誰もいない戦争
仲仁へび(旧:離久)
第1話
とある国で戦が起こった。
けれど、人間は人間を殺したくないと思っていた。
なぜなら、人間を殺すと、魂が穢れてしまうからだ。
その国では、魂の穢れがたまりすぎると、人が鬼へ変貌すると言われていた。
その事実を示すように、殺人を犯した者達は鬼のようになって暴れまわった。
だから、人間はできるだけ同じ人間を殺さないようにしてきた。
しかし、戦が起こってしまってはそうも言っていられない。
そのため人間達は、人を殺す仕事を人間ではないものにやらせることにした。
そして、戦争の機械が大量に作られた。
機械たちは、多くの人を殺し続ける。
血だまりを作り出し。
穢れを生み出した。
けれど、そこに人はいない。
魂は汚れない。
だから、人々は安堵した。
これで、人間の魂は守られた。
穢れる事がなかったのだと、そう思っていた。
しかし、代わりに機械に芽生えた魂が穢れていった。
鬼になった機械は敵国の人間だけでなく、味方の国の人間も無差別に殺すようになった。
戦争で人の犠牲はなくなった。
だから死ななくなった。
けれど、鬼と化した機械の大群にのまれて、人間は死んでしまった。
そして人間は滅んだ。
だが、その根源の原因は機械だった。
人を滅ぼしたのは人が穢れを押し付けた機械だった。
誰もいない戦争 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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