勇者達と流れ星

月風 瑠風

勇者達と流れ星


作・月風 瑠風


説明欄や詳細文などに『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。


※各作品の著作権は放棄しておりません。無断転載や自作発言等、著作権を侵害する行為はお止め下さい。もちろん無断での改編や再配布も禁止です。


※あくまで趣味の範囲での活動や放送、金銭の発生しないツイキャスなど、各種配信サイトでの使用は基本的に歓迎しますが、金銭が発生するものはNGです。


※ツイッターのDM等でお知らせ頂けますと幸いです。よければ聞きに行きますので、気軽にご連絡下さい!


※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです。




◆◇◆◇◆◇





レツヤ ♂ 18 主人公 不器用だが人一倍努力してきた努力家。曲がったことが大嫌い。

幼馴染のユウに負けないよう修行をしていた。

※主人公ですが、セリフ少なめです。


ユウト ♂ 18 レツの幼馴染 才色兼備 文武両道 高身長でメガネ 白衣が似合う 

学校を卒業し、里帰りしていた。

イケメン、自分はなんでもできると思っている。

※台詞一番多いです。


アイ ♀ 18 食堂〜愛と勇気〜の看板娘 美少女 

自覚はないけど恋している

自分の事を可愛いと思い込んでいる。

※ディスと兼ね役


ユウキ 不問 15 女装している男の子 

食堂〜愛と勇気〜を経営しているオーナーの息子で実は美少年 何故か女装している。

頑張って中性的な感じを出しているつもりになっている。※Nと兼ね役


ディス ♀ 闇の組織 絶望の二人組として恐れられている。ドSお姉様、じっくり弄ぶのが大好き 

※アイと兼ね役


ペア 不問 闇の組織 絶望の二人組として恐れられている。 無邪気な少女(少年) 僕っ子


N 不問 ナレーション

ユウキと兼ね役。


〜配役表〜

レツヤ♂:

ユウト♂:

アイ、ディス♀:

ユウキ、N 不問 :

ペア 不問 :


※呪文詠唱は、英語で書いてありますがカタカナで呼んでください!◯は間をとる場所です。


◆◇◆◇◆◇


本編はここからです。


N:とある山奥の広場、2人の青年が向かい合って睨み合っていた...


