第141話 玲side腕の中に捕まえる
俺はケーキに悶える景を眺めながら、少し呆れた気持ちで食べ終わるのを待った。景は俺が今どんな気持ちで、何考えてるのか分かってるのかな。俺が景を決めきれないのは、どうしたって嫌われるのが怖いからだ。
でも怖がっていたら、きっと今の関係のままズルズルとするんだろうな。そして俺はずっと他の男が景にちょっかいかけるのを、そして景が流されるのを指を咥えて見てなきゃいけないんだ。それはダメだろ。
俺が他の子と、景にする様にしたらどう思うかって思い切って聞いてみた。返事次第では、俺は玉砕するかもしれん。そんな質問は予期しなかったかのように、景は呆然と俺を見上げてるばかりで。
景がそうしたいのかって聞くから、思わず意地悪な気持ちになってそうしたいって言ったらどうするって聞いたんだ。そしたら突然、景は立ち上がると荷物を持って玄関まで逃げ出した。あれが本当の脱兎の如くだ。
俺は一瞬呆気に取られたけど、玄関でかろうじて捕まえた。こっちを見ない景が何を考えてるのか知りたくて、俺は力任せに景を振り向かせた。俺を見上げる景の顔を見たら、俺の心臓はぎゅっと引き絞られてしまった。
俺はちょっと夢心地で、顔を見られたくなくて暴れる景を抱きしめると優しく口づけた。なだめるように、優しく口づけてたら、景がトロンとして俺にしがみついてきたんだ。
「景?…俺が他の子と、こうやってキスしたらダメだろ?」
俺が囁いたら、景は俺の顔を見つめてコクって頷いたんだ。
「じゃあ、景は俺のものだ。俺も景のものだ。な?」
景の赤らんだ頬と、頬に残る涙の跡が可愛くて、俺はもう我慢の限界だった。俺は馬鹿みたいに浮かれて、この腕の中の華奢な景をぎゅっと抱きしめた。誰にも取られないように。
「…玲、私の事怒ってない?私、多分ずっと玲のこと振り回して来たでしょ?玲が私以外の女の子とキスしたらって考えたら、胸が痛かった。ここには居られないって思った。
…自分は勝手なことばかりしてきたのに、何言ってるんだろ。…私には恋だとか、恋愛のことはよく分からないけど、玲のことは他の子にとられたくない。
玲が私の側に居なくなるなんて、全然考えたことないんだもの。私、本当自分でも嫌になるくらい我儘だよね…。玲がなんで私のこと呆れて放り出さないのか、本当理解できない。」
男装女子はなぜかBLの攻めポジ コプラ @copra
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