第29話 翡翠の耳飾り



№23 翡翠ひすいの耳飾り



 昨年の10月14日から始めたこのエッセイですが。

 7か月が過ぎて、今回で、やっと第1巻の『翡翠の耳飾り』の章の語彙を集め終わることができました。


 第1巻には『翡翠の耳飾り』のほかに、『花笛』『雲雀公主』『玻璃に祈る』の章が収められていますので、まだまだ先は長い話となりますが。でも、読み進めるほどに、気になる語彙は減っていくでしょうから、これからは、今までよりもサクサクと先に進める……。というか、願望です……。(笑)




 ところで先日ついに、『後宮の烏』の最終巻となる第7巻が出版されました。


 すでに書店は何店舗も覗いているのですが、まだ入手できていません。よく売れていて、田舎の書店まで届かないのかなと思ったりします。書店巡りが好きなので、いつの日にか書店で、『後宮の烏』の第7巻のほうが私を見つけてくれるまで、気長に待つことにします。




……ということで、今回、知ったかぶりの蘊蓄うんちくを垂れる言葉は、見出しの『翡翠の耳飾り』からということで、古代中国の男女が身に着けたアクセサリーについて、少しばかり考察したいと思います。



 まずは耳飾り。


 華流・韓流時代劇ドラマで映像で見るかぎりおいて、中国では女性のほとんどが耳飾りをつけていますね。男性はちょっとわかりません。韓流時代劇ドラマでは時代によって男女ともにだったり、女性だけだったりします。


 しかし、時代が現代に近づくにつれて、中国も韓国も男性はつけなくなっている確率が高くなり、そして、韓国では女性もつけなくなっています。


 日本もまた韓国と同じで、縄文とか弥生時代は男女問わずつけていたようですが、平安朝時代くらいから、まったく途絶えています。


 これは韓国と日本では、「親からもらった体に傷をつけてはならない」という儒教の教えが浸透して、耳に穴をあけることを嫌ったのではないかと想像するのですが。


 それにしても、翡翠はとても固い石だそうです。

 加工には、そうとうな技術が必要だったと想像します。




 そして、首飾り。


 これは、昔の中国も韓国も日本も身につける習慣はないようですね。


 清時代には高貴な人の正装で、衣服の上から真珠のネックレスをつけてはいますが、いかにも権力の象徴という感じです。素肌の首や胸もとを飾るイメージではないですね。


 なぜに、中国・韓国・日本において首飾りが流行らなかったのかと考えますに、これは、上着の衿を首元で詰めて着るという衣服の形からきているのではないかと想像します。とくに幾重にも色をかえた衿をかさねると、これはこれで宝飾品などいらないくらいに美しいです。


 ただ、唐時代の女性は、胸の谷間が見えるような衣装を身にまとったようですが、首飾りをつけている絵やドラマは見たことがありません。


 近況ノートに唐時代の美人画を貼りつけているのだけど、いままじまじと見返してみても、絵の女性は耳飾りも首飾りも指輪もつけていません。もしかしたら、東洋の女性は肌がきれいなので、素肌を飾りたてるアクセサリーはかえって邪魔だったのではと思ったりします。


 近況ノートの唐美人

 https://kakuyomu.jp/users/iyo-kan/news/16816927862723140881



 そして、指輪。

 これもまた、昔の中国・韓国・日本では流行らなかったようです。


 華流・韓流時代劇ドラマ時では、玉石を刳りぬいた太い指輪を、男性が親指(!)につけているのをみかけるくらいです。


 だたし、近代の清王朝の西太妃の肖像を見ると、指輪をいくつもつけています。そのうえに指の先にすっぽりとはめる指甲套しこうとうという長く伸ばした爪を保護するための飾りもつけています。


 清王朝の後期となると、西洋文明の影響があるのでしょうか?


 それにしても指輪とか指甲套とか、「手をつかう労働はいっさいいたしません」と言っているのと同じですねえ。


 袖の長い衣装、体の前で複雑な形に結んだ帯。

 というのも、家事とか肉体労働とかはしなくてもよい人たちなんだろうなと想像します。


 昔は着るもの身につけるもので、その人がどのような社会的地位であるか歴然としていたに違いありません。いまはそういうことがなくて、ほんと、よい時代だと思います。



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