好きな人には刺さる

表題の通りの事柄を主題に置きつつも、見え方に趣向が凝らされている面白い作品です。
心が読める友人が主体ではありますが、外から見た視点で語られるため、結局登場人物の正しさが保証されない。そこで改めて作品について考える、という行為が発生し、向き合い方によって途端に奥行きの広がる素敵な短編です。

意識が読めたとして、人が一人で行動している時。そのどれだけが無意識なのか。能力を持て余す、それがどういう事なのか。友人だからと、特別意識せず助けようと、そう考えていたのだったら。
後味の悪さもしっかりとありますが、古典的なホラーとはまた毛色が違う、そんな作品です。