ユウト「さぁ、かかってきな!一捻りにしてあげるよ、あの頃みたいに...ね!」


レツヤ「ふん、余裕そうだな」


ユウト「まぁ、僕は剣と魔法の名門校を首席で卒業したのだから、当然だろ?」


レツヤ「いってろ、そういってられるのも今のうちだぞ!俺だって厳しい修行を耐え抜いてきたんだ!」


ユウト「へぇ、なら...遠慮なく..........」


N:そう言うとユウトは木刀を構えた、それを見たレツヤも構える。


ユウト「行くぞ!!」


レツヤ「...来い!」


N:掛け声と共に凄まじい剣撃がレツヤを襲う


ユウト「はっ!」


レツヤ「っくぅ」


ユウト「どうした!修行の成果を見せてくれるんじゃなかったのか?」


レツヤ「っち!なら、お望み通り見せてやるよ!」


ユウト「ふふ、まだまだだね」


レツヤ「おらっ!」


ユウト「っと、あっぶなーー」


レツヤ「まだまだぁ!!」


N:体制を崩したユウトに、畳み掛けるようにレツヤが襲い掛かる。しかし、ユウトは瞬時に体勢を立て直し、レツヤの木刀を弾き返す。


ユウト「っはぁ!」


レツヤ「なにっ!?」


N:一瞬の出来事だった。ユウトはゆっくり近づいてくると、呆気に取られているレツヤの首元に、木刀の先を当てた。


ユウト「勝負あり...だね!」


レツヤ「息切れ)くっそ、また負けたよ...」


ユウト「ふぅ、危ないところだった...」

「まぁ、いい線いってるんじゃないの?」



ユウト「強くなったな!」


レツヤ「っち、褒められても嬉しくねぇよ...」


N:そんな2人の元に、可愛らしい服に身を包んだ美少女が駆け寄って来る。


アイ「あー、レツヤ!やっと見つけた!もぉ、探したんだからね!」


レツヤ「え、いや!その...」


ユウト「これはこれは、お久しぶりです」


アイ「まぁ、ユウトじゃない!久しぶりね!元気してた?」


ユウト「はい、おかげさまで!」


アイ「よかったぁ...!ねぇ!せっかくだし夕飯うちの店で食べてきなよ!」


ユウト「それはいい考えですね!」


レツヤ「っちょ、勝手に決めんなよ!」


ユウト「まぁまぁ、レツヤもたまには付き合えよ!」


レツヤ「俺は...もう少しここにいる」


アイ「えぇ!何いってるの、レツヤもくるの!」


レツヤ「だから、勝手に決めんなって...」


アイ「来て、くれるよね?来てくれないの...?ぐすん」


ユウト「あーあ、女の子泣かせた〜」


レツヤ「わかったわかった、行くから!泣くなって...」


アイ「ほんと?本当に来てくれる...?」


レツヤ「行く行く、行くよ...」


アイM「レツヤってやっぱりちょろいなぁ...かわいいっ、ふふ」


レツヤ「アイ?どうしたんだ?ボーッとして...」


アイ「ああああ、ごめんごめん!さぁご飯食べに行こ〜!私もうお腹ペッコペコだよぉ」


※遠くから呼びかけるように

ユウト「お〜い!2人とも〜行かないのか〜い?先行っちゃうよ〜!」


アイ「あー!待ってよぉ〜!」


レツヤ「っちょ、ったく...」


N:マイペースな2人に、思わずため息が出てしまうレツヤ、一息ついて2人を追いかけるようにレツヤも走り出した。


◆◇◆◇◆◇


(町の食堂〜愛と勇気〜)


N:ここは、この街で一番大きな食堂。この街の人ならば一度は必ず訪れたことのある程、有名な大食堂だ。食堂に着いたレツヤとアイは、息を切らしていた。


レツヤ「息切れ)やっと着いた...」


アイ「息切れ)私、もうだめぇ...」


ユウキ「いらっしゃい!ってアイにレツヤじゃないか!どこに行っていたんだい?」


アイ「私は...レツヤを探しに行ってたのよ!うん」


レツヤ「っちょ!俺に全ての罪をなすり付けるな!」


アイ「別に間違ったことは言ってないもーん!」


レツヤ「っちぃ...」


ユウキ「2人とも、一応雇われの身なんですからしっかり働いてくれないと困ります!」


レツヤ「はいはい、頑張りますよ」


アイ「ちぇ、結局私も一緒に怒られるのか...」


レツヤ「そういや、今日はもう客いないんだな」


ユウキ「はい、今日はもう店閉めるので...」


レツヤ「そうなのか」


ユウキ「...手伝ってくれますよね?」


レツヤ「あ、あぁ...もちろん!手伝うよ!手伝う!な、アイ!」


アイ「えー、お腹が空いて動けないよ〜」


レツヤ「小声で)頼むよ〜、また昼飯抜きになっちまう...」


ユウキ「終わったら、今夜は特別にSPコース、ご馳走しますよ」


レツヤ「ほらほら、SPコースだってよ!」


アイ「あれ?なんだか急にやる気が出てきたぞ〜」


レツヤ「ははは、単純だなぁ...」


アイ「うるさいわね!そんなことより仕事よ!仕事!」


レツヤ「調子いいなぁ、まったく...」

「そういえばユウト、どこ行った?」


アイ「あら?たしかに、どこ行っちゃったんだろ?」


N:レツヤとアイはキョロキョロあたりを見回す。すると、店の裏口からユウトが入ってきた。


ユウト「あぁ、僕はここにいるよ。ご馳走になるんだし僕も少しは手伝おうと思って」


ユウキ「ありがとうございます!あぁ、それはこっちです。」


レツヤ「呟き)なんだ、ユウト俺の仕事やってくれてるじゃん...じゃあ俺は休んどこー」


アイ「さっすがユウトね!頼りになるわ!どっかの誰かさんとは大違い...ってあんた、何サボってんのよ!」


レツヤ「んだよ、ユウトが手伝ってるならいいじゃん、少し休ませろよ!」


アイ「休ませろ〜じゃないわよ!ほら、働く!またお昼抜きにされてもいいの!」


レツヤ「それだけは勘弁してくれ〜!」


ユウト「あはは、変わらないな...お前達は。」


N:あの日願った幸せな日々。しかし、この街にも、魔の手は着々と迫ってきていた。


◆◇◆◇◆◇


(街外れ)


