全体を通して読みやすく、内容がするすると入ってくる作品でした。
タグですでに書いてあるので書きますがこの作品はハッピーエンドです。
自分は苦しい展開がありながらも紆余曲折を経てハッピーエンドに落ち着く作品が好みなのでこの作品はストライクゾーンど真ん中でした。
特にお気に入りのシーンは主人公とヒロインの初めての出会いです。
ちょっとだけ子供っぽいだけのなんてことない日常での出会いが彼らの人生を変えました。他人から見れば何やってるんだこいつらと思われるようなことでも彼らにとっては運命の出会いということが、出会いという出来事の偶然性や神秘性を感じさせてくれました。
最初にひと言。
『完成度』
非常に手堅く、丁寧に、ある意味やさしく整えられていて、逆にレビューするより、読む以外に他に何を書けばいい? ぐらいだと思う。
あらすじにもある少ない主要キャラクターで、ちゃんと対立軸が展開されているのも分かり易いストーリーのファクターだろう。
ある種、ここで伏線と答えまで用意されているのだから、細部は言わずもがな。
冴えない主人公というのも多々あるが、陰キャ具合はまあまあ等身大で個人的には、共感と好感を覚える。
さて。
この作品の肝である、恋の終わりが見えるというカウント条件だが、さほど斬新なアイディアではないだろう。漫画などの媒体では良く見かける手法だと思う。
なので、早い段階でテーマが示されているのが良い。タグからも分かるように、ハッピーエンドへのネタバレを喰らっているようなものだが、未知への期待と引き替えに、結果へと抗う過程、その道を追うことが出来よう。
冒頭の私の文章は、この作品はストレスフリーの読みやすさで、多くの読み手に安心して入れる間口の広さを持っている、と言い換えても良い。
繰り返す、作品の深部は、過程である。
タイトル通り、『君との終わり~』それに、悩み、抗い、絶望して、立ち上がるストーリーにある、と思っている。
結果、掴み取れる未来の尊さを問うているとも思う。
核心して言えるが、この作品を評価している、そんな方々の心の声を代弁させて頂こう。
「いい」
「こういうのでいい」
「これがいい」
得てして、語彙力は失われるものである。
ライトな恋愛小説の、入門書ここにあり。
多くの読み手に限らず、書き手のお手本にもなり得るクオリティ。
最後もこのひと言で締めよう。
『完成度』