青が読めなくなっても あとがき
青が読めなくなっても あとがき
「青が読めなくなっても」は、2021年に書いた作品の1つです。
イエローブースター以降、私は不思議な力を持っているクラスメイトを救けるような作品を何作か書いてきました。書いていてとても楽しかったんです。自分の書きたかったジャンルはこれだったんだと見つかったと思ってました。
しかし、似たような作品ばかりを書いていると、引っ張られてしまいます。
プロットの時点で、これは前と同じだと思って止めてしまうのもありました。
それくらいイエローブースターが、自分の中で凄い好きだったのです。
この作品は、そのジャンルの最後として書いたつもりです。
私事ですが2021年は、とても辛い1年であり、その辛さを忘れる為に書いていたところもあります。逃げるように没頭したおかげて作品はとても早く完成しました。
プロットから3ヵ月弱で1つの作品が出来たのは、大学生以来でした。夢中になって書いていたあの頃を思い出させてくれた作品でもあります。
最後に書くなら、今までと違う書き方にしようと考えました。
不思議な力を発現しているのはヒロインである美結。力は既に持っていて、消えてしまったからのスタート。それを唯一、力が使える彼とどうしたら復活する事が出来るのか。そう考えました。
物語が進むにつれて、主人公の直哉くんは仲間に救けを求めるような事が出来る男の子に成長しました。これは作者として嬉しい限りです。
私たちはどうしても他人に対して評価してしまう習性があります。
賢い、コミュニケーション力がある等の様々な事を他人に対して考えてしまいます。学校というのは、30人以上の同年代の人間が教室の中で生活をするのですから、様々な考えが混在して当たり前なのです。
私自身、高校生の時はそうでした。大人しいグループにいたので、元気な子に対して、“この子は元気な子“とイメージを付けていました。
でも相手だって自分と同じ人間である以上、一方面だけでは評価出来ないところがあります。元気な子だって寂しい時は落ち込むし涙だって流します。
作中で美結はコミュニケーション力が高いと書いていますが、それは直哉からの評価です。彼女と関われば関わる程、実はそんな事はないのが分かっていきます。
それは他人との距離が近くないと見えません。
この作品は、その部分も大事に描きたかったのです。その為に“心読み“が回復する結末はありませんでした。また、最初から考えていませんでした。
“心読み“がなくてもこの先の人生を美結が送れるようにしてあげたい。
その為に彼女には直哉くんたちがいたのですから。
長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
青が読めなくなっても 綾沢 深乃 @ayasawa0427
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