第5話 最初の依頼人

カウンセリング初日

結局、何一つ勉強を済ませることなくカウンセリング当日を迎えることとなってしまった


「依頼人は何時に来るんだ?」

「もう少しで着くらしい。しばし待て」


初仕事となるとなんか緊張するな

というか俺依頼人の情報すら知らないんだが


「森崎光晴、わかっていると思うが依頼人を変に刺激するなよ」

「わかってるよ」

ということを肝に銘じておけ」


わかってるよそれくらい散々聞いたし


何を話そうか考えている間に扉が開く

それと同時に来夢が口を開く


「こんにちは」

「...」


そこには先日見かけた女子高生がいた


本当に来たのか...


「挨拶せんか」


驚いていると来夢に小声で怒られる


「あっこんにちは!」


慌てて挨拶をするとものすごい形相で女子高生がこちらを睨みつける


最近の子めっちゃ怖い。かわいいけど


「いないんですか...」

「ん?」

「女性のカウンセラーさんはいないんですか?」


女性のカウンセラーさんか...

見たことないけど、俺以外にもカウンセラーはいるのかな?


来夢に視線を送るが来夢は首を横に振る


だよなぁ


「ここにいるカウンセラーは俺だけなんだ、ごめんね」

「チッ...」


ビクッ

彼女の舌打ちとともに体が震えあがる


「まぁいいです」

「あはは...」


やっぱ最近の子怖いマジで怖い


「しっかりしろ森崎光晴」


女子高生にビビりながらも来夢に声をかけられ一度冷静になる


「じ、自己紹介がまだだったね」

「...」

「俺は森崎光晴、よろしくね」

「...」


何も話してくれないどうしよ。俺なんか変なこと言ったっけ?


暁恋雪あかつき こゆき...」

「え...」

「暁恋雪!私の名前!」


机を叩き、彼女が怒鳴る


こ、怖ぇ...


「あ、暁さん......よろしくね」

「...」


俺が彼女にビビり散らしていると来夢が口を開く


「お嬢さん、なにか飲みますか?」

「......カプチーノ」

「承りました」


本当にこんな気の強い子が、依頼人なのか?

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終わりのカウンセラー カレーパン @Watahi

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