第2話 女神は良い子、しかし様子が・・・

優しくて可愛くて良い子の学園の女神―八代寧那―は俺の憧れの人だった。しかしひょんな事から俺は彼女と付き合う事になってしまった。


正直に今の気持ちを言おう・・・。



最高すぎるっ!!!



だってあの八代さんだぞ!?美人で高嶺の花で皆の人気者、八代寧那さんなんだぞ!俺は声を大にして叫び出したい気持ちをグッと抑える。


しかし俺は今までまともな付き合いをしたことがないから何をしたら相手が喜ぶのか分からない。こうなったら直接本人に聞いてみるか?


俺はちらりと隣で読書に励む八代さんを見た。八代さんは相変わらず姿勢良い。通り過ぎる者皆が八代さんの方を振り向き頬を染めて去っていくのもわかりみが深い。俺も昨日まではそっち側の人間だったからな。でも今俺は八代さんの隣をキープしている。当然だ。何せ俺は八代さんの彼氏なんだから。


しかしひとつ疑問がある。


それは八代さんが少しもこちらを見ないことだ。本当なら彼氏がこんな近くに居たら頬を染めて動揺してもおかしくない状況なのに八代さんは俺が隣に座っても尚、目の前の本を読んでいた。最初は照れてるだけかと思ったのだが一瞬目が合った時微笑んでみても八代さんは首をコテッと傾げて『どうしたの?』なんて平然と答えてくるからこっちが恥ずかしくなる。あれ?俺昨日、八代さんに告られたよな?いや、告られてはないか?でも確かに彼女になってあげると言ってたよな。もしかして夢か?俺は今まで夢でも見てたのか?


「あっ、いたいた!八代さ〜ん!」


ショックのあまり項垂れる俺だがその間に八代さんはクラスメイトに囲まれてしまっていた。


「八代さ〜ん!明日の宿題もうしてる?良かったら写させてくれない?」

「今日の放課後私掃除当番なんだけど、彼ピとデートなんだ!お願い、代わりにしといてくれない?」


宿題って、明日だろ提出日。なんでやる前から写させて貰おうとしてんだよ。


ふざけんな!その彼氏に言って明日とかにして貰えよ!


そう心の中で思っていても俺が声に出すことは禁じられている。陰キャに発言権はないのだ。


ジト目で睨んでる俺に反して八代さんはすぐにノートを渡し、掃除当番の件もすぐに了承した。


女神だ…目の前に女神が居るぞ。


女子達は―ありがとー―と言って去って行く。八代さんは小さく手を振りながら笑っていた。


八代さんは優しすぎる。俺ならノート見せろと言われた時点で顔面にノートを投げつけるだろう。しかし先程から八代さんの様子がおかしい。八代さんは先程の女子達が去って行ったところをジッと見つめて微動だにしなかった。


「八代さっ、」

「・・・ちっ」


俺は耳を疑った。


なんだ、今の音は。


八代さんの様子が気になった俺は八代さんの顔を覗き込むが、その後目を見開き固まってしまうことになる。



八代さんの目に光がなかったのだ。



♢♢♢♢♢♢


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学園の女神はイイコ、だけど僕の前だけではメンヘラだった件 白夜黒兎 @yuka822

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