こういうのが読みたかった……

寝る前のお供に、と思って何気ない手つきで読み始めた物語が、こんなにも心を温かくしてくれるなんて。僕の本棚にこっそりしまってしまいたいほどに、素敵なお話でした。
淡い夏の思い出は、僕らの心象風景に貫かれてこの上なく幻想的です。ですがあまりに奥秘めやかにしまってしまうものですから、硬くて鬱陶しい紙魚たちに喰い散らかされてしまいがちです。
そんな思い出を彼らの冒険がそっと取り戻してくれました。旧校舎に眠る秘密が、少年たちの恋路が、色鮮やかな風景となって僕の裡に蘇ってきたのです。
この爽やかさを、是非他の方にも味わってほしい。
そんな想いでレビューさせていただきました。
ありがとうございます。素敵な読書体験でした。