後編 ボクのセンパイのみんなの想い

「ん?どうした?」

流石に気まずくなってる事に気づいている。だからこそ、ボクも声を出して会話を増やそうとする。

「いやお前ここで口挟むなよ・・・。黙って聞いとけ」

「・・・」

理不尽にキレられたので、黙って頷く。


「無理だと分かってるけどさ・・・、あー、好きだ。俺と付き合ってくれ」


・・・、・・・。・・・?!?!


「え、それって、どういう?マジ?」

思いがけない言葉に、変な返ししか出来ない。今コイツなんて言った?

「いやマジで、マジだから。お前があのセンパイってやつのこと好きなのは知ってるけど、それでもマジだから。意外とガチのやつだから」

焦って早口でまくし立てる夏樹。本当らしいが、どうしたらいいのか。

「えっと、どうしよっか」

ボクは1人で呟く。ギリギリ夏樹に聞こえないくらいで。

「どうもせんでいいよ。お前好きなのはセンパイだろ。俺が言いたかっただけ」

「う、うん。ごめん」

「・・・謝らんで!ほら、何も無かったハイ!お前の番だから次!センパイのとこ行けよ!そのために今日は計画したんだよ!」

正直夏樹の事は嫌いでは無い。ボクは嫌われていると思っていたが、そうでないなら尚更。だからこそ、辛く感じる。


「これが最後だからよく聞け。俺が今日言ったのは、俺がお前のことを諦める為だ。ここで笑顔でお前が『セーンパイッ』ってあの人のとこ行かないと、俺が許さねえ」

「そこまで言うなら・・・」

何て言うんだろ。ボクがセンパイのこと好きなのも事実。夏樹がボクに今、告白してるのも事実。それが嫌と思わないのも事実。でも、と永遠に頭がぐるぐるする。小さく一呼吸してから夏樹に目を向ける。


「ありがとう、夏樹。ボク、夏樹に嫌われてないんだってすごく嬉しい。だから、行ってくる」


ボクにはこれが精一杯だった。夏樹のこともきっと大好きなんだと思う。友達として。夏樹もボクのことを良く分かってるんだと思う。だから、夏樹が喜ぶのはこうだ。重い足取りでセンパイの方に向かう。


「せーんぱいっ!!」

センパイはベンチの隅でかわいくなってた。「センパイ、今大丈夫です?」センパイはニコニコしながら「うん」って頷く。やっぱ可愛い。

「センパイっ!大好きです!」

「?私も大好きだよ?」

「そうじゃなくって!恋愛的な意味で!」

ありえないほど赤面しているのが分かる。夏樹もこんなのだったのかな。ほんと凄い夏樹。

「ありがとう…」

センパイは言葉を繋げる。

「私も友希ちゃんのこと大好き。でもこれが本当の、友希ちゃんと同じ好きか分からない。だから、お友達からでも、いいかな」

「…!!はい!!」


これがボクのハッピーエンドのお話。優しいセンパイのある意味ありきたりの返事。でも、ここからボクがセンパイを本気で好きにさせてやるっ!




おまけ

「夏樹、これで良かったのか?」

「大翔かよ。ちょうど良く来たな」

「お前のシナリオ通りだけどさ、今日お前だけが傷負ってるぞ?」

「それでいいんだよ。俺が好きだから言いたかっただけ」

「ふぅん?かっけぇじゃん?」

「そういえば大翔、お前は好きな人とかいねーの?お前の番だろ次」

「いるけど?」

「マジかよ?!誰?協力するぞ!!」

「うーん、一つだけ言うと、今日俺も気持ち伝えてもいいかなって思えた」

「お?俺が盛大に振られてあげたお陰か?!」

「早速ネタにすんなよ…。ま、正直そうだな」

「で、誰なん?また今じゃ無くても教えろよな!」

「おーいつか」


「気づけよ何で俺が友希のやつを嫌ってると思ってんだよあいつ…」

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センパイをボクが好きにさせてやる クラル @clarnoohanasi

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