第3話 ③
前回のあらすじ
待ちに待った新学期、1年の頃一緒のクラスだった水谷大地とまた同じクラスになり安堵するトウヤ。しかしクラス名簿には見た事のない名前、「野村ユグ」があって…
転校生ねぇ…
クラスの中は活気に溢れていた
というのもみっちゃんが「転校生が来るぞ!」と言いふらしたせいであるのだが
みっちゃんはと言うと言いふらしにも満足したのか自分の友達(俺含めて)とどんな子が来るだとか可愛かったら話しかけるだとかそんなことをだべっていた
盛り上がってるところ悪いが俺は正直転校生なんて興味が無い。無いっていうかなんならだるい。今の友達、今の状態に満足しているのに新しい不確定要素が加わるなんてめちゃくちゃにめんどくさい。そいつのせいで友人関係が変わるかもしれないのに、みんなも呑気なもんだ。俺は心配でしょうがないよ
そんなこんなしているとチャイムが鳴ってガラガラと音をたてて扉が開いた。
俺を含め全員が開いた扉を見つめたが出てきたのは新しい担任になるであろう教師のおっさんだった。
「なんだみんなして先生を見て、なんか変か?」
入ってきた来たおっさん教師は岡田と名乗り簡単な挨拶を済ませた。別に内容も面白くなくただいつも通りの新学期の始まり方だった。
その時
転校生どこだよ…
と誰かが呟いたのが妙に教室に響いた
岡田は喋るなと怒るかと思いきや真逆の笑顔になった
「なぁんだ、知ってたのかみんな。まぁ名簿にあったもんなあ」
とその笑顔のまま教室を出ていってしまった
みんながあっけに取られポカンとしていると今度は教室に2人分の足音が近ずいてきた。
またガラガラ扉を開けて岡田が入ってくる
その顔はニヤニヤと緩みきっていた
「みんな知ってるみたいだから早めに紹介しようと思ってな。入ってきていいぞ!」
ガラガラと扉が開けられる
カツカツと女の子が靴の音を鳴らしながら入ってくる
目を引いたのは腰まで伸びた綺麗な黒髪だった
少し下を向いているせいで横顔は見えないがかなり背が高い。男の俺でも身長で勝てるかどうか分からない。
教卓の前に立つと女の子はくるりと前を向く。するとその端正な顔立ちがあらわになった。
綺麗な目尻、筋の通った鼻、どれもがそこいらの女子とは違う最高の美人だった
あれさえなければ…
「初めまして、野村ユグです。私を崇めなさい」
これが俺、成宮トウヤと野村ユグの出会いだった
[毎週更新!]17歳の世界樹 @kuramu724
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