第23話 とあるレストランにて

今日はおじいちゃんとお兄ちゃんと、夕飯を食べに近所のおでん屋さんに来た。最近の学校の話とか、ハマってるユーチューブの話をした。おじいちゃんは「最近は凄いのがいっぱい何だなぁ」なんて言いながら、和気あいあいと、ご飯を食べていた。


おじいちゃんがタバコを吸うために、喫煙所に行って、お兄ちゃんと二人になった。するとお兄ちゃんに、「お前、さっきからうるさいんだよ」と言われた。

 私は、怯えて何も言えなかった。けど、頭の中は、私の話しすぎたかな、ちょっと声が大きかったかなと脳内会議が行われていた。

 お兄ちゃんは、黙々と大根を食べて、私も黙々とはんぺんを食べた。あんまり味はしなかった。


 黙々と食べていると、おじいちゃんが喫煙所から帰って来た。ムスッとした私達を見て、何かを察したのか、「喧嘩でもしたか?」と聞いてきた。

 お兄ちゃんは「別に。」なんて素っ気なく答えた。私は、黙って下向きにはんぺんを食べていた。

「嘘が下手なのは、おじいちゃんと一緒だなぁ。」とおじいちゃんが言った。

 私は見透かしたようなシワシワ目のなおじいちゃんに視線を向けた。おじいちゃん話を続けた。

 「儂はずっと後悔してることがある。それは、お前達のお母さんと、ずっと喧嘩したまま謝れなかったことじゃ。陸、海、お前達ははこれから先もずっと家族じゃ、人間誰だって一緒にいたら、喧嘩することはある。けど、すぐに謝って仲直りすると今私に約束しなさい。病気や事故で人間いつ死ぬか分からない。でないとおじいちゃんみたいにずっと苦しい思いをすることになる」とおじいちゃんは神妙な面持ちで言った。

 隣を見るとお兄ちゃんは、泣いていた。

私も、泣いていた。

 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アイデアの本棚 Hollow @hero83

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る