第6話 ボツになりそうなプロローグ②
みなさん、こんばんわ。
本日もご健筆のことと、ご拝察申し上げます。
前回は現在執筆中の拙作をご高覧下さり、ありがとうございました。また、コメントを下さった読者の方に重ねて御礼申し上げます。
「七つの星は空天に飛び去りて――花街の高級遊女が、一休さんに一目惚れ!?」のプロローグ部分。 https://kakuyomu.jp/works/16816700427829498485/episodes/16816927860776643859
このお話のプロローグは、歴史事実と言い伝えを組み合わせて創作しました。実際、一休と蓮如は親交があったそうです。
臨済宗の僧侶なのに浄土真宗の行事である
なんか、このふたりイイね!👍 というワケで書いてみました(笑)
そして、このプロローグに続くお話には、元ネタとなる古典作品があります。その古典作品は、拙作『わたりネコのアノン』や『冒険者ギルド9625』に登場したティカレストとスピカのモチーフになりました。
それにしても、なぜまた歴史ジャンルを?
じつは昨年の11月頃に仕事関係でショッキングなコトがあり、アノンもアロウも貸金も全く筆が進みませんでした。
もっとも、お話を公開しなかったとはいえ、全く何もしなかったワケでもありません。近況ノートでも触れましたが、創作の書籍を読んだりプロットをいじったりしていました。
そのなかで、書いてみようと思ったのが「七つの星は空天に飛び去りて」です。いつかラノベで使ってやろうと思っていた「原典」を、自分なりの解釈・視点を加えて表現してみたくなったのです。
原典のオープニングは、一休宗純が大阪の住吉に移り住んだ経緯からはじまります。そして、ある遊女の噂を聞き酒の勢いも手伝って堺の花街へ出かけて行きます。
この原典のストーリーを維持するとしても、少し手を入れたいところです。そこで、サブプロット(サブストーリー)として、一休と蓮如の話を加えてみようと考えました。
そうして書いてみたのが、前回のプロローグ。
なのですが……、ここで問題が生じます。
カクヨムで公式連載されているフィルムアート社『きちんと学びたい人のための小説の書き方講座』で「良いオープニング(フック)の条件」というのがありました。
それが、コチラ。
①物語の始まりより前から書き始めていない。
②オープニングで人物が登場する。それが主人公なら、なおよい。
③対立、摩擦、ぶつかり合いで幕が開く。
④動きのある描写で始める。
⑤舞台設定を伝える。
⑥「場面設定」の映像イメージに読者を誘いざなう。
⑦作品全体のトーンが伝わる。
どうでしょう?
前回公開した「プロローグ」は、この条件をすべて満たしているといえるでしょうか?
まず①の「物語の始まりより前から書き始めていない」です。まさに、プロローグは不要というコトのようです。
……え? いきなりアウト? うーん、とりあえず保留。
②オープニングで人物が登場する。それが主人公なら、なおよい。
これは、OKでしょう。一休宗純が登場します。
③対立、摩擦、ぶつかり合いで幕が開く。
そういえば、最近コンビニで立ち読みした『元彼の遺言状』というミステリー小説がありました。たしかに、「思い通りにいかない恋人同士」のやり取りから始まっています。
対立? 摩擦? ぶつかり合い? 一休と蓮如の掛け合いが、これにあたるといえるかどうか。敵対、反目、反抗のようなイメージではないですね。
むしろ、じゃれ合い?(笑)
④動きのある描写で始める。
動き、……ですか。
寺の小僧が門前を掃き清めているときに、一休が門の前にあらあれます。
激しい動きではないですね。このため、どちらかと言うと静かな立ち上がりとなっています。
よく考えてみるとワタシの作品のオープニングは、『ディヴェルト・アポリス』を除き、どれも割と静かな立ち上がりの作品ばかりですね。
⑤舞台設定を伝える。
室町時代の寺、遊郭ということで、一応、伝えていると思います。
⑥「場面設定」の映像イメージに読者を誘いざなう。
たぶんOK?
