2人の空間 #14
りく先輩の言葉に昨日のことを思い出し、しかも聞かれていた事を知って、余計に恥ずかしくなった。
心愛「じゃ、じゃあ先輩こそ!さっきの居残り室で目瞑ってる間に何があったんですか...」
りく先輩「そんな顔真っ赤にして、れんと夜したこと、そんなに良かったんだ?まあ教室の事も後で話すけど今はその話じゃないよね?」
心愛「えっと...」
私よりはるかに身長の高いりく先輩は目を合わせるため少し背を屈んで、私に近づいてくる。何も言えずその威圧感から逃げようと後ろに下がると、ビリヤード代に当たって、逃げ場を失った。
りく先輩「まあ確信もてたからいいや。ここちゃん今日俺の部屋でお泊まりね?」
思っても見なかった言葉に思わずびっくりして声も出なかった。
りく先輩「あ、れんみたいに襲ったりしないよ。れんとそんな事してた心愛に嫉妬したから1晩だけでも俺のものにしたい。」
呼び方が変わっていきなり変わったりく先輩の目に警戒をしたものの、りく先輩の気持ちを知っていながられん先輩の昨日の行動に流されてしまっていたこと。りく先輩が傷つくことなんて考えなかった私も酷い人だと思ってしまった。
心愛「えっと...でも1つ気になることがあります...りく先輩昨日の夜なんで起きていたんですか?その...れん先輩から普段飲んでる睡眠薬の話聞いて...それを話してくれたら行きますっ...」
りく先輩「あ〜、れんが心愛連れて来た時に何かしそうだなって勘づいて様子見てた。そしたらやっぱり飲んでた水に睡眠薬入れてんだもん。そんなのいつも飲んでるから味で分かるよ。俺不眠症酷いから今の薬効かなくなってきててもうそろそろ新しい薬貰おうとしたんだけどね、まあまさか夜に2人があんなことしちゃうなんて知らなかったかられんには言わずに寝たフリしたんだよ。」
心愛「不眠症って...大丈夫なんですか?でもフリはやめてちゃんと寝れるようにしてくださいっ。心配になります...。じゃあ昨日は寝たフリをしてたんですね...」
りく先輩「寝たフリして聞いてたの知っても俺の事心配してくれんだね。やっぱり可愛い。ほら、もう行くぞ。」
心愛「えっ...ビリヤードはっ...」
そう言うといきなり手を引っ張られビリヤード場を抜け出して外に連れていかれた。
りく先輩「ビリヤードはこれから教えていくから次はここちゃんがしたいことしよ?何がいい?」
心愛「え、えっと...じゃあ...」
「グ〜〜ッ(お腹が鳴る音)」
りく先輩「ここちゃんお腹鳴ってるけどお腹すいたの?(笑)」
心愛「ちょっと空いてるかもしれないです...// 恥ずかしいから言わないでくださいっ//」
りく先輩「か〜わいっ。ならご飯作ってあげるから僕の部屋行こっ!」
心愛「りく先輩ご飯作れるんですか!?」
りく先輩「僕のことなんだと思ってんの〜、楽しみにしててっ!」
気がつくといつものりく先輩に戻っていた。居残り室からの出来事から色々あって、いつの間にかいつもよりお腹が空いていた。お腹の音が鳴ってしまったのは恥ずかしいけどりく先輩の作るご飯を少し楽しみにした自分がいた。
心愛「じゃあ楽しみにしてます...//」
慣れた手つきで私の頭にポンって手を置き、顔を覗き込んでくるりく先輩。
心愛「な、なんですか...近いです//」
りく先輩「ほんとそういうとこ。だから独り占めしたくなる。ほら、行こっ??」
手を差し出され、私も手を出すとギュッと恋人繋ぎをされ、男子寮に向かって歩いていった。
なんだかこの前に手を繋いだ時よりも少し恥ずかしくて喋られないでいた。ふとりく先輩の顔を見るとそんな私に気を遣ってくれているのか何も言わず目を合わせて微笑んでくれた。
--------------男子寮-------------
そのまま男子寮に着いてエレベーターに乗るとりく先輩が話しかけてくれた。
りく先輩「ここちゃん。なんか緊張してる?ずっと黙ってるし僕の部屋行くの嫌だった?」
心愛「そんな事ないです!でもなんか前より手繋いでいるのが恥ずかしくて...」
りく先輩「え、もしかしてそれって俺のこと意識してくれてるってこと!?」
心愛「意識してるのかは私も正直まだわかんなくて...」