ディス「この辺りに、あの御方の器に相応しい人間がいると聞いたけど...本当にいるのかしら?こんなちっぽけな街に...」


ペア「いなかったらさ!街を絶望に染めちゃおうよ!それも面白そうだよ?」


ディス「ため息)そんなお遊び、貴方一人でやってなさいペア...」


ペア「えぇー!なんでぇ!ディスは付き合ってくれないのぉ〜?」


ディス「私にそんな暇ないわ、そんな事より早く帰って続きをしたいわぁ、フフフ♡」


ペア「なにニヤニヤしてるのさ!僕はこっちから行くからね!じゃあまた後で、バイバーイ」


N:ペアは走り出す。しかし、ディスは気づいていなかった。


◆◇◆◇◆◇


(夕飯後)


N:夕食を終え、レツヤとアイは一息ついていると...


レツヤ「ふぅ、食った食った!ごちそうさま」


アイ「あぁ〜美味しかったぁ♪」


ユウキ「ちょっと皆さん!食べたら終わりじゃないですよ!片付け手伝っってください!」


アイ「えー...」


レツヤ「しょうがねぇ、片付けするか...」


アイ「あ!レツヤ、私の分もお願い♡」


レツヤ「何言ってんだよ、自分でやれ」


アイ「けちけちけちけち、私の分も片付けしてよ〜」


レツヤ「はいはい、わかったから!」


アイ「やった!ありがと♡」


レツヤ「...(ため息)」



レツヤ「そういえば、ユウトの姿が見えないな...」


アイ「ああ、ユウトなら少し風に当たってくるって出て行っちゃったわよ」


レツヤ「なんだよ、ちょっと俺探してくるわ」


ユウキ「就寝時間までには帰ってきてくださいよー!」


レツヤ「はいはい、わかったよ〜」


N:レツヤはそう言って食堂を後にした。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


N:一方その頃、ユウトは山奥の広場で一人物思いに耽ていた。


ユウト「やっぱり、ここは落ち着くな...」



レツヤ「予想通り、やっぱここにいたか」


ユウト「レツヤ、どうしたんだ?」


レツヤ「姿が見えないから探しにきたんだよ」


ユウト「そうかそうか、それはすまない」


レツヤ「いいんだって!それより、お前ここ好きだよな!」


ユウト「あぁ、ここは落ち着く」



レツヤ「なぁ...」


ユウト「ん?」


レツヤ「ここで、流れ星に願い事をしたら、願いが叶うっていう噂...本当だと思うか?」


ユウト「さぁな、でも10年前だったか?ここで一緒に流れ星見たよな...」


レツヤ「あぁ、あの時俺は願い事できなくて、それを結構引きずってたよな...」


ユウト「あはは、そうだったな...」


レツヤ「そういえばユウトはあの時どんな願い事したんだ?叶ったのか?」


ユウト「どうだろうな...まぁ、今のところは叶ってるって言うのかな...」


レツヤ「叶ってるってならいいじゃねえか!」


ユウト「そうだな...」



ユウト「にしても、霧...」

「だいぶ濃くなってきたな...」


レツヤ「そうだな...」


ユウト「言い伝えによれば...」


レツヤ「伝説の剣(つるぎ)、聖剣に認められし者、伝説の勇者なり、だっけか?」


ユウト「あぁそうだな...」

「そして、闇の霧を払う事ができるのはーー」


レツヤ「伝説の勇者だけだ!」


ユウト「そうだが、お前やけにテンション高いな...」


レツヤ「そうか?でもよ、もしかしたら...俺が、その聖剣とやらに認められて!伝説の勇者になっちゃったりして...」


ユウト「あはは、それはないな!」


レツヤ「なんでそう言い切れるんだよ!可能性は0じゃないだろ!」


ユウト「まぁ確かに、0ではないが...やっぱお前が勇者は、ないな!あはは」


レツヤ「くそ...いつか目にモノ見せてやるからな...覚えてろよ!」


ユウト「あぁ、期待してるよ」



レツヤ「よし、んじゃ俺はそろそろ戻るわ」


ユウト「あぁそうだな、そろそろ_____」