⑦作品全体のトーンが伝わる。
おそらくOK?
全体として、なんか微妙? ③④が弱いカンジ。
というか、①がダメじゃん?
ところで、なぜプロローグは不要なのでしょう?
執筆する側としては、なんか書きたくなりませんか? プロローグ。
けれども、プロローグのPVを見をみてみると、割と多くの読者がプロローグを飛ばして第一話から読み始めています。
なぜでしょう?
フィルムアート社『きちんと学びたい人のための小説の書き方講座』「多すぎず、少なすぎず。覚えるのは全部で10個だけ。」(https://kakuyomu.jp/works/1177354055193794270/episodes/16816452220800021278)に、ワイランドの著作を引用した次のような説明があります。
『プロローグの最大の欠点は「始まりを二度体験させる」ことです。読者はまず、プロローグに書かれた時間/設定/人物を読み、その世界に入る心の準備をします。なのに、準備ができたと思ったらプロローグは終了。次のページをめくると「第一章」と太字で書いてあり、またもや新たな舞台設定を読まなくてはなりません。』(『ストラクチャーから書く小説再入門 個性は「型」にはめればより生きる』)
つまり読者にとってプロローグは、物語の始まりでもなんでもなく、ただの蛇足と理解されてしまうようです。
ちょうど、大学の第一回目の講義と同じカンジです。多くの先生は「ガイダンス」と称した授業をするので、一年生が受講する講義以外は出席率が極めて低くなります。そして翌週、受講者が三倍くらいに増える(笑)。
読者は「どうせ話の本筋に影響ねーし」という意識を持つのかもしれません。
「ええーっ! プロローグ入れちゃったよ💦」と思った人もいるでしょう。ご安心ください。
ワイランドは、プロローグは絶対に不要と言っているわけではなくて、多くの場合不要と言っているのです。ただし、プロローグを置いてもよい条件は二つあるそうです。
①読者の関心を掴む。
②読者の関心を掴む文章が、本筋と離れていない。
……②の「本筋と離れていない」という表現が、いまひとつよくワカラン。
どうなると、本筋から離れたといえるのでしょうか? もうチト、具体的にプリーズ!
うーん。プロローグの舞台設定を第1話からの舞台設定と異なるモノにしてはいけないというコト?
この条件を満たしているワタシの作品は……、『貸金業務取扱主任者に合格するぞ📕』(https://kakuyomu.jp/works/16816410413879601463)でしょうか。
といっても、プロローグとする必要もないような?
そして「七つの星は空天に飛び去りて」の場合、「一休が語る過去の出来事」が本筋になります。
すると、この作品のプロローグ部分は、本筋と離れてしまうことになるような?
え? まさかのボツ⁉
そしてワイランドの言葉したがえば、主人公が過去の出来事を語る展開は、ほとんどの場合アウトになりそうです。個人的には、ワタシの好きな展開ですケド。
『わたりネコのアノン』(https://kakuyomu.jp/works/1177354055568386652)も、そんな展開ですね。
うーん。
「七つの星は空天に飛び去りて」の大まかなストーリーの流れは、つぎのようにを考えていました。
1.一休と蓮如との対話(プロローグ)
2.一休の過去語り。一休と遊女とのお話(メイン)
3.一休と蓮如との対話に戻る。そして後日談(エピローグ)
話し全体からすると、プロローグはエピローグと連続したお話になります。
ということは、読者に始まりを二度体験させるどころか、終わりも二度体験させることになりそう。
コレ、やっぱりアウト?
そういえば、「過去語り」をメインプロットに据えた小説や漫画、映画でヒット作ってあったっけ?
むむむ……。ぱっと、思い浮かびません。
そういうワケで前回公開したプロローグは、今まさにボツの危機にあるのでした。
ワタシの頭のなかは、いま、ぐるぐる状態。
さて、どうしましょうか?
忌憚無きご意見などいただければ、幸いです。
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