第99話 追 跡(3)

 とりあえず、ゾンビ化を解除して元の強化カモメに戻せるか試してみよう、……「生命体干渉」「精神構造干渉」「時空間操作」



名前 ー 

種族 カモメ(女性) 

年齢 カモメ 3歳

体力 G

魔力 G

魔法 水弾4光弾4土弾4風弾4火弾3

   睡眠4回復5ステータス5神託5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5調教耐性3

   思考強化5老化緩和5

死霊スキル ゾンビ化E ゾンビ修復E

   ゾンビ再生E ゾンビ強化E

称号 亜神アリス・コーディの眷属カモメ

   司祭 伊集院平助の眷属カモメ

   元ゾンビ



……出来た。私や伊集院君からの「調教」状態も元に戻せた。


 更に、水無瀬亜希子さん、美咲ちゃんのおかあさんのときと同様に「ゾンビ」関連スキルが残った。



 強化カモメのゾンビ化を解除する前に記憶サルベージを試みたけど、死霊使いが異世界から地球側にやってきた目的は優れた能力を持つ生命体の身体を乗っ取って異世界に持ち帰ることであるらしい。


 特に吸血鬼たちから亜神である私の情報を入手したことで地球に亜神が居ることを知った。

 高い能力を持つ生命体の究極である亜神、神格を持っている私の身体を乗っ取ることが最大の目的ということだ。なにそれ気持ち悪い……


 とんでもないストーカーに粘着されてしまっている……おしゃべりな死霊使いカモメの「テスカ」はこのゾンビカモメ「チャーリー」に色々と教えてやったらしいね……




 私は時空間操作「時間加速」魔法「反応速度」の発動を停止する。


 周囲の空間との物理的相互作用が通常通りに復活して音と光が戻るとともに激しい雨が私の身体を打ち付ける。



 ゾンビ化を解除した強化カモメは私の目の前に浮遊してジッとしている。



「エマちゃん、茜ちゃん、このカモメはいま私が治療して回復させたから大丈夫だから! 攻撃しないで!

コイツはゾンビで死霊使いの眷属だったけど私が完全に元に戻したから!」




「ゾンビだったの? それでアタシたちをいきなり攻撃してきたんだ。まあ、元に戻すことが出来て良かったよ。でも、もう一羽は逃走したみたいだね」


「アタシの『お宝探知』によると……再び北西の方向に移動しているみたいね、あっちに何があるんだっけ?」



 方向音痴の茜ちゃんは北西の方向に何があるのか分からないみたいだ。



「北西の方向は北朝鮮とロシアの国境がある方向だよ、ロシアにある宇宙間ゲートに向かっているんじゃないかと思うよ。

このゾンビカモメの記憶サルベージ結果からも宇宙間ゲートを通って死霊使いの本拠地である異世界側モンゴル帝国の首都「大都」に行くつもりだったらしい会話の記憶があるから。

それと、逃げたもう一羽は死霊使いの「テスカ」ってやつだよ。強化カモメ「チャーリー」は死霊使い化されて乗っ取られたみたいだね……」


「……そうなんだ。さすが強化カモメがベースなだけあって恐ろしく強い……アタシの手には負えなかったな、悔しいけど。再戦しても勝てる気がしないよ。茜ちゃんゴメンね、ちゃんと加勢できなくて……」


「しょうがないよ、アタシも防御するのが精いっぱいだった。M4カービンの『防御障壁』が無かったら本当にヤバかったと思う……強化カモメがこんなに手強いとは……」


「……それでね、ちょっと聞いて欲しいんだけど、私はこれから宇宙間ゲートに行ってゲートをただちに封印しようと思う。ゾンビカモメの記憶だと、死霊使いの親玉はゲート付近で騒ぎを起こして私をおびき寄せようとしているらしいし。

このままゲートのことをロシアに任せていたら、ゲートから大量に死霊使いやゾンビが地球側に湧き出してくるかもしれないから……」


「これからって。 ……今すぐにってこと?」


「うん。時間がたつと、ほんとにアメリカのゾンビ映画みたいに大量のゾンビが地球側に侵入されてしまうかもしれない。一度侵入されると討伐が面倒……被害も大きくなって大量の死者とか犠牲者が出ちゃうかもしれないから」



