白黒写真
高黄森哉
昔はね
壁に飾られている爺さんの白黒写真をみて、この写真ふるいよね、なんて指摘する子供がいると、駄菓子屋の店主の私は、愛らしいなと思うと同時に、年を取ったんだなとも思います。
今の人は知らないのですね、昔、この世に色は二種類しかなかったのです。だから、どういう風にとっても、どうしても二色になってしまうのですよ。それが、時代と共に、色が増えていって、現代のカラーになったわけですね。
一時期、セピア色になったことがありますが、あの時は大変でした。信号機が何色か分からなくて、事故がぐっと増えました。室内の汚れが同化して気づきにくく、部屋が汚くなりがちでした。古い廃屋にいくと、当時の荒れ具合を体感できることでしょう。あれは、もともとあんな感じだったのです。
他にも昔は不便でした。ダイヤルを回さないと、電話がかからなかったんですよ。何度回しても、なかなか電話がかからないので、「えい」と、無理に回して壊してしまったことがあります。コツがいるんですね、あれ。最近の電話は、一発でかかってしまうので、寂しい気もします。
それと携帯電話。それはそれは、大きかったです。抱えて運びましたよ。一番、最初の携帯電話はビルぐらいあったそうですね。ノイマンという人が発明して、その携帯が出来たときに彼は、「世界で二番目に賢い携帯電話が出来た」と言ったそうです。勿論、一番はノイマン自身ですね。ノイマンさんは世界一賢い携帯なんです。
電線病が流行りました。怖い病気です。注射器を使いまわすことで、感染して、電線になってしまうんです。ですから、最近の送電網は、彼らの亡骸なんですね。東京タワーを戦車を固めて作ったのと、同じですね。
3C運動を知ってますか、そうです三種の神器。八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉の三つを指しますね、ええ。今はありふれていますが、当時はとても貴重なものだったんですよ。当時はですね、神社で厳重に保管されてたんですよ。
いやはや、懐かしい。昔は良かった、昔は楽しかった、なんていいますが、こうしてみると、どうでしょうか。
白黒写真 高黄森哉 @kamikawa2001
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