3駅分
澪凪
定期が切れても行きたい
「今から行ってもいい?」
急に来たLINE
こっちはすっぴんパジャマメガネの役満だ
チャンスは逃すまいと
「どうぞ〜!待ってます」
とだけ送り、人生で一番速く身支度に取り掛かる
「もうついた」
ギリギリだった
集合場所へ行くと、そこには私服の彼がいた
「おつかれ〜なぎさ」
「いおりさんもおつかれさまです」
「とりあえずセブンでいい?」
とりあえずセブン、は彼の常套句
お酒が飲みたい合図
断る理由もない
「何飲むか決めました???」
セブンイレブンまでの道のりを2人でゆっくり歩く
「今日は終電で帰るから」
聞いてない情報を急に言われて戸惑った
すぐ酔えるように、一番強いお酒を買った
家に戻り、2人で乾杯した
「ねえ、今日泊まっていい?」
断る理由なんてない
「いおりさんのパジャマこれでいい?」
その言葉でいおりは泊まっていいということを理解できるほど酔いが回ってないらしい
「なぎさ〜お風呂借りる〜」
いおりがお風呂に入っている間、私は好きな曲を聴いていた
烏の行水、という言葉が相応しく、5分ほどで出てきた
「寝よっか」
どちらから分からない言葉が出て
2人で同じベッドに入った
「いおり、好き、キス、ぎゅーは?」
いおり先輩は無言ですべてに答えた
止まることない時間を私は楽しんだ
朝起きて現実に戻ると
いおりは、いおり先輩に
私は、後輩のなぎさに
「昨日のこと覚えてないんだよね」
いおりがそう言ってくれたおかげで
私も忘れる努力ができる
いおりの家まで3駅
きっと3駅分はその日のことを覚えているのだろう
次、いおりの家に行く時は
いおりの好きなご飯を作る約束をしている
いおり、せめて私のご飯を食べるまでは
私のことを見ていてね
3駅分 澪凪 @rena-0410
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