勇者たちと流れ星(修正版)

 作・月風 瑠風


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 ◆◇◆◇◆◇


 85 ♂ 18歳 主人公 ユウトとアイは幼馴染 幼いころに両親を亡くし祖母に育てられたが、その祖母も年で動けなくなり、伝手で食堂でお世話になっている。 不器用だが人一倍努力してきた努力家。曲がったことが大嫌い。赤のメッシュが入った黒髪で黒と紫のオッドアイ 頬に傷がある


  85♂ 18歳 レツヤとアイの幼馴染 才色兼備 文武両道 高身長でメガネ 白衣が似合う 学校を卒業し、里帰りしていた。 銀と青の髪でキリっとしているイケメン顔、プライドが高く自分はなんでもできると思っている。 ※長文あり


 42 ♀ 18歳 食堂〜愛と勇気〜の看板娘 レツヤとユウトの幼馴染 金髪蒼眼の美少女 食堂に住み込みで働いており、一人で店を回す実力派ウエイトレス 自覚はないがレツヤに恋しており、自分の事を可愛いと思い込んでいる為、レツヤに再三ちょっかいをかけては軽くあしらわれている。


 27 不問 15歳 女装している男の子 黒髪金目で少し丸みを帯びた顔をしている。食堂〜愛と勇気〜を経営しているオーナーの息子で実は美少年 レツヤ達より年下だがしっかりしており、いつも二人の面倒を見ている。 何故か女装しており、頑張って中性的な感じを出しているつもりになっている。※Nと兼ね役


 46 ♀ 闇の組織 絶望の二人組として恐れられている。ドSお姉様、じっくり弄ぶのが大好き


 39 不問 闇の組織 絶望の二人組として恐れられている。 無邪気な少女(少年) 僕っ子


 N 55 不問 ナレーション ユウキと兼ね役。




 〜配役表〜

 レツヤ♂:

 ユウト♂:

 アイ♀:

 ディス♀:

 ユウキ、N 不問 :

 ペア 不問 :


 ※呪文詠唱は、英語で書いてありますがカタカナ読みで!


 ◆◇◆◇◆◇


 本編はここからです。


 N:とある山奥の広場、2人の青年が距離を取り向かい合って睨み合っていた...

 ユウト「さぁ、かかってきな!一捻りにしてあげるよ、あの頃みたいに...ね!」

 レツヤ「ふん、余裕そうだな」

 ユウト「まぁ、僕は剣と魔法の名門校を首席で卒業したのだから、当然だろ?」

 レツヤ「いってろ、そういってられるのも今のうちだぞ!俺だって厳しい修行を耐え抜いてきたんだ!」

 ユウト「へぇ、なら...遠慮なく..........」

 N:ユウトは深呼吸をして呼吸を整え、掛け声とともに木刀を構える、その構えを見たレツヤは思わず息をのんだ。その隙の無い構えに真剣なまなざし、覇気のある掛け声に圧倒されるかのように・・・しかし、これで怯んでいてはカッコがつかないと思い覚悟を決め武器を構える。その目もまた相手の覇気をものともしないような真剣なまなざしだった。対立した二人の間に緊迫した空気が流れる。それを打ち破るようにユウトが掛け声をあげ踏み込んだ

 ユウト「行くぞ!!」

 レツヤ「...来い!」

 N:地面を蹴り上げレツヤへと突進する、それに負けじとレツヤも木刀を握りなおし受けの構えをとる。疾走し加速した剣は勢いを増し凄まじい剣撃としてレツヤを襲う、ユウトの攻撃は一撃一撃が速く、鋭く、そして重く、レツヤは受け止めるのが精いっぱいだった。

 ユウト「はっ!」

 レツヤ「っくぅ」

 ユウト「どうした!修行の成果を見せてくれるんじゃなかったのか?」

 レツヤ「っち!なら、お望み通り見せてやるよ!」

 N:レツヤは何とか体勢を立て直すと、ユウトへ悟られないよう木刀へ闘気を込める。

 レツヤ「闘気力注入オーラチャージこれでなんとか・・・」

 ユウト「ふふ、まだまだだね。何か小細工をしているようだが、僕にそんなものは通用しないよ!っふ、はぁ!」

 レツヤ「っく、だがやられっぱなしじゃ終わらないぜ!ここだ!おらっ!」

 ユウト「っと、あっぶな__」

 レツヤ「まだまだぁ!!」(レツヤが被せるように攻撃を繰り出す)

 N:勢いに乗りここぞとばかりに攻撃を仕掛けるレツヤ、不意を突かれたユウトは体制を崩してしまう。しかし、ユウトは瞬時に体勢を立て直し、無詠唱で木刀に闘気オーラを込めレツヤの木刀を弾き返す。

 ユウト「っはぁ!」

 レツヤ「なにっ!?」

 N:一瞬の出来事だった。弾かれた木刀は宙を舞い地面へ突き刺さる。勝負がついたことを察するとユウトはゆっくり近づき、呆気に取られているレツヤの首元に、木刀の先を当てた。

