第36話 気まぐれに生きて、選びたいもんを選ぶ、そんな自由。サイコーじゃねぇか!

 胴体を腕がかすめるが、結果としちゃあシルフィアが倒れるだけだった。あ、あぶねぇ……俺が判断をためらうなんて。


「あはは……やっぱり、私じゃゼル君に勝てない。ううん、アドレーア姫やヒルデちゃんにも」

「何でその二人の名前が出てくんだ?」

「ゼル君と近かった気がするから。……私より」


 うわぁ、知ってたのかよ。

 どっちも俺が抱いた女だぜ……?


「何がしてぇかはだいたい分かってるが、それでも聞くぜ。……何が目的だ」

「ゼル君、私をゼル君の女にして。幼馴染じゃなくて、あなただけの女に」

「俺は一途じゃねぇし、一途な男になるつもりもねぇぞ」

「それでもいいの。いつまでも幼馴染から進まないより、たった一人に愛を捧げたいから」


 おいおい、俺自身そいつけっこうゲスいぞ?

 愛を捧げる価値なんて、あるかねぇ……?


「俺の本性は、思ってるよりイケメンじゃねぇぞ」

「いいよ。どんな本性でも、ゼル君になら、いい」


 するりするりと、服を脱いでいくシルフィア。

 こいつもしっかり、イイ体つきしてんだよなぁ。こうして裸を見んのは、小さい時以来だけど……。


「きて」


 いつの間に、そんな甘い声を出せるようになったんだか。

 とりあえず、しっかりもらってやんねぇとな。


 俺はそっとシルフィアを押し倒してから、純潔をもらい受けた。


     ***


「気は済んだか?」

「……うん」


 結局、俺は6連戦してしまった。


 休憩入れたっつっても、さっきヒルデとしたばっかなのにこれは……俺の体力は人間のそれとだいぶかけ離れてんな。


 予想通り初めてだったので、あんまり激しくはしてねぇ。

 手加減ってヤツだが……それでも、だいぶ満足してくれてそうだったぜ。


「そんじゃ、俺はそろそろシャワー浴びるからな。落ち着いたらゆっくり立ち上がれよ」

「はぁい。ありがとね、ゼル君」


 しばらくいてやったが、男の本能でシルフィアから離れたくなったのでいい加減離れる。意外とキッツいんだこれが。


「ま、これはこれで役得かな」


 シャワーを浴びながら、俺は今後の展望を思い浮かべていた。


     ***


 それから。

 ヴェルハイムまでの航路じゃあ、特に変わらねぇ数日間を過ごしてたぜ。


 双天一真流の鍛錬に、アドレーアやヒルデ、シルフィアたちとイチャついたり、たまに空獣ルフトティーアを狩ってもいたな。

 正直、低高度のザコだらけだったぜ。これから極空の白塔エクスグレン・ルフトゥルムからの侵攻があるなんて思えねぇほど、いつも通りだったな。


 まぁ、何はともあれ、俺たちは一時的に下船したワケだ。

 ひそひそ話が聞こえるが、俺には関知のしようもねぇこった。ったく、どうして子爵に格上げかねぇ……? 今回、割とマジでなんかやべぇことした覚えがぇんだけど。


 前回と同じで、ゴテゴテした服着せられて叙勲式だ。

 ちょっとの間だけ、アドレーアやシルフィアたちは遠巻きになる。


 前回同様、おっさ……エーレンフリート陛下が来た。

 叙勲式が終わったらさっさと寝よう。


 俺はまたも失言に注意しながら、叙勲式を受けたのであった。


     ***


「はー、疲れたぜ」


 終わってからは、アドレーアが予約してたホテルに入っていた。

 話を聞くに、「ドミニアやヴァーチアの整備や補給をするのですが、しばらく時間を要するのでそれまでこちらで休みましょう」とのこった。

 別に艦内にも入ってる分にゃ構わねぇんだが、しばらく空にいたんで息抜き、だと。俺は毎日が息抜きだと思ってっがな。


 アドレーアとイチャついてもいいが、彼女は彼女でアドライアと一緒に王宮に向かったらしいからな。イチャつこうにも無理がある、ってもんだ。

 だったらシルフィアやヒルデあたりと……おっ? なんかいつの間にか、男もんの水着あんじゃねぇか。アドレーアが用意したのか。しかもすぐ近くに屋上プールがある。


「じゃ、ひと泳ぎすっか!」


 気まぐれに生きて、選びたいもんを選ぶ、そんな自由。

 ちょっと思うとこはあるが、サイコーじゃねぇか!


「いやっほーい!」


 俺は誰もいねぇプールに、全力で飛び込んだ。


 俺の自由を、誰にも邪魔させはしねぇ!




~~あとがき~~


  はい、これにて「双剣使いの英雄譚 ~ロボやモンスターが飛び交う世界に転生したので、自由気ままに生きるために前世の経験を駆使して楽しみます~」第一部完結です!


 第一部と銘打ってある以上は、もちろん続編として第二部第三部を執筆する予定です。お察し頂けたかと思いますが、投げっぱなしの伏線がワラワラとありますからね。


 クライマックスである娘竜、もといヒルデを止めるシーンは、「双剣」じゃなくて、「双拳」になってしまいました。……はい、ダジャレです。

 殺すワケにもいかず、どうしたものかと思った結果の産物でした。まぁ、ヒルデは変態可愛いということで、ここはひとつご容赦あれ。


 今作のテーマは、「異世界転生もの」かつ「今までの有原作品で入れた要素を出来るだけ詰め込む」の二つ。

 前者はweb小説界隈に長くいながら今まで手を付けなかった(読みはした)ことを踏まえての初挑戦。

 後者は、「最新作は常に、最高の実力を出した作品であれ」という私の信条を基に、プラスしてみた一種の縛りプレイですね。コアな過去作ファンであればニヤリとしそうな固有名詞などがチラホラあります。といっても、全部の過去作のを踏まえられたかはやや怪しいので、縛りプレイとしては微妙な感じですが。


 本編文字数にして80,600文字というやや少な目な数値は、参加を目論むコンテストの最低文字数である8万文字を意識したものです。

 正直、第一部で8万文字ちょっとというのは、意図か偶然かは私でも分からない……と言いたいですね。


 最後に。

 第一部最終話であるこのエピソードまでお読みいただき、誠にありがとうございました。


 数々の応援コメントや評価、大変励みになっております。

 率直に申し上げて、読者各位からのコメントを楽しみにしております。いつでも歓迎です。


 それでは皆様、ありがとうございました。

 また、次話以降にお会いしましょう。

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(第一部完結済)双剣使いの英雄譚 ~ロボやモンスターが飛び交う世界に転生したので、自由気ままに生きるために前世の経験を駆使して楽しみます~ 有原ハリアー @BlackKnight

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