2DAYS 初デートは近隣で

目が覚めると朝だった。

小鳥のさえずり、爽やかな風、照りつける日差し、文句無しの快晴だった。

隣を見るまでは。

「――――っわ!」

隣に、彼女が気持ちいい位の寝顔で眠っていた。

「何でここにいるの!?」

焦りと緊張感で心拍数が底上げされていく。ドクン、ドクン、耳で聞こえる位の音だった。その声が大きかったのか、彼女はすぐ覚醒した。

「うるさいわね―――」

まだ寝起きなので、寝言混じりで言葉を発した。

「何で、俺のベッドにいるの!他に寝る場所無かったの!?」

彼女は、落ち着いた口調で話始めた。

「仕方ないじゃない、貴方すぐに寝ちゃうんだから。」

そういえば、昨日は疲れてほとんど意識がなく、夕食をとったあとすぐに床についてしまった。

「それでも、ほとんど初対面の人のベッドで眠るのもどうかしてるよ!」

ある意味、いつもよりも早口で、苦手な喋ることが、今では全て噛まずに言えている。

「そう、今度からはやめておくわね。」

彼女は、冷静に布団から出て、身仕度みじたくを始めた。

「えっ、、、ちょ。」

少し、困惑しながら彼女を追いかける。

「急いで、今日は一緒に出かけるわよ。」

俺の脳内で浮かんだのは一つの文字だった。「はぁ?」

そういやぁ曖昧な記憶を掘り返すと、「お前を退屈させない!」そう言う言葉を発していたような気がした。

「ちょ、行くにしたって、今日は平日だから、バイトもあるし、何よりどこに行くつもり?」

バイトがあるので、少なくとも6時前後くらいには、家に戻っていないといけない。

「そう、なら、公園でいいわよ、、、私運動好きだから。」

そういえば近くに公園があり、そこは少し広く、アスレチック等も少しなら他の施設に負けないような場所と聞いていた。(実際に行った事はない。)

「分かった、今日は近くの公園に行こう。」 

朝食は、いつもと同じく、薬を服用した。

それにしても、彼女が作ったご飯に心を奪われている自分がいる。

今まで朝は、やることも、やる気も出なかった。それに、朝食は、いつもビタミン剤と水、たまにコーヒーを飲む事もあったが、ごく稀な事だった。

そうして、朝食を堪能した後、運動着に着替えて、徒歩で公園に向かった。

「それにしても、あんたの住んでるマンションって便利よね、近くに駅もあるし、病院もある。結構高かったんじゃない?」

確かにいい立地というのは分かっていた。

「実は、かなり働いて、無理してる。と言いたい所だが、ここは、親戚の土地とマンションで、かなりリーズナブルな価格で使わせてもらっている。」

正直、金銭面で苦労した点は、少ない。昔は、よくあったが10年近く前の話だ。

「そう言えば、マンションとか売った時、どんな所に住んでたの?」

彼女の好みや、昔について聞ける良い機会なので、聞いてみた。

「前の話は、しないでちょうだい。」

返って来たのは冷たい言葉だった。何か闇に近いどす黒い過去を、想像してしまった。それ以来、公園に着くまでの間の会話は、ゼロに等しかった。

そうして、やっとの思いで公園に着く事が出来た。

「とりあえず、自販機で飲み物を買ってくる。」

少し逃げる様に、自販機の方に行った。

「分かったわ。」

彼女は、さっきよりも、少しだけおっとりした口調に戻っていた。

「さて、水を、、、」


―――そうやって、お金を入れたが、水は、売り切れていた。

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30DAYSな彼女 くぼってぃー @061511060801

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