 ユウト「勝負あり...だね!」

 レツヤ「息切れ)くっそ、また負けたよ...」

 ユウト「ふぅ、危ないところだった... まぁ、いい線いってるんじゃないの?」

 間

 ユウト「強くなったな!」

 レツヤ「っち、褒められても嬉しくねぇよ...」

 N:そんな2人の元に、可愛らしい服に身を包んだ美少女がそのきれいな髪を靡かせながら駆け寄って来る。長い髪は太陽のように輝く金色で、瞳は澄んだ蒼をしている。

 アイ「あー、レツヤ!やっと見つけた!もぉ、探したんだからね!」

 レツヤ「え、いや!その...」

 ユウト「これはこれは、お久しぶりです」

 アイ「まぁ、ユウトじゃない!久しぶりね!元気してた?」

 ユウト「はい、おかげさまで!」

 アイ「よかったぁ...!ねぇ!せっかくだし夕飯うちの店で食べてきなよ!」

 ユウト「それはいい考えですね!」

 レツヤ「っちょ、勝手に決めんなよ!」

 ユウト「まぁまぁ、レツヤもたまには付き合えよ!」

 レツヤ「俺は...もう少しここにいる」

 アイ「えぇ!何いってるの、レツヤもくるの!」

 レツヤ「だから、勝手に決めんなって...」

 アイ「来て、くれるよね?来てくれないの...?ぐすん」

 ユウト「あーあ、女の子泣かせた〜」

 レツヤ「わかったわかった、行くから!泣くなって...」

 アイ「ほんと?本当に来てくれる...?」

 レツヤ「行く行く、行くよ...」

 アイ「M)レツヤってやっぱりちょろいなぁ...かわいいっ、ふふ」

 レツヤ「アイ?どうしたんだ?ボーッとして...」

 アイ「ああああ、ごめんごめん!さぁご飯食べに行こ〜!私もうお腹ペッコペコだよぉ」


 ※遠くから呼びかけるように

 ユウト「お〜い!2人とも〜行かないのか〜い?先行っちゃうよ〜!」

 アイ「あー!待ってよぉ〜!」

 レツヤ「っちょ、ったく...」

 N:マイペースな2人に、思わずため息が出てしまうレツヤ、やれやれと言わんばかりに一息つくと、2人を追いかけるようにレツヤも走り出した。


 ◆◇◆◇◆◇


(町の食堂〜愛と勇気〜)


 N:ここは、この街で一番大きな食堂。この街の人ならば一度は必ず訪れたことのある程、有名な大食堂だ。食堂に着いたレツヤとアイは、息を切らしていた。

 レツヤ「息切れ)やっと着いた...」

 アイ「息切れ)私、もうだめぇ...」

 ユウキ「いらっしゃい!ってアイにレツヤじゃないか!いったい店番をすっぽかしてどこへ行っていたのかな~?」

 アイ「私は...レツヤを探しに行ってたのよ!うん」

 レツヤ「っちょ!俺に全ての罪をなすり付けるな!」

 アイ「別に間違ったことは言ってないもーん!」

 レツヤ「っちぃ...」

 ユウキ「2人とも、一応雇われの身なんですからしっかり働いてくれないと困ります!」

 レツヤ「はいはい、頑張りますよ」

 アイ「ちぇ、結局私も一緒に怒られるのか...」

 レツヤ「そういや、今日はもう客いないんだな」

 ユウキ「はい、今日はもう店閉めるので...」

 レツヤ「そうなのか」

 ユウキ「...手伝ってくれますよね?」

 レツヤ「あ、あぁ...もちろん!手伝うよ!手伝う!な、アイ!」

 アイ「えー、お腹が空いて動けないよ〜」

 レツヤ「小声で)頼むよ〜、また昼飯抜きになっちまう...」

 アイ「むぅ、別にそれ私関係ないし~」

 ユウキ「あーそうそう、手伝ってくれた人には、今夜は特別にSPコースをご馳走する予定です」

 レツヤ「ほらほら、SPコースだってよ!」

 アイ「あれ?なんだか急にやる気が出てきたぞ〜」

 レツヤ「ははは、単純だなぁ...」

 アイ「うるさいわね!そんなことより仕事よ!仕事!」

 レツヤ「調子いいなぁ、まったく... そういえばユウト、どこ行った?」

 アイ「あら?たしかに、どこ行っちゃったんだろ?」

 ユウト「あぁ、僕はここにいるよ。ご馳走になるんだし僕も少しは手伝おうと思って」

 ユウキ「ありがとうございます!あぁ、それはこっちです。」

 レツヤ「呟き)なんだ、ユウト俺の仕事やってくれてるじゃん...じゃあ俺は休んどこー」

 アイ「さっすがユウトね!頼りになるわ!どっかの誰かさんとは大違い...ってあんた、何サボってんのよ!」

 レツヤ「んだよ、ユウトが手伝ってるならいいじゃん、少し休ませろよ!」

 アイ「休ませろ〜じゃないわよ!ほら、働く!またお昼抜きにされてもいいの!」

 レツヤ「それだけは勘弁してくれ〜!」

 ユウト「あはは、変わらないな...お前達は。」

 N:あの日願った幸せな日々。しかし、この街にも、魔の手は着々と迫ってきていた。


 ◆◇◆◇◆◇


(街外れ)