ペア「やっと、見つけた...」


ユウト「っ!?」


N:ユウトは茂みの方で何かが動くのを見つけた。


レツヤ「どうしたんだ?」


ユウト「いや、なんでもない」


レツヤ「ああそうか...じゃあ、俺は先に戻ってるからな」


ユウト「わかった、僕はもう少しだけここにいるよ」


レツヤ「日が変わるまでには戻るんだぞ!」


N:そう言うとレツヤは、街の方へ走っていった


ユウト「わかってるよ...」



レツヤ「あいつ、相変わらず一人が好きだよな~」


ディス「ふふ、それはそれは・・・都合がいいじゃない?ねぇ、坊や」


N:突然茂みの奥から出てきたフードの女は、そのフードを脱ぐと妖艶な笑みを浮かべながら語りかけてくる


レツヤ「なんだお前、誰だ」


ディス「んふふ、私が誰だって?名乗るほどのものではないけどぉ~ ここで死んじゃう坊やには話してもいいかも...しれないわね♡」


レツヤ「死ぬ?何物騒なこと言ってんだよ」


ディス「フフフ、ボウヤ・・・一回ぃ死んでみない?」


N:目を合わせると、その妖艶なまなざしは心が引き込まれそうな程で、誘惑の瞳は鋭く狂おしいほどに突き刺さりレツヤの視線を釘付けにする。それは一瞬の隙が勝敗を分ける緊迫した勝負の最中でさえ身動きを忘れるほどだ。レツヤは何とか誘惑を振り切り目をそらすと耳を澄ませた。すると、いつの間にか女は闇に溶け込んでおり姿が見えなくなっていた。


レツヤ「っな!どこ行きやがった!」


ディス「フフフ、ここよ坊や」


N:突然の事に動揺しながらも姿を消した女の気配を探るが、どうしていいかわからずただ闇雲に視線を泳がせているだけだった。女は闇の衣を纏い闇に溶け込んでいたのだ。だが、レツヤにはまだその知識がなかった。しかし、斬りつける瞬間の僅かな音を、レツヤは聞き逃さなかった。


レツヤ「っとあぶね!いきなり切りつけてくるなんて、お姉さんもしかして危ない人?」


ディス「へぇ、あれをよけるなんてなかなかやるわね。でも、次は避けられるかしら?」


レツヤ「ふん、やるってんなら容赦しないぜ?相手が女だろうとな!」


N:両者間合いをとり武器を構える。しかし、レツヤは焦っていた。


レツヤ「(M)さっきの攻撃、斬りつける瞬間の空を切る音を頼りに何とか避けれたが、あれを何回もされたらこっちが体力と集中力がもたねぇ!ここは俺が使える最高の技で一気に勝負を決める!」


N:レツヤは剣を強く握りしめ、呪文を詠唱する。


レツヤ(↓呪文詠唱↓)

「Call《コール》 elementalspirit《エレメンタルスピリット》 Earth《アース》

Connect and release《コネクトアンドリリース》

Sword enhance《ソードエンハンス》」


ディス「あら、もっと強い技を使っても平気よ?お姉さんともっと楽しみましょ?」


レツヤ「このアマ!舐めやがって・・・行くぞ!ハァアアア!!!衝撃波ショックウェーブ!」


ディス「あらあら、こんな子供騙しで私が捕まると思った?まだまだね坊や」


レツヤ「ふん、まだまだなのはお前のほうだぜ?そうやって避ける事は読んでるんだよ!食らいやがれ!月蝕剣イクリプスソード!!!」


ディス「ううん・・・フフ、案外やるじゃない」


レツヤ「余裕な顔してられるのも今のうちだぜ、次でトドメだ!」


ディス「じゃあ今回は少しだけ、私の力を見せてあげる」


レツヤ「何をぶつぶつと言ってやがる!」


N:相手の行動を読み得意の月蝕剣イクリプスソードを決めたレツヤはその調子で一気に攻撃を畳み込もうとした、その瞬間だった、突然女の目が紅く光り輝きその場が一気に凍り付いた。


ディス「一度入ったら抜け出せない冷たい世界、迷い込んだら最後、ゆっくりじわじわとアナタを私の色で染め上げて、気づいた時には私のことしか考えられないようにしてあげる。安心して?悪いようにはしないから、たっくさん可愛がってあ・げ・る♡」


