誰か私を言葉で満たしてほしい
終電で帰れると脳が満足感で満たされる。今日も時間ギリギリまで人と話せた。その上、終電を逃さない理性を保てた。疲れはあまり感じない。
今日はインタビューを三件こなした。バーで出会った初対面の男性二人に、サークルの友達(女性)一人。他人の人生を手に入れた。背負う義務もたくさん。
家に帰ったら日付が変わる。それまでにブログを書かないといけない。ブログは毎日更新を二ヶ月続けている。毎回、執筆直前まで何を書くかアイデアは出てこない。空白を前に捻り出す。
基本的には自分を切り売りするコンテンツが多い。記憶、好み、所作、信念、計画。そういったもの、普通は秘密にする領域をお出しする。躊躇いはない。
切り売りすると自分が痩せ細るのではと思って始めたが、意外と日々書くことによって自分の存在感が膨らんでくる。きっと書き尽くせないのだろう。
より強い刺激を求めるようになった。酒、薬、インタビュー、小説執筆、ブログ執筆、恋愛。ここが綺麗だった、お花畑だった。今は──。
失恋あたりから恋愛小説のリアリティレベルはより曖昧なものになった。嘘ばかり書いているが、真実も多い。フィクションを作っているつもりだが、周りからは事実とみなされる。インタビュイーの造形はその都度ゼロから作り込んでいるが、これって私のことですよねと言われることも多い。
ファンタジーを書きたかった。なろう小説みたいに、一から世界を構築して、しがらみとかない世界で冒険したかった。
しがらみしかない世界で泳いでいる。必ず死ぬと書いて必死。
ああ、そうだ、今日のブログは死についてでいい。いつだって語れることだし、いま書いておかないと。
ごめん、コントロールできない大砲、僕。どこを狙って撃てばいいのかな。あ、号令が聞こえた。点火する。雷の音。
夢の中で巨大な壁に向かって立っていた。インタビューした人たちが僕の隣に並んでいる。一人一人に謝って回るけど、みんな鷹揚に許してくれる。何を謝っているのかはわからない。壁も喋りかけてくるけど、聞き取れない。
起きてからさすがに自己嫌悪する。自分にとって一番都合のいいヴィジョンを夢に見るって、一番下賎な無意識のあり方。
結局夜遅くまで、終電まで話し込むのがセックスよりもオナニーよりも気持ちいい。魂のあり方がそうなんだと思う。誰か私を言葉で満たしてほしい。
器が喋るな!
どないやねん history @contemporary_history
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