第13話 洞窟での出会い
持てる量の限界までジャイアントボアの肉を詰め込んだユイナ達が、索敵をしながら進んでいると、前方に人型の反応が現れた。
「これは…オークかな?」
どうやらこちらの方向に向かって来ているようである。
「こちらに来そうだけど…」
「オーク肉も美味しいらしいけど、これ以上持てないから、避けて行くにゃ。」
ユイナらしい回答を貰ったので、無駄な戦闘は避け、オークが行き過ぎるのを辛抱強く待った。
「あぁ〜私のボア肉の残りがアイツに取られちゃうにゃ。しょうがないけど何かムカつくにゃ。」
「今オーク認識したから、今度倒したかったら探せるから…」
ユイナを宥めながら、目的地へ向けて進んだ。
「地図によるとここら辺が入口のはずたけど…」
森に面する山のふもとで地図を広げながら確認するが、それらしいものが見当たらない。
「ゴツゴツした岩しかないよなぁ…とりあえずブレスレットを着けてみるか。」
ブレスレットを取り出し着けてみると、岩の一部がゴゴゴッと奥に引っ込みだした!
呆気に取られて見ていると、人1人がしゃがみながら通れる隙間ができていた。
「ふぇ〜…凄いにゃ…」
注意しながら隙間を通り抜けたその先には、ほのかに光るものが2つ
2人の歩きに合わせて2つのほのかな明かりが漂いながら付いてくる。不思議だが、嫌な感じは全くしなかった。
そのまま30mぐらい進むと天井が高くなり、厳かな雰囲気の大きな両開きの門扉が行く手を遮っていた。
『
何処からか重く身体の芯に響くような声が聞こえた。
これしかないよなぁ…と思いながらブレスレットを掲げると、重厚な音を立てながら扉が開いていった。
扉の中には大空間が広がっており、先程と同じほのかな光が数多く漂って、内部全体を照らしていた。そして空間の中央には澄んだ水を湛えた地底湖があり、湖面が光を反射していた。その上下に広がる光の幻想的な様子に
「綺麗だにゃ〜」
と僕とユイナは感動してしばらく立ち尽くしていた。
その後湖に近づくと、湖の中央まで格式を感じる桟橋が伸びていた。
「とりあえず桟橋の先まで行ってみるよ」
とユイナに言い、僕は桟橋を渡り始めた。
ユイナが立ち止まっていると、ここまで付いてきた光が、ユイナの目の前をグルッと回り、まるで誘うかのように湖岸を右に進んでいった。
「うん?付いて行ってみるにゃ。」
ユイナは光の誘導に従い湖岸を歩き出した。
僕が桟橋の中央まで進むとブレスレットが輝きだした。
するとそれに呼応するように、地底湖から柔らかな光を放つ羽を背に付けた小さな女の子が、目を閉じた状態で現れた。
うわっ!誰!?何!?どうすれば良いんだ??
プチパニックになっていると、
「Zzz~。Zzz~。」
と寝息が聞こえてきた。
「……え〜っと、…寝てる?」
「Zz〜、はっ!!」
女の子が目を見開いた。
「…」
「…」
思わず見つめ合ったあと、
「寝てました?…」
と聞くと、女の子は目をそらしてから、
「フハハッ、何の事かな?
しかしなんと久しぶり…
と言ってきた。それを聞いて(父さんと母さんの名前だ!)と驚き興奮しながら、
「はい!ライルと言います。」
と勢い込んで答えた。すると女の子は
「ではライルよ、よくぞ参った。我はこの泉の妖精シズクである。汝に精霊と繋がる力を授けよう。」
と(今さらだが)厳かな声で告げたのだった。
落ちこぼれ魔術師と気ままな精霊 ~召喚したけど制御できません~ 秋空 海 @Yoshi00871
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