 ディス「この辺りに、あの御方の器に相応しい人間がいると聞いたけど...本当にいるのかしら?こんなちっぽけな街に...」

 ペア「いなかったらさ!街を絶望に染めちゃおうよ!それも面白そうだよ?」

 ディス「ため息)そんなお遊び、貴方一人でやってなさいペア...」

 ペア「えぇー!なんでぇ!ディスは付き合ってくれないのぉ〜?」

 ディス「私にそんな暇ないわ、そんな事よりぃ早く帰って続きをしたいわぁ、フフフ♡」

 ペア「なにニヤニヤしてるのさ!あ!こっちの道おもしろそう!じゃ、僕はこっちから行くから!また後で、バイバーイ」

 N:自由奔放なペアはディスの返事を待たずに走り出す。当然、ディスは帰ってからの事で頭がいっぱいで気づいていなかった。

 ディス「ほら、ぼさっとしてないで早く終わらせるわよ?・・・って、いないじゃない!まったく、目を離すとすぐどこかへ消えるんだから・・・」


 ◆◇◆◇◆◇


(夕飯後)

 N:夕食を終え、レツヤとアイは一息ついていた。

 レツヤ「ふぅ、食った食った!ごちそうさま」

 アイ「あぁ〜美味しかったぁ♪」

 ユウキ「ちょっと皆さん!食べたら終わりじゃないですよ!片付け手伝っってください!」

 アイ「えー...」

 レツヤ「しょうがねぇ、片付けするか...」

 アイ「あ!レツヤ、私の分もお願い♡」

 レツヤ「何言ってんだよ、自分でやれ」

 アイ「けちけちけちけち、私の分も片付けしてよ〜」

 レツヤ「はいはい、わかったから!」

 アイ「やった!ありがと♡」

 レツヤ「...(ため息)」

 間

 レツヤ「そういえば、ユウトの姿が見えないな...」

 アイ「ああ、ユウトなら少し風に当たってくるって出て行っちゃったわよ」

 レツヤ「なんだよ、ちょっと俺探してくるわ」

 アイ「へ!?ちょっと!片づけは~?」

 レツヤ「あー後は任せた~!」

 アイ「あとは任せたって!待ちなさいレツヤ!もー!!!」

 ユウキ「就寝時間までには帰ってきてくださいよー!」

 レツヤ「はいはい、わかったよ〜」

 N:レツヤは制止するアイを振り切り食堂を後にした。


 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 N:一方その頃、ユウトは山奥の広場で一人物思いに耽ていた。

 ユウト「やっぱり、ここは落ち着くな...」

 間

 レツヤ「予想通り、やっぱここにいたか」

 ユウト「レツヤ、どうしたんだ?」

 レツヤ「姿が見えないから探しにきたんだよ」

 ユウト「そうかそうか、それはすまない」

 レツヤ「いいんだって!それより、お前ここ好きだよな!」

 ユウト「あぁ、ここは落ち着く」

 間

 レツヤ「なぁ...」

 ユウト「ん?」

 レツヤ「ここで、流れ星に願い事をしたら、願いが叶うっていう噂...本当だと思うか?」

 ユウト「さぁな、でも10年前だったか?ここで一緒に流れ星見たよな...」

 レツヤ「あぁ、あの時俺は願い事できなくて、それを結構引きずってたんだよな...」

 ユウト「あはは、そうだったな...」

 レツヤ「そういえばユウトはあの時どんな願い事したんだ?叶ったのか?」

 ユウト「どうだろうな...まぁ、今のところは叶ってるって言うのかな...」

 レツヤ「叶ってるってならいいじゃねえか!」

 ユウト「そう、だな...」

 間

 ユウト「にしても、霧... だいぶ濃くなってきたな...」

 レツヤ「そうだな...」

 ユウト「言い伝えによれば...」

 レツヤ「伝説のつるぎ、聖剣に認められし者、伝説の勇者なり、だっけか?」

 ユウト「あぁそうだな... そして、闇の霧を払う事ができるのはーー」

 レツヤ「被せ)伝説の勇者だけだ!」

 ユウト「そうだが、お前やけにテンション高いな...」

 レツヤ「いやだって伝説の勇者だぜ!?伝説だぜ!?勇者だぜ!?くぅ~!あこがれるよな!勇者!!!」

 ユウト「そうだな、確かに男なら誰しもが一回はあこがれる存在だよな、勇者…か…」

 レツヤ「そうだよな!よし!聖剣に認められるように、また明日から気合入れて修行の続きするぜ!」

 ユウト「ふふ、そういうとこ単純なんだよなレツヤは…」

 レツヤ「それが俺のいいところだからな!」

 ユウト「本当、いい性格してるよ。努力だけでは認められるかすらわからないというのに」

 レツヤ「まぁそうかもな・・・でもよ、何もしないよりはいいと思うんだよな~、もしかしたら...それで本当にその聖剣とやらに認められて!伝説の勇者になれちゃったりして...」

