最終話
勢いが最大になった台風は、北海道に上陸しました。この異常事態に、ニュースももっぱら台風情報について伝えました。北海道に台風上陸とともに、全国的な大雨も大きく取り上げられました。
札幌の電波はお姉さんの居場所を示しています。台風21号(イマイくん)は、ひたすら北海道テレビに向かいました。
その間にも、紅葉をむかえていた紅葉が散り、イチョウの木はしなっています。北海道のみんなは悲しみました。
ついに台風21号(イマイくん)がお姉さんのもとにたどりつきました。お姉さんが台風の目に重なりました。
「台風21号さんですね」
「会いたかったんです」
「私もよ」
「台風の中心はいつでも晴れてるんだ、僕はお姉さんを守りたいよ」
「ありがとう、うれしいわ。でもみんなが傷ついてる。こんな方法ではいけないわ。」
「どうすればいいか、わからないんだ」
「心を広げるのよ。あなたなら私だけじゃなくて、みんなを守れるわ」
台風21号(イマイくん)は、心を広げるというのがどういう意味だかわかりました。
「そうしてみるよ」
みるみるうちに、台風の目が大きくなっていきました。お姉さんを中心に、晴れた空が広がっていったのです。そして台風の目が雨雲の淵に近づいたとき、台風21号(イマイくん)はお姉さんに言いました。
「さようなら」
北海道に晴天がおとずれました。
「イマイくん、きこえる?」
お姉さんが空に向かって叫びました。
「どうして、僕が」
「お天気情報をお届けします。北海道で猛威をふるった台風21号は、急速に勢力を落とし、温帯低気圧に変わりました。続いては東北地方です。台風16号が温帯低気圧となり、偏西風とモンスーンの影響で奥羽山脈付近に停滞しているとのことです」
「知っていたんですか」
「私をだれだと思っているの?お天気お姉さんよ」
お姉さんはそういって笑いました。
熱帯低気圧 根粒菌 @endo_been
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます