第5話 暗い部屋に僕はひとり
「―――っ!?…いったぁ」
顔から床に落ちて目が覚めた。最悪な目覚めだ。
…喉がガラガラする。大きい声で寝言を言っていたかと思うと、顔が火照るよりも血の気が引いた。あんな夢を見るなんて。
ハルは…大切な幼馴染みはとっくの昔に死んでいる。あんなドラマチックな話じゃない。
何があったのか僕は何にも知らない。ただ彼は自殺した。僕の知らないところで。僕の知らないうちに。
……大人になれば、また会えると思っていたのに。もう二度と彼に会うことはないのだ。分かっている。分かってはいるのだけど、未だ時々夢を見る。
せめて、そばにいたかった。だって、彼は僕の―――。
雨戸の隙間から、細く朝日が射し込んでいる。だけど、今は空なんて見たくなくて、顔を地面に押しつけた。
白の世界を夢に見て おくとりょう @n8osoeuta
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