 ユウト「あはは、それはないな!」

 レツヤ「なんでそう言い切れるんだよ!可能性は0じゃないだろ!」

 ユウト「まぁ確かに、0ではないが...やっぱお前が勇者は、ないな!あはは」

 レツヤ「くそ...いつか目にモノ見せてやるからな...覚えてろよ!」

 ユウト「あぁ、期待してるよ」

 間

 アイ「ふぅ、後片付けおわり~!ていうか、結局全部私がやってるじゃん!後でどつきまわしてやらないといけないわね!」

 ユウキ「あはは、程々にしてくださいね・・・」

 アイ「だーめ!今回こそは!ちゃーんと言い聞かせないとダメ!レツヤのやつ、後でやるって言ってぜんっぜんやんないんだもん!」

 ユウキ「まぁそうですけど、アイも洗濯モノの取り込み後でやるって言って結局レツヤさんにやらせてますよね?」

 アイ「ギクッ・・・あーまぁ?それはそれ!これはこれ!って事で、ビシッて言ってやんないと、ね?」

 ユウキ「まぁそうですね、僕としては二人で分担してしっかりこなしてくれれば、だれがやってもいいと思いますけどね」

 アイ「だめだめだめ~!そんなんだからレツヤがあんな感じなんだよ~?ここはビシッと私が!」

 ユウキ「そうですか、ならまぁ止はしませんが・・・」

 ディス「こんばんわ、お嬢さん達、ここに青髪の少年はいないかしら?」

 ユウキ「っな!?アナタ、どこから入ってきたんですか?」

 ディス「うふふ、そんな怖がらなくてもいいじゃない?別に興味ないものに手を出したりしないわよ?」

 アイ「この人、だれ?」

 ディス「わたし?わたしは~ふふふ」

 ユウキ「この街は聖なる結界に守られているはず、部外者が入るには外で加護を受けなければならない。なのになぜ、加護なしで入ってきているんだ!」

 ディス「名乗るような者じゃないわよ?」

 ユウキ「聞いているのか!?結界をどうやって突破した!」

 ディス「なぁに?うるさいわねぇ・・・結界ぃ?あぁ、あのペラペラのカーテンの事かしら?あんなもの、あってないようなものじゃない」

 ユウキ「な・・・あの結界が、ペラペラのカーテン・・・?」

 ディス「何を驚いているのかしら? そんなことよりぃ、私は青髪の少年を探しているのだけれど、教えてくれるわよね?」

 ユウキ「アナタに教えることは何もありません、お引き取りください」

 ディス「へぇ、これでも・・・同じことが言えるかしら?」

 アイ「へ?なにこれ・・・」

 ディス「さて、あなたが情報を吐かないなら、この金髪で蒼眼のかわいらしい女の子に・・・犠牲になってもらうしかないわね・・・」

 ユウキ「っく・・・わかりました・・・話しますから、彼女を解放してください・・・」

 ディス「ふふふ、物分かりがよくて助かるわぁ、あなたを殺すときは苦しまないように一気に殺してあげるわね♡」

 ユウキ「そうですか・・・」

 ディス「で、青髪の少年はどこにいるのかしら?」

 ユウキ「彼なら、今外の空気を吸いに行くと外出しています」

 ディス「へぇ?どこに?」

 ユウキ「どこかはわかりません。行き先を言わずに出て行ったので」

 ディス「ふぅん、使えないわね・・・」

 ユウキ「何が!・・・目的は何ですか?」

 ディス「目的?ふふ、ひ・み・つ♡」

 ユウキ「っく・・・」

 ディス「まぁ、この街にいる事はわかったんだし、今回はこの辺で勘弁してあげるわ。感謝してね♡」

 N:ディスはこの場所に得られるモノがないことがわかると、闇の中へと消えていった。張りつめられた冷たい殺気から解放された二人は、力なく地面にへたり込むのだった。

 ユウキ「・・・」

 アイ「・・・」

 ユウキ「あの殺気・・・なにもできなかった・・・」

 アイ「ふぇ、怖かったよぉ・・・」

 ユウキ「もう大丈夫ですよ、それより、彼らが心配だ」

 アイ「うん、そうだね・・・私、探しに行ってくるね!」

 ユウキ「あ、一人だとあぶな・・・って、もういないし・・・遠くには行かないようにしてくださいね~!」

 アイ「わかってるよ~!」

 間

 N:一方そのころ、食堂であった事など知る由もない彼らは思い出話に花を咲かせていたのだった。

 ユウト「と、いうわけさ」

 レツヤ「そうなのか!やっぱお前はすごいな!・・・よし、んじゃそろそろ戻らないか?早く戻らないと、またアイにキィキィ文句言われそうだ・・・」

 ユウト「フフフ、あぁそうだな、そろそろ_____」

 ペア「やっと、見つけた...」

 ユウト「っ!?」

 N:ユウトは茂みの方で何かが動くのを見つけた。

 レツヤ「どうしたんだ?」

 ユウト「いや、なんでもない」

 レツヤ「ああそうか...じゃあ、店に戻ろうぜ」

