練習用即興小説2
乙Ⅲ
練習用即興小説2
近所の老人たちが等間隔に整列し、聴いたことのない
音楽に合わせハンガーヌンチャクの練習をしている。
私はそれをベンチに座りぼうっと眺めていた。
早朝と言えども夏、老人たちは既に汗まみれ。
『一体何が彼ら、彼女らをそうさせるのだろうか?』
などと考えていると……。
列の一番端の老人が手を滑らしハンガーをぶん投げてしまった。
それは隣の老人へ直撃、その衝撃でその老人もハンガーをぶん投げ、更に隣の老人へ。
まるでドミノ倒しのようにそれは連鎖し、老人たちはパタパタと列に沿って綺麗に倒れていった。
「美しい……まさに奇跡だ」
不意に起こった早朝の悲劇にそうつぶやいてしまった私への天罰なのだろうか。
最後に倒れた老人の放ったそれが勢いよく私目掛けて飛んできた。
気が付けば眼前に見知らぬ天井。
どうやら私は老人たちと一緒に病院に運ばれてしまったらしい。
看護師さんの説明によると、飛んできたハンガーが顎に直撃、飴すらも満足に
舐められない状態らしい。
『素直に美しいと思うことすら罪なのか? ならば罪人でいい
反省など1ミリもしてやるものか。どれだけ罪に塗れようとも己の心だけは
自由だ、強く生きよう』
そう心に誓う私であった。
練習用即興小説2 乙Ⅲ @kakukaku_shikajika
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