「やや…だ、ダメだろっ…」



何でオレなら良いとか言っちゃうんだ、コイツは…。

男同士なのに…ちょっとときめいちゃったじゃんか!


くっそう…コレはきっと、あれだ。

ルーファスが反則的に格好良すぎるから、いけないんだ。


だから、決してオレがヘンなわけでは…





コイツの問題発言に、頭ん中はパニック状態なのに。

ルーファスの追撃はこれに留まらず…更にオレを翻弄していく。






「駄目…か?」


セツは嫌なのだなと、あからさま落ち込んでみせるルーファスに。なんで!?…って変な期待が高まるもんだから。


オレは慌ててイヤイヤと頭を振った。






「すまない、お前と噂されたと知り…少々浮かれてしまったようだな。」


浮かれるってどゆこと?

ルーファスの反応見てると、ダメだ…なんかその気にされられちゃうからヤバい。



違う違う、コレはコイツの無自覚なタラシ行為なわけであって…他意はないんだから。


だから、なんだって言うんだよぉ~…







「別に、オレだって…」


ほら、ルーファスが妙な事ばっか言うからさ。

オレまでおかしくなっちゃうじゃんか…。





「ルーファスの相手がオレだって知って、安心したし…」


もし今本当に、メイドさんと恋人だった────…なんて宣告されたら。オレ、きっと立ち直れなかったもんな…。


そんなことを、モゴモゴと口に出せば。

ルーファスは目を丸くして…オレの肩をガシリと掴んだかと思うと。真剣な面持ちで、こう叫んでいた。







「セツ…私は何があろうと、お前だけのものだ!」



″守護騎士として─────…″



その言葉がなかったら、本当に勘違いしちゃっただろうけど…。


ルーファスは生涯を以てして、オレに全てを捧げるからと。大袈裟にもわざわざ跪ずいて、騎士の誓いをたてるのであった。








『…なぁんだ、つまんねーの。』


『ふふ、本当は安心したんでしょ?ジーナが一番セツのこと、心配してたもんね。』


『ばっ…別にそんなんじゃねーって…』



そんなオレとルーファスの遣り取りを、影ながら見守る4人組。





『セツのメイド服、ぜひ僕もこの目で拝みたかったなぁ。もう一度着てもらおうかな?』


『…陛下も同じ事を仰ってましたよ。先日何かしら衣装を作るとかで、セツの服の寸法を一から事細かに調べてましたしね…。』



それが後々、別の形で成されようとは露とも知らないオレは。






「それだけあの時のセツは、乙女の如く可憐だったからな…」


「もう、ばか…」


その後も、ルーファスに蝶よ華よと散々煽てられた挙げ句。まんまとその気になってしまい…。


再度迫り来るであろう、二度目の黒歴史の気配に。

全く気付いていなかったのであった。



おしまい☆

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守護騎士外伝~偲ぶる恋の詩~ 祷治 @jmjmjm1046

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