レツヤ「なっ!動けねぇ・・・」


ディス「まさか、逃げようなんて考えてないわよね?怖がらなくても大丈夫よ、さぁおいで?アナタの居場所はこぉこ!」


レツヤ「っく・・・なんだこれは・・・何かの呪文詠唱か!?」


N:女はゆっくりとレツヤに近づくと耳元で囁く。


ディス「私から逃げられると思った?フフ、残念でした♡」


N:レツヤは身動きが取れないでいた。経験した事の無い感覚に取り乱しながらも必死に対応策を模索するが未知の出来事にただただ圧倒されるだけだった。彼女の言葉には魔力が宿っており、相手の五感を狂わせる。動けなくなった獲物を陰に潜みゆっくりじわじわと追い詰め、気づいた時には獲物は彼女のテリトリーの中に誘い込まれている。その名も・・・


ディス「隻影伏魔殿シェードテリトリー、フフ、捕まえた♡」


レツヤ「グハッ・・・クソ・・・が・・・」


N:身動きが取れなくなった身体に、無惨にも突きたてられる刃。レツヤは手も足も出せず、格の違いを見せつけられるのであった…。


ディス「久々に楽しめたわ、ありがとね坊や」


ディス「ん〜 でも万が一この坊やが力をつけでもしたら厄介だわね。少し力を封印しておきましょうか」


レツヤ「なんだ...やめ...ろ....」


間(一方その頃)


ペア「あれは、紛れもなくあのお方の器!」


ユウト「ん?誰だ!?」


ペア「とりあえず、ディスに連絡しないと...」


ユウト「そこか!何者だ、出てこい!」


N:すると、茂みから小言を呟きならが少女(少年)が出てきた。


ペア「ああっと、見つかっちゃった!ディスに怒られちゃう...まぁいっか!」


ユウト「名を名乗れ!なぜ茂みでこそこそしていた!」


ペア「んー、どうしよっかなぁ...こういう時、ディスならどうするのかなぁ...」


ユウト「何をぶつぶつと!人の話を聞いているのか!?」


ペア「え?ああ、聞いてないよ!」


ユウト「なんだお前、ふざけているのか?」


ペア「あはは!僕はいつもふざけてるよ!」



ペア「ただ1つだけ教えてあげる」


ユウト「..........」


ペア「僕の名前はペア!巷では、絶望の二人組って呼ばれてるみたい!はは、すごいでしょ!?」


ユウト「お前が、闇の組織、絶望の二人組のペア...」


ペア「そうだよ!名前を聞いただけで絶望しちゃったかな?あは!」


ユウトM「絶望の二人組...闇の組織でもかなり上位の二人組と聞いた事がある。」


ユウトM「なんでも、人の心を弄び、じわじわ痛ぶり絶望を頭に刻み込んでくるディス...」


ユウトM「人にひとときの希望を見せ、そこから一気に絶望に叩き落とすペア...」


ユウトM「この2人からなる二人組は、今まで多くの人に絶望という二文字を刻みつけてきたらしい...」


ユウト「僕に勝ち目はあるのか...?」


ペア「ねぇ!君さ、僕たちについてきてよ!あのお方の器になってほしいんだ!」


ユウト「あのお方?器?なんの話をしているんだ?」


ペア「あーあ、説明ってめんどくさい〜!とりあえず、ついてきてよ!」


ユウト「何を勝手な事を、行くわけないだろ」


ペア「そっかぁ〜...じゃあ、コロスね!」


N:そう言うと、ペアの両腕につけた腕輪から鋭く禍々しい鉤爪が現れる


ユウトM「あれは、アイアンクロー!?この世界であれを使いこなせるのは、指で数えられる程しかいないと言われるほど扱うのが難しい高度な武器っ!?...くる!」


ペア「あはははは!あはははは!死んじゃえ!死んじゃえ!!!」


N:ペアのクローが空(くう)を切り裂く、ユウトはなんとか受け流しながら打開の策を考える。しかし、ペアの激しい猛攻を受けるのが精一杯で考えるどころではなかった。


ユウト「っく...このままでは......」


ペア「君、よっわーい!あは!...ん?ディスから連絡だ」


N:気がつくとペアの周りには無数の蝙蝠達が飛んでいた


ユウト「息切れ)なんていう強さだ...それになんだあの蝙蝠は...」


ペア「へぇ、面白そう!それでいいよってディスに伝えてね!行ってらっしゃ〜い!」


N:ペアが手を振ると蝙蝠達は闇の中に消えていった


ペア「さて!続きやろ、お兄さん!」


ユウト「っく、僕だって伊達に生きてきたわけじゃない!見せてやる、僕の本当の実力を!」


ペア「にひひ!やる気だね!そうこなくっちゃ!」


ユウトM「あまり魔法は使わないほうがいいのだが、やむを得ないだろう。」


ユウト(↓呪文詠唱↓)