 二人にはゾンビカモメの記憶サルベージの結果分かったことを簡単に説明した。



「……分かった。そういうことならしょうがないね。なら私、亜神アリスの第3使徒であるエマ・ベーカー合衆国空軍少尉も同行するよ?」


「もちろん第4使徒の忍者、如月茜も行くよ」


「……ありがとう二人とも。だけど、行先はロシアだからね、合衆国軍人であるエマ園長が不法入国するのは良くないし、茜ちゃんは高校生だし……

……だから私が一人で行ってくるよ。私のこのアリス・コーディの依り代は最悪滅びたとしても、一年後には別宇宙から分身を送り込めるから。

みんなには、日本とか、場合によっては地球に居る死霊使いやゾンビを討伐して欲しいんだ。御子柴君の『エネミーサーチ』があるから索敵は簡単だろうしね」


「……分かった。だけど、ロシアに行ってるリーナちゃんを助けたいんだけど……リーナちゃんが美咲ママに送ってきたSNSメッセージだとゲートの向こう側、異世界に行っちゃってると思うの」


「うん。リーナちゃんはゲート向こう側のエルトリア王国に向かっているか、もしかしたら死霊使いとの戦いのためモンゴル帝国の首都に向かっているかもしれない。だから、私はゲートを通って向こう側に行ってからゲートを封印して……それからエルトリア王国に行くか、死霊使いの本拠地を殲滅するかしようと思うんだ」



 その後、エマ園長と茜ちゃんと話し合ったけど私の決意は変わらない。今すぐ出発して早急にゲートを封印すべし。それ以外の選択はありえない……


 私たち三人と一羽は上空300mでホバリングしている航空自衛隊入間救難隊のUH-60Jに向かって飛行を始めた。





「Thank you, Air Self-Defense Force members! Be careful and go home!」


「ありがとうございました! 気をつけて帰ってくださいね!」



 私は開放されたヘリ胴体横スライドドアの中に向かって声をかける。エマ園長と茜ちゃんは既に機内に入って座席に着席、シートベルトをしてヘッドセットをしている。



『エマ園長と茜ちゃん、気をつけて帰って! ほかのみんなにもヨロシク! じゃーね! 死霊使いはサクッと退治してくるから!』


『アリスちゃんも気をつけてね、リーナちゃんのこともヨロシクお願いします!』


『りょーかい、任せて!』



 念話で二人に声をかけてから私は機外に飛び出すとすぐに飛行神器を使用、ホバリングする救難ヘリのダウンウオッシュから離れたところでスマホを取り出して「方位磁石アプリ」を起動、北西の方向を把握する。


私は隣に居る強化カモメ「デルタ」に声をかける。



『デルタ、私たちは今から高度100mほどを飛行神器を使って時速100km以上の速度で飛行するけど……あなたは前方を「遠視」と「探知」を使って警戒して空中衝突を防ぐこと! 今から飛行する空域は日本の陸地上空じゃないから航空法の規定なんか関係なく低空飛行する航空機がいる可能性あるからね。頼むよ?』


『分かりました、マスター・アリス! 偉大なる亜神アリス様の直属眷属になれて感激です、このデルタに任せてください!』



 直属眷属がそんなに誇らしいことなのかな? 一度ゾンビ化して死霊使いの眷属になったことで謙虚さと規律を叩き込まれたんだろうか? まあいいや、何はともあれ急いでゲートに向かおう。


 私は北西に進路を向けて飛行神器を時速100kmほどの速度に加速させた。ここからロシア沿岸部までは800kmくらい、8時間ほどかかるから到着はお昼過ぎになる。活動するには明るくて丁度いいかもね……




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



【完結しました】

読んでいただきありがとうございます。



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異世界帰りの美少女亜神は最強の神技「時空間操作」を使って人類の守護者になってみる Cranberry @hassy275

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