第4話 Faith will move mountains

 辛いのが苦手な人でも辛ラーメンをなんなく食べられるポイントは――



 牛乳とチーズ。



 水と同じ分量の牛乳を鍋に入れて、牛乳で麺と野菜を煮込むのだ。

 そうすると、あら不思議。

 まるで豆乳鍋に早変わり。

 そして、仕上げに溶き卵ととろけるチーズを入れる。チーズがふにゃふにゃにとろけて、麺と絡まったら、はい出来上がり。



 これが――3袋目にして辿り着いた、私の結論。



 普通、インスタントラーメンに牛乳やチーズなんて入れないだろう。だが、この2つを積極的に投入することで、コクと旨味が天井知らずに跳ね上がり、辛味は劇的に緩和される――ことはない。


 正直、辛ラーメンは何をやっても辛いことは疑いようのない事実。


 牛乳とチーズを投入した動画で、


「全然辛くなああaa~~~~~~~~~~~~~~い」


 と評しているものは疑ってかかる方が良い。私はなんだかんだでやっぱり辛かった。さあ、これでOKって思ったら、案の定辛くて思わず笑ってしまった。


 もう、ここまできたら、辛いからこその辛ラーメンであって、その良さが失われたら逆にダメだろ……と思ってしまう。

 

 そうなんだ。


 私は最後の1袋になってやっとわかったのだ。



 辛ラーメンは「ウマカラ」であることを。



 そもそも、そういう商品なのだと。パッケージ通りなんだと。

 辛いのを完全になくすことは、天に唾を吐くようなもの。


★天に唾するとは――

 空中に、ぺっと唾を吐いたら自分にそのままかかるって意味です(月刊 正しい格言大百科5月号 参照)


 辛さを求めないなら、初めから食べるなということだ。


 辛いのが旨い。

 これこそが万物の真理。

 だから、辛いのが苦手な人(私=作者)でも辛さを求めてしまうのだ……っ!










 ああ。

 そうさ。


 自分で書いていても全く意味不明だ。


 こんなグルメエッセイ、需要あるのか?


 ぶっちゃけ、ないだろ(>_<)


 カッコつけて英語の諺まで使って。


 作者の私が読み返しても、あの英語、全くわからない。



 だが!


 本当によかった。

 途中で食べるのを止めないで。最後まで諦めなくてよかった。

 ずるずると麺をすする中、走馬灯のように今までの戦いの記録がよみがえる。


 正直な話、あんなことやこんなこともあった。そうそう、思い出した。こういったこともあった。ええっ! マジかよ、ってなこともあった。



「結構、辛いけどクセになりそうね」



 傍らにいる妻の笑顔が眩しい。

 二人して大汗かきながらずるずる麺をすするこの喜び。


 旨い。辛い。旨い。辛い。旨い。辛い。旨い。辛い。旨い。辛い。旨い。辛い。辛い。旨い。ん?


 だが――。


 最後に一つだけ盲点が待っていた。


 それは。


 牛乳だけならいざ知らず、チーズを入れて麺に絡ませることで、確かにコクは増して旨味が跳ね上がるのだが、同時に麺自体が重くなり、慎重に持ち上げなければ勢い余ってスープが跳ねる。

 ぴちょんと跳ねたスープが目に入ると、これはもう最悪。


 何故かって。


 私が実体験したから。


 こんな地獄と悲鳴が待っている。




 ああアアぁぁa:/oi@:10veふじこ―――――。




 Don’t be too sure of yourself

 because

 Life is what you make it――


 

 了

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妻と辛ラーメンと作者 ~グルメルポシリーズPART1~ 小林勤務 @kobayashikinmu

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