君のいた場所

千恵花

第1話 天使になったにゃんこ

君のいた場所に

柔らかな光が差し込んでいるよ

窓から見える向こうの景色は

紅葉も光る優しい

秋の足音を運んでくるようで

きっと君なら

ドアの扉を開けて

明るい光の差し込むほうへ

駆けて行くのだろうね

時々落ち葉の上に

寝転がって

汚してしまっても

そんなこともお構いなしで

私を困らせてみたり

やんちゃな瞳で見つめてみたり

もう怒る気持ちも

どこかへ 飛んでいってしまったよ


この手の中も

君のいた場所だったね

私が寝転がれば

お腹に乗って寝るのが好きだった

膝の上で甘えるのも

君の得意技だったっけ

君ってどのくらい重かった?

夢の中で胸を

押し潰されそうな苦しさの

怖い夢に目覚めた時

その夢の原因は

布団の上でスヤスヤと眠る

君の重さだったってこともあったよね


今、、すごく軽いんだ

手の中も

膝の上も

布団の重さも

すごい楽!ってくらい軽くなったよ

君がトイレを汚すことも

もうない

君の為に水道の蛇口を

ひねってあげることも

もうない

君が爪の先をキラリと光らせ

あちこちにつけるはずの傷も

もうない

なんだか、、

寂しいくらい楽になっちゃったよ


でもね

見渡すと

君のいた場所に

あらゆるすべての場所に

あの暖かいふわふわな

君がまだいるような気がするんだ

あの時約束した

心にずっと一緒だよって

君の好きだった窓際は

何も変えないでそのままにしているよ 見えるかい?

空から見えるかい?

いつでも遊びにおいでね

いまも大好きだよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君のいた場所 千恵花 @caorinhana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