りく先輩「それでもいいよ。俺すっげえ嬉しい。」
なんだか華さんや先生と話している時の素のりく先輩が話してくれている気がして、私もなんだか嬉しくなった。
エレベーターが止まり、りく先輩の部屋がある階に着いて優しく繋いだ手に誘われるように部屋まで連れて行かれた。廊下を歩いているとエレベーターからかなり離れた部屋に着いた。
りく先輩「俺の部屋遠いでしょ。留年してるから2年の余った部屋しか使わせてもらえなかった笑」
心愛「言われたら確かに遠いかもしれないです...もしかしてそれでれん先輩の部屋にいつも...」
りく先輩「そう!正解!でも心愛と2人きりになれるなら誰にも邪魔されない遠い部屋ってのも悪くないね。」
心愛「え、えっと...//」
りく先輩「ほーら。お腹空いてるんでしょ。早く入るよっ。」
部屋の鍵を開けるりく先輩。ドアが開くとそこにはギターやおしゃれなライトの時計、机の上には何もなく、帰っていないにしては整頓されてモデルハウスのような部屋にびっくりして立ち尽くしていた。
りく先輩「びっくりした?俺色んなこと適当にみられるけど意外としっかりしてるでしょ。」
心愛「綺麗すぎてびっくりしました。私の部屋なんてもう...同じ広さなのにこんなに違うなんて今すぐ帰って片付けたいくらいです...」
りく先輩「それはだーめっ。」
-------チュッ--------
繋いでいた手をいきなり引っ張られりく先輩の元に引き寄せられるといきなりキスをされた。
心愛「え!?あ、あの...何もしないってさっき...」
りく先輩「気が変わった。ここにいる間だけ彼女になってよ。今だけでいいからさ。」
心愛「か、かか、彼女ですか!?」
りく先輩「そんなに驚かれたら傷つくなあ...昨日のれんとの事あってもキスで動揺しちゃうんだね。」
心愛「そ、そうじゃなくて...」
りく先輩「嫌だ?俺の彼女」
ここにいるだけとは言っても彼女って言葉に頭が混乱した。りく先輩が本気なのもわかるけどここで乗ってしまって次はれん先輩が傷つくんじゃないかを考えると答えがまとまった。
心愛「言われたことを受け入れてその分また誰かが傷つくのがもう嫌なんです。昨日は確かに流されちゃいましたけど、りく先輩が傷ついたようにれん先輩が次は傷ついちゃうんじゃないかって考えたらここにいるだけだったとしても彼女にはなれません...。」
りく先輩「そっかあ...そんなにはっきり言われちゃ仕方ないか。じゃあ...」
手を引かれソファに座らされると、りく先輩も隣に座ってスマホをバッグから取り出した。
りく先輩「心愛っ、こっち向いて♪」
そう言ってスマホで写真のアプリを開いて、内カメラにし、こっちに向けてきた。
心愛「え、ええ//」
りく先輩「せめて記念写真♪これくらいはいいでしょ?」
心愛「は、はいっ...」
断る理由もなく、写真に向かってぎこちなく笑顔を見せた。
---------カシャッ----------
シャッター音と同時にほっぺに柔らかいものが触れた。
撮った写真を見ると、ぎこちなく笑う私にりく先輩が私の頬にキスをしていた。
さっきの一瞬の感覚はりく先輩の唇の感触だった。
りく先輩「うん。いい写真♪」
心愛「り、りく先輩!?//」
りく先輩は私の言葉を聴こえていないふりしてスマホをいじっていた。
-----------ピコンッ-----------
今度は私のスマホに通知オンがなって、開いてみると部活のトークグループにりく先輩から何か送られていた。少し嫌な予感がしながらも開いてみると
----------トークグループ------------
りく先輩〔居残り、心愛と一生懸命がんばりました♪そのご褒美に今日は俺の彼女にします♪〕
〔添付:さっきの写真〕
れん先輩〔お前相変わらず卑怯なんだよ。何かしたら許さねーぞ。〕
りょう〔心愛大丈夫か!?〕
-----------------------------------------
心愛「りく先輩!?これどういう事ですか!?」
ウラオモテ部~入った部活は××部!?~ 來夢🐍 @raimu_rairai
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