不運な事故で妻を残して亡くなってしまった主人公は、遺影の中から自分の家の中を見ていた。主人公の家では猫を飼っており、主人公はその猫に乗り移ることができると判明する。猫の体を借りて、妻を守ろうとする主人公。
どうやら、乗り移れるのはある法則があるようだ。
そんな中、主人公がいつも乗り移っていた猫までも病死してしまう。猫が死んだことで、乗り移り先も愛猫も失い、主人公は悲嘆にくれる。しかも往生際が悪いと、三途の川の向こうから呼ばれているのに、主人公は無視していた。
主人公はありとあらゆる手を講じて、他人に乗り移り、様々な災難から妻を守っていく。そのことを知っているのは、ごく限られた人間だったが、やがてひょんなことから、妻にも乗り移りのことがばれてしまい……。
さて、どうなる⁉
主人公の胸の内がコメディタッチで描かれており、死後の世界をガン無視しながら色々な人に影響を及ぼしていく姿が面白かったです。
故人が主人公という設定にも惹かれました。人の死や愛猫の死、大人の恋愛などを扱っているのに、重たいという印象は受けませんでした。
是非、御一読下さい。
愛する奥さんを残し、不慮の事故で亡くなってしまった大島さん。
思い残した事はたくさんあるのですから、成仏なんてできません。
というわけで、一周忌を迎えても尚、幽霊として仏壇に居座っていた大島さん。
愛する奥さんの三葉さんは、一人で大丈夫か。悲しんでいないか。何かしてやろうにも、肉体の無い幽霊ではどうすることもできません。
しかし、肉体が無いなら借りればいいのです!
というわけで、愛猫や生前仲の良かった男、更には三葉さんに乗り移って、やり残した事をやっていきます。
やり残したことの多くは三葉さん絡み。大島さん、愛妻家なのですよ。
だけどその三葉さんに、男の影がちらついているからさあ大変。
確かに大島さんは亡くなりました。亡くなってから一年経ちました。三葉さんが再婚したとしても、何も問題ありませんし、そうした方が彼女のためなのかもって、頭では分かっているのですが、やっぱり複雑です。
幽霊が主人公ですけど全然怖くなく、コメディタッチの地の文には何度も笑わせられました。
愛する妻を見守る幽霊男の、ちょっと変わったヒューマンドラマです。