主人公松風丸は、戦国時代の世界にタイムトラベル転生した(らしい)男。詳細は謎です。
物語は主人公の一人称視点ではなく、周囲の者の一人称視点で進みます。そのお陰で松風丸の『異質さ』が浮き彫りになって、面白い!
実際転生者を目の当たりにした人たちがどう思うか? 恐れを抱くか尊敬を抱くか、阿呆と見下すか、それとも理解するか?
それらの動きを見るのが楽しいんですよねえ。
歴史改変しまくりの内政チートしまくりですが、主人公の一人称視点がないので、彼が何を考えているのかは分からない!
彼の傍に侍っている登場人物たちと同様に、ただ傍観するしかありません。
まるで、自分まで作品の一部に取り込まれたかのような感覚ですよ。
私は逆行転生物が好きでよく読みます。
本作の主人公は、よくある成人男性の逆行転生物の成人ゆえの老成した雰囲気がある主人公とは違い。
その口調は、某協奏曲の信長さんの様な軽さがあり、
それでいて彼の方には無い知識や明確なビジョンがあり、
それを駆使して目標に邁進するその姿と、
それ故に主人公に心酔し、巻き込まれながらも支えて行く配下の方達の姿が
読む者に時に心地よく、時に悲しく、時に爽快感を与えてくれます。
また、本作の中にある
世に数多存在する様々な作品や
史実に基づく様々な逸話のオマージュは、
それに気づいた者にニヤニヤさせます。
とはいってもまぁ、人の好みは千差万別です。
中には下品なコテハンの方のレビューの様に気にかかる点も有るかもしれません。
そんな時は、
自分には合わないということで
何もせずに他の方の作品でもお読み下さい。
その方がその方にとっても有用だと思います。
ただし、私はお勧めします。