 ユウト「いや、気が変わった、僕はもう少しだけここにいるよ」

 レツヤ「あぁ、そうか、わかった。んじゃ、俺先に戻ってるぞ!」

 ユウト「せっかく来てくれたのにすまないね」

 レツヤ「気にすんなって、日が変わるまでには戻るんだぞ!」

 N:そう言うとレツヤは、街の方へ走っていった

 ユウト「わかってるよ...全く…」

 間

 レツヤ「あいつ、相変わらず一人が好きだよな~」

 ディス「ふふ、それはそれは・・・都合がいいじゃない?ねぇ、坊や」

 N:突然茂みの奥から出てきたフードの女は、そのフードを脱ぐと妖艶な笑みを浮かべながら語りかけてくる

 レツヤ「なんだお前、誰だ」

 ディス「んふふ、私が誰だって?名乗るほどのものではないけどぉ~ ここで死んじゃう坊やには話してもいいかも...しれないわね♡」

 レツヤ「死ぬ?何物騒なこと言ってんだよ」

 ディス「フフフ、ボウヤ・・・一回ぃ死んでみない?」

 N:目を合わせると、その妖艶なまなざしは心が引き込まれそうな程で、誘惑の瞳は鋭く狂おしいほどに突き刺さりレツヤの視線を釘付けにする。それは一瞬の隙が勝敗を分ける緊迫した勝負の最中でさえ身動きを忘れるほどだ。レツヤは何とか誘惑を振り切り目をそらすと耳を澄ませた。すると、いつの間にか女は闇に溶け込んでおり姿が見えなくなっていた。

 レツヤ「っな!どこ行きやがった!」

 ディス「フフフ、ここよ坊や」

 N:突然の事に動揺しながらも姿を消した女の気配を探るが、どうしていいかわからずただ闇雲に視線を泳がせているだけだった。女は闇の衣を纏い闇に溶け込んでいたのだ。だが、レツヤにはまだその知識がなかった。しかし、斬りつける瞬間の僅かな音を、レツヤは聞き逃さなかった。

 レツヤ「っとあぶね!いきなり切りつけてくるなんて、お姉さんもしかして危ない人?」

 ディス「へぇ、あれをよけるなんてなかなかやるわね。でも、次は避けられるかしら?」

 レツヤ「ふん、やるってんなら容赦しないぜ?相手が女だろうとな!」

 N:両者間合いをとり武器を構える。しかし、レツヤは焦っていた。

 レツヤ「M)さっきの攻撃、斬りつける瞬間の空を切る音を頼りに何とか避けれたが、あれを何回もされたらこっちが体力と集中力がもたねぇ!ここは俺が使える最高の技で一気に勝負を決める!」

 N:レツヤは剣を強く握りしめ、呪文を詠唱する。


 (↓呪文詠唱↓)

レツヤ「Call《コール》 elementalspirit《エレメンタルスピリット》 Earth《アース》

 Connect and release《コネクトアンドリリース》

 Sword enhance《ソードエンハンス》」


 ディス「あら、もっと強い技を使っても平気よ?お姉さんともっと楽しみましょ?」

 レツヤ「このアマ!舐めやがって・・・行くぞ!ハァアアア!!!衝撃波ショックウェーブ!」

 ディス「あらあら、こんな子供騙しで私が捕まると思った?まだまだね坊や」

 レツヤ「ふん、まだまだなのはお前のほうだぜ?そうやって避ける事は読んでるんだよ!喰らい尽くせ!月蝕剣イクリプスソード!!!」

 ディス「ううん・・・フフ、案外やるじゃない」

 レツヤ「余裕な顔してられるのも今のうちだぜ、次でトドメだ!はああああああああああああ!!!」

 ディス「ウィスパー)じゃあ今回は少しだけ、私の力を見せてあげる」

 レツヤ「何をぶつぶつと言ってやがる!」

 N:相手の行動を読み得意のイクリプスソードを決めたレツヤはその調子で一気に攻撃を畳み込もうとした、その瞬間だった、突然女の目が紅く光り輝きその場が一気に凍り付いた。

 ディス「一度入ったら抜け出せない冷たい世界、迷い込んだら最後、ゆっくりじわじわとアナタを私の色で染め上げて、気づいた時には私のことしか考えられないようにしてあげる。安心して?悪いようにはしないから、たっくさん可愛がってあ・げ・る♡」

 レツヤ「なっ!動けねぇ・・・」

 ディス「まさか、逃げようなんて考えてないわよね?怖がらなくても大丈夫よ、さぁおいで?アナタの居場所はこぉこ!」

 レツヤ「っく・・・なんだこれは・・・何かの呪文詠唱か!?」

 N:女はゆっくりとレツヤに近づくと耳元で囁く。

 ディス「私から逃げられると思った?フフ、残念でした♡」

 N:レツヤは身動きが取れないでいた。経験した事の無い感覚に取り乱しながらも必死に対応策を模索するが未知の出来事にただただ圧倒されるだけだった。彼女の言葉には魔力が宿っており、相手の五感を狂わせる。動けなくなった獲物を陰に潜みゆっくりじわじわと追い詰め、気づいた時には獲物は彼女のテリトリーの中に誘い込まれている。その名も・・・

