AIのべりすと ためしてみた
黒白 黎
いなくなった
一ノ瀬(いちのせ)由美(ゆみ)には信頼する親友がいた。一ノ瀬(いちのせ)剣(けん)。同じ中学に通うクラスメイトだ。
名字は一緒だが、兄妹でも親戚でもない。遠い昔の家族だったかもしれないが、妙に神妙性がある。
そんな剣にある日を境に忽然と消えてしまった。理由はわからない。わからないのだが、私が思うにあの扉がすべての始まりだと思う。
そう、あの夏。私が嫌がる剣を無理やり廃墟に連れてさえいなければ、こんなことにはならなかったんだ。
剣と私はいつものように学校から帰る途中だった。
私も剣も帰宅部なので放課後はすぐに家に帰る。だからその帰り道でのことだった。
ふと気になって剣を見ると、どこか上の空といった感じで歩いている。話しかけても返事がない。
私はため息をつくと、彼の腕をつかんだ。
彼はビクッとしてこちらを見る。
少し怯えたような表情をしていた。まるで何か悪いことをした子供のような顔つきだ。
どうやら私の勘違いではないらしい。
私は剣の腕を掴む手に力をこめた。
そして彼に言う。
「ねぇ、なんか変だよ? 何かあったか話してよ!」
すると彼は困ったように目を伏せていったのだ。
「……実は俺、幽霊が見えるんだよ」
一瞬何を言っているのか理解できなかった。しかしすぐに思い出す。彼にはそういう不思議な能力があることを。
昔からそうだ。普通の人には見えないものが見えてしまう体質なのだ。
それが原因でイジメられていたこともある。
けれど、今のご時世では珍しい事じゃない。超能力なんて言葉もあるくらいだし、別に大したことないと思うんだよなぁ。
私だって霊感あるしね。
ただ剣の能力が問題なのだけど。
なんというかその力は凄すぎて常軌を逸している。普通に生活できるわけがないほど強すぎる能力を持ってしまったために彼は苦労してきたのだろう。
今じゃ私以外にそれを理解できる人間はいないみたいだけど。
「――で、それがどうかした? 」
別におかしなことではないと思った。彼みたいな人は珍しくないから特に不思議とも思わなかった。
ただ少し不安なのはこの話をした時の剣の顔色である。今まで見たこともないほど真っ青になっていたのだ。きっとあまり人に言いたくないことだったんだろうと思う。だからあえて触れずに話を続けたのだが――。
彼は唐突に呟いた。
『あ』
私は彼が見ていた方を振り返りながら聞いた。
「――え? 今度はどこを見ているの!? 」
「――なんでもない。もういないぞ。安心しろって」
そんな会話をした数日後のことである。剣が忽然と姿を消したのだ。
私は心配になり探したが結局見つからないまま時間だけが過ぎていった。それでも諦めきれずに剣の行方を探し回ったのだが…………ダメだった。手がかりさえもつかめない。
こうなったら警察に頼んで捜してもらうしかなくなった時、偶然出会ったのが美雪ちゃんであった。
最初は不審人物を見る目だった美雪ちゃんも、剣の名前を口にした瞬間、真剣になったのを覚えている。そして彼女の口から語られた真実とは。
「まさか…………行方不明の原因を作ったのは自分だったとは…………」
まさに灯台下暗し。
自分が原因を作ってしまったなんて思ってもみなかったのだ。
ただその時のことはよく覚えている。
美雪ちゃんが必死に止めていたのを制止を振り切って廃墟に入って行ったことも、そしてそこで目にしたものが何だったかもすべて。
あれは一体なんなのか、今でもよくわからない。
そもそもなぜ剣と一緒に向かった場所にいたのかもよくわかっていない。でもそれは後々わかるようになるだろうと美雪ちゃんが言っていた。
それから私は美雪ちゃんとともに剣を捜し始めたのである。ただ、剣と別れたあの日の夕方以来会っていないので、本当にいるかどうかさえわからなかったが…………彼女は今も剣を捜しているという。そして、もし見つけたら連絡してほしいと言われていたのだ。そして昨日の夜。
美雪ちゃんから来たメールを見て驚いた。その内容は。
【見つけた】
その一言だけだったが、剣を見つけたことは確かだとわかった。
そして現在。剣を見つけてから数日たった今日。ついに剣に会うことができるのである!
(どんな顔をすればいいのかなぁ。私のせいで剣はこんなことになったんだよね。申し訳ない気持ちと謝りたい気持ちが混ざってるよぉ)
正直言って会いたくないというのが本音だった。
あんなことがなければ普通に親友として接することができたのに。剣にとってはそうじゃないのかもしれないけれど…………。
私が俯きながら歩いているとその視線の先に小さな石像が立っていた。思わず立ち止まってしまう。
それはこの廃墟には不釣り合いなほど綺麗なものに見えて、つい見惚れてしまった。
(なんだろこれ? すごくきれい。なんか吸い込まれる感じがする。まるで生きてるみたいな。…………え?)
その不思議な感覚の正体はすぐに知ることになる。
突然、その小さめの石像の首が取れ、ゆっくりと地面に落ちたからだ。
そして次の瞬間。地面にあったはずの小石が集まり出し始め形をなしていく。あっという間に人間の姿となり、そしてその正体が露わになる。
私は言葉を失った。そこにいたのはかつて剣と共に失踪してしまったはずの一ノ瀬(いちのせ)由美(ゆみ)。
そう。私はこの女性を知っている。いや正確には知っていたと言うべきだろう。
私と同じ学校の同級生であり、中学卒業前に剣が行方不明となった事件の発端でもあったのだ。
「やっと来たわね。待っていたわ、お姉さん」
目の前にいる人物は私の方を見ると嬉しそうな表情で言う。しかしその目は笑っておらず、まるで獲物を見るかのように睨んでいたのである。
AIのべりすと ためしてみた 黒白 黎 @KurosihiroRei
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