第4話 刀工と娘<前編>

「お嬢さん?」

 みことはスペキャになっていたが、すぐに状況を理解した。

「あ、すみません!変なとこお見せしてしまって…やっと、この地に着いたのですから」

「おやおや、行く宛はあるのかい?」

「…ないです」

「ふむふむ、ではうちに来るといい」

「え?」

「家内も喜ぶ」

「え?でも、いいんですか…?」

「構わん。儂の名前は一条司 」

「(えっと…誰?)」

 みことは混乱した。!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!

 既に不信に見えてるのでみことはさっさと頭を切り替えて自己紹介をした。

「…先程は失礼しました。私は旅人の櫻井みことと申します。この度はお声かけ頂きまして有り難うございます」

「みことさん、いい名前だね。さて、ついておいで」

「有り難うございます」

 みことは宿をゲットした。


 ☆☆☆☆☆☆


 みことはそのまま一条さんに着いていった。

 中から1人の女性が出てきた。

「あら、お帰りなさい」

めちゃくちゃ美人さんがいた!!

「は、初めまして!」

「あらあら、可愛らしい娘さんね」

「すまないな。宿がない上に怪我してたから連れてきたんじゃ」

「まぁまぁ!それは大変!ささ、上がってくださいな」

「何から何まですみません」

「いいのよ!私も娘が欲しかったから」

みことは泣きそうになった。

だって見ず知らずの娘をまるで母親のように接してくれるから。

「うぅ…有り難う…ございます」

「ふふっ、いつでも母と思っていいのよ」

神様!いや、女神さまだわ…

みことは一条司様の奥さまの温もりに浸っていた。



☆☆☆☆☆☆


お風呂からあがり、食事もすませた。

縁側でまったりしていたら…

「お隣、いいかしら」

「は、はい、どうぞ!」

「有り難う」

突然ですが、奥さまの名前は一条マサ様。

とても優しくて美しい。

「みことさん、お願いがあります」

「な、なんでしょうか」

「貴女に…貴女に…刀作りを手伝って欲しいのです」

「か、刀ですか!?」

みことはさらに混乱した。

だって、私のいたところでは銃刀法違反になる。でも、ここは平安時代なら話は別。

「はい。主人は刀工なのですが、今息詰まってまして」

奥様の話をまとめるとこうなる。

今、天皇より姫様に送る短刀をつくって欲しいと。

それは一条さんだけでなく、三条宗近さんや粟田口吉光さんまで参加してるとか。

これはいいものを作らないとと気を張ってるらしい。

「どうかお願いします」

みことは考えた。

お世話になってるから勿論助けたい。

けど刀は作れない。

出した結論は…



「わかりました!!この櫻木みことがお手伝いさせていただきます!」


なんでも屋としての仕事の始まりです。

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なんでも屋さんはあっちこっちで振り回されています!? @rosk1839

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