ティーブレイク終了~後片付けはしっかりと~

 いったん話も一段落したところで、みんなそれぞれ自分の作業に戻っていった。

 ベータ博士だけが、できあがった『クリスタル』を弄んでいる。

「少しわざとらしかったですかね?」

「んーにゃ?ロー君は純粋に感動してたみたいだよぉ。」

 何の話かと言えば、私が最終的にこのクリスタルの形になるように話を誘導していた、ということ。


 ――これだけいろんな人たちが集まっていて、おもしろい話もたくさんあるのにタダの雑談で終わらせるのはもったいない。

 いつか誰かがそんな事を言い出して、今のような雑談の際には何らかの着地点を目指すようにしよう、という活動を、何人かのメンバーが秘密裏に行っている。

 話を誘導されるのに反発されることもあるかと考えたが、今までは概ね好意的に受け入れられている。

 まあ秘密裏と言っても、既に多くの人が面白そうだと真似をしているのでこの場所名物のようなものである。

 それを今回は私がやったということ。

「やっぱり実際に見て触れるものがあると盛り上がるし、形も作りやすいよねぇ」

「ええ、それに今回はコインに何を書かれても形は変わりませんからね。」

 最初に私が棒とコインとクリップでモデルを作ったとき、最終的にクリスタルの形になる方向性が決まったのだ。あと問題は、何か対になる概念が出てきてもう一つ同じモデルを作れるかってところだったのだけれど、それはロー君がうまいこと思いついてくれた。

「ところで今回は僕の領域だと思ったのに、ずっとガンマ教授が止めて来るんだよぉ、ひどいよぉ」

「あはは、今回はロー君が主役でしたから。あんまり専門的な話はちょっと盛り上がらなかったかもしれませんからね。」

 確かにベータ博士は物理や力学なんかの領域に明るいが、あのロー君がそこについていけるかと言えば少々疑問がある。

 そのロー君は、自席に戻って興奮気味に何かを書いている。……ちゃんと宿題を進めていてくれていればいいのだが。

 ちなみに今回集まったメンバーの中で、話の誘導の件を知らないのはロー君とパイちゃんだけである。そのうち誰かがそれとなく教えるか、または自分で気づくか。――願わくば、自力で気づくことでまた良き経験になりますように。


 さて、私も十分に気分転換できたし、色々と面白い発想も聞くことができた。そろそろ執筆に戻るとしよう。次の作品は6人の勇者とその武器が登場する、その名前は星と、雲と……

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ティーブレイクは興味深くあれ Enju @Enju_mestr

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