共同活動(3)

「着いたぞ。ここだ」


「ここって宇宙居住地の防衛施設じゃないか?」


 阿蓮が爆竜の女性達と京を連れて来たのは、ミサイル等を発射して隕石や宇宙海賊を迎撃するための防衛施設であった。


「言っておくが、ここはすでに俺が異常がないか確認しているぞ」


 生物の死骸や機械に取り憑き操る悪霊体デモナスは、宇宙居住地にいる住民を襲う時、防衛施設の兵器を利用して攻撃を仕掛けることが多い。だから宇宙居住地周辺で悪霊体退治の任務を請けた陰陽師は、まず最初に防衛施設に悪霊体が取り憑いていないか確認するのが基本である。


 だから京はこの宇宙居住地に来てすぐに防衛施設を調査して異常はなかったと言うのだが、阿蓮は特に気にした様子はなかった。


「そうか。だけど念には念をだ。行くぞ」


『『はい。分かりました』』


「……」


 防衛施設へと足を踏み入れる阿蓮の後を、五人の爆竜の女性達は何の疑いも無しに続いて行き、京も何か言いたげな表情をしたがついて行った。


 阿蓮達が防衛施設の内部を進んでいると、そこで働いている職員が彼らに気づいて話しかけてきた。


「こ、これは陰陽師殿。きょ、今日は一体どのようなご用件でしょうか?」


「大したことじゃない。ここに悪霊体がいないかの確認だ。先日、後ろにいる京が確認したのは聞いているが、それでも念のためにな」


「そ、そうでしたか……」


 職員は阿蓮が悪名高い陰陽師の集団、五大魔狂の一人「土属性の爆弾魔マッド・ボマー」であることを知っているようで機嫌を損ねないように慎重に話して、それに返事をしながら阿蓮は相手に自分の意思を伝達する効果を発揮する式器神ウェポンユニットを使って京に声を使わずに話しかける。


『京。ちょっといいか?』


『……何だ?』


『今から爆竜の女性達に働いてもらうから気づいていないフリをしていてくれ』


(彼女達に働いてもらう? 一体何を………っ!?)


 阿蓮から指示を受けた京が目だけを動かして爆竜の女性達を探すと、いつの間にか阿蓮達から離れた位置に移動していた五人の爆竜の女性達は唯一の衣服である前掛けを脱いで裸となっており、それを見た京は思わず声を上げそうになった。


(どうして急に裸に……って、アレは!?)


 驚く京が思わず裸となった爆竜の女性達を凝視していると、彼女達の姿がまるで宙に溶けるかのように消えていった。その様子に再び驚く彼に、職員から防衛施設の内部の説明を聞いているフリをしている阿蓮が声を使わずに話しかける。


『どうだ? 驚いたか?』


『……彼女達は一体何をしたんだ? 式祈神スキルや式器神を使った気配はなかったぞ?』


 どこか面白がるように話しかけてくる阿蓮に、京が爆竜の女性達が消えた場所を見ながら聞くと、阿蓮がネタばらしをする。


『あれは爆竜の女性達が「ご先祖様」から受け継いだ力だよ。お前も彼女達から聞いただろ』


 阿蓮に言われて京は、防衛施設に来る前に爆竜の女性達の服装について言った時に、彼女達からそんなことを言われたのを思い出す。


『確かに言っていたと思うがご先祖様の力って?』


『彼女達、爆竜の一族は俺の遺伝子情報とある惑星で発見した恐竜の化石から作り出した式姫神サポートユニットだ。そしてその恐竜はどうやら体色を変化させて周囲の景色に溶け込む能力があったみたいなんだ。彼女達が言っていた力はそれのことだ』


 式姫神は創造主である陰陽師の式祈神と共に、もう一つの遺伝子情報の元である生物の身体的特徴を受け継いで産まれる。爆竜の女性達は先祖である恐竜から受け継いだカモフラージュ能力で姿を消したのだと、適当に話を切り上げて職員を追い返した阿蓮が説明すると、京は彼に次の質問をした。


『彼女達の姿が消えた理由は分かった。それで彼女は何処へ何をしに行ったんだ?』


『……まあ、ちょっとした保険だ。この任務が終わったら教えるさ』


 このような場所で姿を消した式姫神に隠密行動を取らせるだなんてただ事ではない。そう考えて聞いた京だったが、阿蓮はこの質問にはまともに答えようとせず曖昧に誤魔化そうとするのだった。

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重爆のスターゲイザー ~宇宙でもトップクラスで危険な陰陽師、巨乳だらけのハーレム惑星の支配者に~ 小狗丸 @0191

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