中編 ボクとセンパイとみんなとおしゃべりしただけなのに

「あ、大翔じゃーん!どした?」

声の主は大翔。ボクは呼び捨てで呼んでいるが、ただのクラスメイト、くらいの距離だ。ただ、何故かボクは大翔に嫌われている。口喧嘩が勃発するだけの夏樹とはレベルが違う。いったいボクは大翔に何をしたのか。

「あー、いきなりなんだけどさ、お前、夏と関わるな」

「ホントにいきなりだね?!?!」

あまりにも急すぎる内容に流石に驚いた。大体関わるなと言われても、毎回あっちから話しかけてくる。

「え、何でー?」

「そりゃー、な、なんとなく?」

「変なやつー」

ボクは悪くない。

というかボクから言わせてよ大翔よ。何で急に来るの。何の伏線もフラグも脈略もなかったよ?!


「ってことでさ。今度遊ばね?てこと。俺と夏と、お前と。誰か好きなやつ連れてきていいからさ。」

大翔が何を言ってるかさっぱりだったけど、センパイと遊べるってことらしい。爆速でセンパイにも許可を貰い、来週私服でセンパイに会えることに歓喜する。

 で、大翔は結局何だったんだろう?


 日曜日が来た。遊ぶとは言っても所詮はそこらにいる中学生。お菓子を持ち寄って公園に集まるくらいで充分というのが正直なところだ。今日はセンパイが気を利かせてバトミントンを持ってきてくれた。そういう優しさがセンパイを好きな理由なんだよな、きっと。


「初めましてー。よろしくおねがいしまーす!」

センパイと初対面の男子組が軽く挨拶をする。センパイの天使に男子達はやられて・・・なさそうだ。残念だけど安心。先輩断固同担拒否のボクとしては複雑な気分だ。


「でねー!ボクはそこにいなかったからー」

「うん。変わった子がいてね。男の子なんだけどー」 

それからよく分からない話が続いた。しかも男子組は真剣にうんうん聴いてる。何なのこのカオス。

「ごめんね。ちょっと自販機行ってくるわ」

突然センパイが立ち上がった。

「センパイ!ボクも行きます!」

「大丈夫よ。友希ちゃんは待ってて」

「え、あ、はい・・・」

センパイはささっと立ち去っていった。

「あ、俺もちょっとトイレ行ってくるわ」

大翔も立ち上がった。正直どうでもいい。


「なんか人減ったな」

「確かに」

夏樹と2人になったテーブル付きベンチで適当に会話を続ける。センパイも大翔も遅い。そろそろ亀でも帰ってくる頃だ。センパイだからいいんだけど。

夏樹が頑張って会話を続けてくれている、のに。この後の流れはボクには衝撃的を超えていた。

「あのさっ、」


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