「Call elemental spirit Earth

(コール◯エレメンタルスピリット◯アース)

Connect and release(コネクトアンドリリース)

Sword enhance(ソードエンハンス)」


N:ユウトが呪文を唱え終わると、ユウトの剣が光を放ちオーラを纏った。


ペア「へぇ、魔法も使えるんだ!魔法を使えて剣の才能もある...さすがあのお方に相応しい器だ!」


ペア「じゃあ僕も...」


N:そう言うと、ペアもすかさず呪文を唱え始める。


ペア(呪文詠唱↓)

「Call elemental spirit Wind

(コール◯エレメンタルスピリット◯ウィンド)

connect and releaseーー」

(コネクトアンドリリースーー)


ユウト「させない!」


ペア「っと危ないなぁ全く!」


N:魔法を使われたら勝ち目がない、そう思ったユウトは詠唱中のペアに斬りかかった。咄嗟の判断で詠唱を中断し、回避したペアだったが体勢を崩してしまう。


ユウト「このまま畳み掛けてやる!」


ペア「あわわわわわわ...」


N:勢いをそのままにユウトはスキルを発動する。


ユウト「Sword enhance skill limit Break」

(ソードエンハンス◯スキル◯リミットブレイク)


N:ユウトの詠唱に応えるように、剣が七色に輝き始める。


ペア「ちょっと...これ、まずくない...?」


ユウト「煌めけ光の剣よ!Shining Braid」

(シャイニング◯ブレード)


ペア「うわああああああ」


N:ユウトの剣は激しい閃光を放ちペアに襲いかかる、そして全身全霊の一撃はペアに命中した。ペアは間一髪の所で守りの構えをとったが、あまりの威力に吹き飛ばされ、轟音と共に一直線に飛んでいき、勢いをそのまま木にぶち当たった。


ペア「っかは...」


N:ペアは木の根元に座り込んだまま、ピクリとも動かない。


ユウト「息切れ)やった...のか?」


N:この時、ユウトはまだ気づいていなかった...


N:今戦っているペアが、なぜ絶望の二人組と万人に恐れられているのかを...


