物語の終わりにあなたは何を想うだろうか?

★どんなことをテーマにした作品なのか?
この物語は恐らく舞台が現代。
朝、昼、夕、夜、晩がテーマの短編集である。

【一話目:朝 予告された死】
1 どんな物語なのか?
いつもと変わらない日常から始まっていくようである。主人公は仕事人間であり、日記を読み返すことを習慣にしていた。そのおかげで約束事を忘れたりすることもなく、仕事においては勝ち組、エリートなようだ。しかしながら、恋愛は別。仕事のようにはうまくいかない。よって配偶者がいてもおかしくない年齢ではあるが恋人はいないようである。
二日目に明かされる予告された死について。その経緯と回避法が明かされる。果たして彼は生き残れるのであろうか?

2 好きな所や印象に残ったところなど。
占いに振り回され、普段なら恐らくしないであろうことを積極的に行う主人公。心の中で言い訳の様な事をしているのが印象的。普段と違うことをするということが、非日常への入口なのかもしれない。

3 物語の先を想像して。
当たる当たらないかは別として、彼の人生の分岐点になったのは占いであった。それを守ろうとすることで訪れた非日常とチャンス。これは平凡な日常を送っている人にとって希望となるかも知れない。彼はこの七日を通して何が大切なのかを知ることができたのではないだろうか?
恐らく、何かを選択する時、この時のことを思い出すのではないかと想像する。

*二話目は詩につき割愛

【三話目:夕 好きです!】
1 どんな物語なのか?
シャボン玉について想う主人公の心情から始まっていく。
かなり展開は唐突な感じがする。そこから明かされていく主人公の過去。彼女が一人でいたいと感じるのには理由があったのだろうか。

2 好きな所や印象に残ったところなど。
不思議な始まり方。その理由は先を読むと明らかになっていく。
気になるのは自分と似ているという主人公の言葉。人は分からないからこそ恐怖を感じるのではないだろうか?

3 物語の先を想像して。
正直青年が言っていることは、分かりそうで分からない。しかし、惹かれ合うのは理屈ではないのかも知れない。彼女は今度こそ心から幸せになれるのではないだろうか?

【夜 うるわしの少女】
1 どんな物語なのか?
主人公が小説のネタを探すため、ある森に訪れたところから始まっていく。そこで主人公はある少女と出逢う。彼女は高いところも暗いところも苦手なようで?

2 好きな所や印象に残ったところなど。
不思議な物語。主人公の心情は丁寧ではあるが、少女の性格から彼女たちについてはミステリアスな部分が多い。彼は元々小説のネタを求めてやって来たが、彼女のことを知り、それをきっかけにして色んなことを深く考えていく。

3 物語の先を想像して。
主人公の探していた魔女とは一体誰だったのか?
いろんな考え方が可能だと思う。少女が受け入れたのが唯一主人公だけだったとしたならば、彼はこの先も少女たちと共に過ごすのではないかと思われる。

*五話中、三話拝読させていただきました。

【全体の見どころについて】
全体的に不思議な物語だなと感じた。テーマは愛なのだろうか? 真面目な中に色香も混ぜ込んでおり、時々煩悩が垣間見える。それが人間らしさを醸し出しているのかも知れない。それぞれの話しのモチーフは重いものだと思う。
何かを抱えた人物が、解放されていくまでの様子を主人公の視点で描いた物語なのかな、と感じる。
善が常に善とは限らず、時に人の心に重くのしかかることもある。哲学を感じさせる作品。深く物事を考えるのが好きな人にお奨めした物語である。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
お奨めです。