだらないし」
「異世界なら好きなだけ彼氏作れるぜ?」
「お、マジっすか? わい、ヨネズがいい」
「なんでもあるし、なんでもできるぜ、異世界」
「わお、無敵チートの兄貴、最高!」
こうしてJKは永遠に幸せに暮らしましたとさ。
いっぽう女神さまは泉の底でほほえんでいました。
「このポンコツ兄貴はブタに転生させてリサイクルしましょう」
(終わり)
木こりの泉 現代版 朽木桜斎 @Ohsai_Kuchiki
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