 ディス「隻影伏魔殿シェードテリトリー、フフ、捕まえた♡」

 レツヤ「グハッ・・・クソ・・・が・・・」

 N:身動きが取れなくなった身体に、無惨にも突きたてられる刃。レツヤは手も足も出せず、格の違いを見せつけられるのであった…。

 ディス「久々に楽しめたわ、ありがとね坊や」

 ディス「ん〜 でも万が一この坊やが力をつけでもしたら厄介だわね。おまじないがてら少し呪いをおきましょうか」

 レツヤ「なんだ...やめ...ろ....」

 間

 ディス「ふぅ、これで良し、あ!ふふふ、面白いこと思いついちゃったぁ♡ って、そういえばペアはどうしているかしら?こいつを使って作戦内容だけでも伝えておかないといけないわね・・・ふふふ」

 間(一方その頃)

 ペア「佇まいから感じられる強者のオーラ、澄んだ綺麗な海の雄大さを感じ取れるような深い銀と青の髪、あれは、紛れもなくあのお方の器!」

 ユウト「ん?誰だ!?」

 ペア「とりあえず、ディスに連絡しないと...」

 ユウト「そこか!何者だ、出てこい!」

 N:ユウトは咄嗟に異変を察知し声をかける。すると、茂みの奥から小言を呟きならが少女(少年)が歩いてきた。

 ペア「ああっと、見つかっちゃった!ディスに怒られちゃう...まぁいっか!」

 ユウト「名を名乗れ!なぜそこの茂みでこそこそしていた!」

 ペア「んー、どうしよっかなぁ...こういう時、ディスならどうするのかなぁ...」

 ユウト「何をぶつぶつと!人の話を聞いているのか!?」

 ペア「え?ああ、聞いてないよ!」

 ユウト「なんだお前、ふざけているのか!」

 ペア「あはは!僕はいつもふざけてるよ!」

 ユウト「何っ!?こいつ・・・」

 間

 ペア「ただね話は聞いてないけどね?1つだけ、教えてあげる!」

 ユウト「..........」

 ペア「僕の名前はペア!巷では、絶望の二人組って呼ばれてるみたい!はは、すごいでしょ!?」

 ユウト「お前が、闇の組織、絶望の二人組の一人残忍のペア...」

 ペア「そうだよ!名前を聞いただけで絶望しちゃったかな?あは!」

 ユウト「M)絶望の二人組...闇の組織でもかなり上位の二人組と聞いた事がある。」

 ユウト「M)なんでも、人の心を弄び、じわじわ痛ぶり絶望を頭に刻み込んでくる残虐のディス...」

 ユウト「M)命乞いをする人に一縷の望み、救いの希望を見せ、そこから一気に絶望に叩き落とす残忍のペア...」

 ユウト「M)この2人からなる二人組は、今まで多くの人に絶望という二文字を刻みつけてきたらしい...」

 ユウト「僕に勝ち目はあるのか...?」

 ペア「ねぇ!君さ、僕たちについてきてよ!あのお方の器になってほしいんだ!」

 ユウト「あのお方?器?なんの話をしているんだ!」

 ペア「あーあ、説明ってめんどくさい〜!とりあえず、ついてきてよ!」

 ユウト「何を勝手な事を、ついて行くわけないだろ!」

 ペア「そっかぁ〜...じゃあ、コロスね!」

 N:ユウトの返事を聞き戦闘モードへと移行したペアは殺気をむき出しにしながら構えをとる、すると、両腕につけた腕輪から鋭く禍々しい鉤爪が現れた

 ユウト「M)あれは、アイアンクロー!?この世界であれを使いこなせるのは、指で数えられる程しかいないと言われるほど扱うのが難しい高度な武器っ!くっ...くる!」

 ペア「あはははは!あはははは!死んじゃえ!死んじゃえ!!!」

 N:ペアのクローが空を切り裂く、ユウトはなんとか受け流しながら打開の策を考えるが、ペアの激しい猛攻を受けるのが精一杯で考えるどころではなかった。

 ユウト「っく...このままでは......」

 ペア「君、よっわーい!あは!...ん?ディスから連絡だ、もうーこれから面白くなるところだったのに・・・」

 N:ペアからの猛攻を間一髪のところで回避しながらなんとかやり過ごしていると、急に攻撃がやんだ。ユウトは、体勢を立て直しペアの方を見ると、周りには無数の蝙蝠達が飛んでいた

 ユウト「息切れ)なんていう強さだ...それになんだあの蝙蝠は...」

 ペア「へぇ、面白そう!それでいいよってディスに伝えてね!行ってらっしゃ〜い!」

 N:ペアが手を振ると蝙蝠達は闇の中に消えていった

 ペア「さて!続きやろ、お兄さん!」

 ユウト「っく、僕だって伊達に生きてきたわけじゃない!見せてやる、僕の本当の実力を!」

 ペア「にひひ!やる気だね!そうこなくっちゃ!」

 ユウト「M)あまり魔法は使わないほうがいいのだが、やむを得ないだろう」


 (↓呪文詠唱↓)

