一風変わった、人と獣人の同性カップルの話。
百合好きな僕としてはドストライクな作品だった。
とは言いつつも、ファンタジーの裏の残酷な倫理観と、そこに生きる獣人や人間の秘めたる本能を惜しみなく描き上げていて、なんともグロテスクな彩飾を施しているようだ。
その点に関しては、百合と解さずとも僕らの日常に潜む寂情の発露に似た様相を呈しているのではないかと思えた。
つまり、自分のことを知って貰いたいという感情そのものは、やはりグロテスクなものなのではないか?
醜くて、理解され難い。
貴女のその彪乎で美しい牙で、私を食べて下さいなど、誰が言えるだろうか。
誰もが持つ本能の牙の存在を、僕らは隠し合って生きている。
だから、そうして開いた心の距離を埋めるには、
互いに牙を剥き合う必要があって―――
すみません、熱くなってしまいました。
重ねて言いますが、どストライクな百合で……――感謝。
とても面白い作品でした。