ユウト「息切れ)まずは、一人だ...とりあえず、トドメを刺しておこう...」


ディス「そこまでよ」


N:トドメを刺そうとした瞬間、背後から声がした。ユウトが、声のする方へ振り向くと、黒装束に身を包んだ怪しい1人の女性が立っていた。


ユウト「誰だっ!?」


ディス「坊やの命が惜しかったら、武器を捨てなさい」


N:怪しい女性は何かをユウトの前に投げ捨てた。それは、ボロボロのレツヤだった。


レツヤ「すまん...ユウ....ト...俺.........勝てな...かった...みたいだ......っがは、ごほごほ」


ユウト「レツヤ!?」


ディス「この坊や、すっごく強かったわ!手を抜いたら、私がやられていたかも知れないわね...」


ユウト「お前、レツヤに何をした!?」


ディス「何って、遊んであげただけよ?ちょっと楽しくなっちゃって、やり過ぎちゃったけど...ふふふ」


ユウト「っく...」


ペア「ディス...」


ディス「あら?そこに座り込んでいるのはペアかしら?随分と酷い有様じゃない」


ペア「う、うるさい...」


ユウト「1人は倒した!あとはお前だけだ!」


ディス「貴方、まだ気づいてないの?かわいそうね...」


N:ディスは、床に転がっているレツヤを思い切り踏みつけた。


レツヤ「ぐあああああ」


ユウト「やめろ!こっちだって人質はいるんだぞ!」


N:そう言ってユウトはペアを人質に取ろうとする。しかし、ペアは何事もなかったかのように立ち上がりキョトンとした顔でこちらを見ていた。


ペア「ったた、痛かったなぁ...ん?どうしたのかな?」


ユウト「っな?お前は、さっき僕がーー」


ペア「あれ?あんな攻撃で僕が倒せると思っていたの?あはは!君の頭の中は、お花畑なんだね!」


ユウト「なに...僕の攻撃は、全く効いていない...?」


ディス「ようやく、自分の置かれた状況を理解できたようね」


ユウト「たしかに、直撃していたはず...なぜだ...?」


ペア「プププ、特別に教えてあげるよ!...あの攻撃は蚊に刺された程度だったよ、大袈裟に吹き飛んでみたけど...どう?迫真の演技だったでしょ!...君は、弱いんだよ?あは、何も守れない無能なのさ!君のせいでお友達はボロボロになってる...かわいそうなお友達!君がもっと強ければ、お友達はこんな思いしなくてもよかったのに...あーあ、痛そうだなぁ...あは、あはは...あはははっはははははは!」


ユウト「あ...ああ...頼む...もう...やめてくれ.......」


ユウトN:目の前には幼馴染の親友がボロボロになって倒れている。

自分にはなにもできなかった。力不足だった。

絶望するには、十分すぎる出来事だった。

少しずつ目の前が暗くなり、胸が締め付けられる。


これ以上何が起こっても、きっと何も感じない程度には、感覚が麻痺していただろうか。


終わった...


思わず口から溢れていた。

何も考えられない。

全身は脱力し力が入らない。


3人で穏やかな日々を...


いつか、流れ星に願った事は、

叶うどころか目の前で砕け散っていった...

もう、何もいらない。


最初からわかっていたじゃないか。

束の間の幸せに浮かれて、目の前が見えていなかったんだ。


望んじゃいけなかったんだ。


もう終わりにしよう。


さようなら

優しい世界だった...



ペア「いいねいいね!その目、その目だよ!僕が見たかったのはその目!絶望して目の前が真っ暗になって何も考えられない、って顔!最高じゃないか!あはは、あはははは!」


ディス「あーあ、せっかく痛ぶり甲斐のありそうな子だったのに...」


ペア「いいじゃないか!絶望しすぎて、魂抜けちゃってるな...て感じ!」


ディス「そうね、器があればそれでいいし今日の仕事はもう終わりね」


ペア「あぁ、楽しかった!」


ディス「もうこの坊やはいらないわね、ここに捨てていきましょ」


レツヤ「っく...そ.....が....」


ディス「誰かに拾ってもらえるといいわね、坊や」


レツヤ「ユ...ウ...」


N:レツヤは、無惨に地面で転がっていた。


レツヤM「俺が無能じゃなかったら、俺が足を引っ張らなければ、俺がユウトと肩を並べられるくらい強かったら、こんな事にはならなかった...俺は...聖剣に認められる程に...強くなりたい...強くなりたい...強くなりたい...」


N:レツヤは心の中で強く願った。


ペア「さて、帰ろー!」


ユウト「ああ...あああああ..............」


ディス「うるさいわね!ほら、行くわよ」


N:ユウトは連れて行かれた。山奥の広場に1人置いて行かれたレツヤは、すでにボロボロで動ける状態ではなかった。そこへ、一足遅れてアイがやってきた。


アイ「もーまた帰ってこないよ...どうせこのあたりで2人して...って...なにこれ、酷い...」


N:彼女が到着した時、広場はメチャクチャになっていた。辺りを見渡すと、血溜まりを見つける。恐る恐る近づいていくと...


アイ「レツヤ?レツヤ!しっかりして!レツヤ!」


N:血だらけでボロボロになって倒れているレツヤを見つけた。アイは必死になって呼びかける。しかし、レツヤの意識はすでになかった...


アイ「お願い死なないで!死なないで!死なないで...なんでもいい!私に彼を守る力をください...」


N:アイも強く願った。


アイ「もう1人にしないでよぉ...うっうぅ...」


N:この後、アイは涙が枯れるまで泣きじゃくった。



N:山奥の広場、ここは願いが形になる聖域。流れ星が降る夜に強い想いで願い事をするとそれが形になり、願いが叶うと言われている。


N:この日、広場の夜空には流れ星が降っていたと言う。

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