ユウト「Call《コール》 elemental spirit《エレメンタルスピリット》 Earth《アース》

 Connect and release《コネクトアンドリリース》

 Sword enhance《ソードエンハンス》」


 N:ユウトが呪文を唱え終わると、ユウトの剣が光を放ちオーラを纏った。

 ペア「へぇ、魔法も使えるんだ!魔法を使えて剣の才能もある...さすがあのお方に相応しい器だ!」

 ペア「じゃあ僕も...」

 N:ユウトの魔法を見てすかさず魔法で対抗しようと詠唱を始めるペア、この世界では、戦いにおいて闘気オーラと魔法を使い分けるのだが、闘気は魔法には基本的に勝てないため、魔法には魔法で対抗するか加護を使いガードするしかない。抜かりのないペアはしっかりと相手の動きを見て状況を判断し的確な判断を下していた。


 (呪文詠唱↓)

ペア「Call《コール》 elemental spirit《エレメンタルスピリット》 Wind《ウィンド》

 connect and release__《コネクトアンドリリース__》」


 ユウト「させない!」

 ペア「っと危ないなぁ全く!」

 N:先ほど見せられた猛攻に力量の差を感じたユウトは、魔法を使われたら勝ち目がない、そう思い詠唱中のペアに斬りかかった。咄嗟の判断で詠唱を中断し、回避したペアだったが体勢を崩してしまう。

 ユウト「このまま畳み掛けてやる!」

 ペア「あわわわわわわ...」

 N:勢いをそのままにユウトはスキルを発動する。剣を大きく振りかざし詠唱を始めた!

 ユウト「Sword enhance《ソードエンハンス》 skill 《スキル》limit Break《リミットブレイク》」

 N:ユウトの詠唱に応えるように、剣が七色に輝き始める。

 ペア「ちょっと...これ、まずくない...?」

 ユウト「煌めけ光の剣よ!Shining 《シャイニング》Braid《ブレード》」

 ペア「このままじゃ・・・!」

 ユウト「もう逃げられないぞ!くらえええええええええええええええ!!!」

 ペア「うわああああああ」

 N:ユウトの剣は思わず目を覆ってしまいそうな程激しい閃光を放ちながら辺りを照らしている、その光り輝く剣を振りかざし渾身の一振りを放つ!すると、その剣身からまるで光の矢のような衝撃波が体制を崩しているペアに襲いかかる、そしてその全身全霊の一撃は見事ペアに命中した。ペアは体勢を立て直すのをあきらめ間一髪の所で守りの構えをとったが、その攻撃のあまりの威力を受けものすごい勢いで吹き飛ばされ、轟音と共に一直線に飛んでいき、勢いをそのまま大木にぶち当たった。

 ペア「っかは...」

 N:ユウトの渾身の技をもろに受け大木にたたきつけられたペアは木の根元に力なく座り込むと、そのままピクリとも動かなくなった。

 ユウト「息切れ)やった...のか?」

 N:しかし、ユウトはまだ気づいていなかった...

 N:今戦っているペアが、なぜ絶望の二人組と万人に恐れられているのかを...

 ユウト「息切れ)まずは、一人だ...もうピクリとも動かないが、念には念を、しっかりとトドメを刺しておこう...」

 ディス「そこまでよ」

 N:トドメを刺そうとした瞬間、背後から別の女の声がした。ユウトは声のする方へ振り向くと、黒装束に身を包んだ怪しい1人の女性が立っていた。

 ユウト「誰だっ!?」

 ディス「坊やの命が惜しかったら、武器を捨てなさい」

 N:怪しい女性は何かをユウトの前に投げ捨てた。それは、ボロボロのレツヤだった。

 レツヤ「すまん...ユウ....ト...俺.........勝てな...かった...みたいだ......っがは、ごほごほ」

 ユウト「レツヤ!?」

 ディス「この坊や、すっごく強かったわ!手を抜いたら、私がやられていたかも知れないわね...」

 ユウト「お前、レツヤに何をした!?」

 ディス「何って、遊んであげただけよ?ちょっと楽しくなっちゃって、やり過ぎちゃったけど...ふふふ」

 ユウト「っく...」

 ペア「ディス...」

 ディス「あら?そこに座り込んでいるのはペアかしら?随分と酷い有様じゃない」

 ペア「う、うるさい...」

 ユウト「1人は倒した!あとはお前だけだ!」

 ディス「貴方、まだ気づいてないの?かわいそうね...」

 N:ディスは、床に転がっているレツヤを思い切り踏みつけた。

 レツヤ「ぐあああああ」

 ユウト「やめろ!こっちだって人質はいるんだぞ!」

 N:そう言ってユウトはペアを人質に取ろうとする。しかし、ペアは何事もなかったかのように立ち上がりキョトンとした顔でこちらを見ていた。

 ペア「ったた、痛かったなぁ...ん?どうしたのかな?」

 ユウト「っな?お前は、さっき僕がーー」

 ペア「あれ?あんな攻撃で僕が倒せると思っていたの?あはは!君の頭の中は、お花畑なんだね!」

 ユウト「なに...僕の攻撃は、全く効いていない...?」

 ディス「ようやく、自分の置かれた状況を理解できたようね」

 ユウト「たしかに、直撃していたはず...なぜだ...?」

 ペア「プププ、特別に教えてあげるよ!...あの攻撃は蚊に刺された程度だったよ、大袈裟に吹き飛んでみたけど...どう?迫真の演技だったでしょ!...君は、弱いんだよ?あは、何も守れない無能なのさ!君のせいでお友達はボロボロになってる...かわいそうなお友達!君がもっと強ければ、お友達はこんな思いしなくてもよかったのに...あーあ、痛そうだなぁ...あは、あはは...あはははっはははははは!」

 ユウト「あ...ああ...頼む...もう...やめてくれ.......」

 ユウトN:目の前には幼馴染の親友がボロボロになって倒れている。自分にはなにもできなかった。力不足だった。絶望するには、十分すぎる出来事だった。少しずつ目の前が暗くなり、胸が締め付けられる。

 これ以上何が起こっても、きっと何も感じない程度には、感覚が麻痺していただろうか。


 終わった...


 思わず口から溢れていた。何も考えられない。

 全身は脱力し力が入らない。


 3人で穏やかな日々を...


 いつか、流れ星に願った事は、

 叶うどころか目の前で砕け散っていった...


 もう、何もいらない。


 最初からわかっていたじゃないか。束の間の幸せに浮かれて、目の前が見えていなかったんだ。

 望んじゃいけなかったんだ。


 もう終わりにしよう。


 さようなら


 優しい世界だった...

 間

 ペア「いいねいいね!その目、その目だよ!僕が見たかったのはその目!絶望して目の前が真っ暗になって何も考えられない、って顔!最高じゃないか!あはは、あはははは!」

 ディス「あーあ、せっかく痛ぶり甲斐のありそうな子だったのに...」

 ペア「いいじゃないか!絶望しすぎて、魂抜けちゃってるな...て感じ!」

 ディス「そうね、器があればそれでいいし今日の仕事はもう終わりね」

 ペア「あぁ、楽しかった!」

 ディス「もうこの坊やはいらないわね、ここに捨てていきましょ」

 レツヤ「っく...そ.....が....」

 ディス「誰かに拾ってもらえるといいわね、坊や」

 レツヤ「ユ...ウ...」

 N:薄れゆく感覚の中、かすれ今にも消えてしまいそうな声でユウトの名を呼ぶ、自分のせいでユウトが絶望している。目の前で起こっているその光景をただ見ていることしかできなない、必死にもがき想いを伝えようとするが、その声は夜の静寂の中でさえかすかなそよ風にかき消されてしまいそうな程か細くユウトへと届くことなく消えてゆくのだった。まるでごみの様に捨てられ自力で動くこともできずボロボロになり血だらけで無惨に地面で転がっていることしかできない自分の醜態を、自分の無力さを呪い、そして願った

 レツヤ「M俺が無能じゃなかったら、俺が足を引っ張らなければ、俺がユウトと肩を並べられるくらい強かったら!こんな事にはならなかった...のに...俺は...聖剣に認められる程に...強くなりたい...強くなりたい...!強くなりたい...!!!」

 N:レツヤは心の中で強く願った。

 ペア「さて、帰ろー!」

 ユウト「ああ...あああああ..............」

 ディス「うるさいわね!ほら、行くわよ」

 N:ユウトは連れて行かれた。山奥の広場に1人置いて行かれたレツヤは、すでにボロボロで動ける状態ではなかった。そこへ、一足遅れてアイがやってきた。

 アイ「二人ともどこへ行ったのかしら...って言っても大方検討はついてるんだけどね~!どうせこのあたりで2人して話し込んでるんでしょ~...って...なにこれ、酷い...」

 N:彼女が到着した時、広場はメチャクチャになっていた。辺りを見渡すと、血溜まりを見つける。恐る恐る近づいていくと...

 アイ「レツヤ?レツヤ!しっかりして!レツヤ!」

 N:血だらけでボロボロになって倒れているレツヤを見つけた。アイは必死になって呼びかける。しかし、レツヤの意識はすでになかった...

 アイ「お願い死なないで!目を開けてよ!死なないで!!!・・・いやだよ、死なないで...目を開けて私を安心させてよ!!!(間)なんでもいい!私に彼を守る力をください...」

 N:アイもまた強く願った。それはもう必死に、心の底からの願いだった。

 アイ「もう1人にしないでよぉ...うっうぅ...」

 N:この後、アイは涙が枯れるまで泣きじゃくった。

 間

 N:山奥の広場、ここは願いが形になる聖域。流れ星が降る夜に強い想いで願い事をするとそれが形になり、願いが叶うと言われている。

 N:この日、広場の夜空には流れ星が降っていたという。

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勇者達と流れ星 月風 瑠風 @ruhu0103

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