第53話 訪問者
みこと邸では
お互い連日の戦闘から検査の連続で表情には出さないまでも相当疲れが溜まっていたのだろう。
研究所から車で送られ家についた途端みことはベッドへ身体を投げ出しそのまま寝入ってしまった。
そのみことの行動に呆気を取られながらも、
ここに来るまで
余計に今の状況を噛み締めている。
「ようやく起きたか、もう昼近いぞ、みことよ」
「仕方ないじゃない、私もここ数日は少ししか寝てなかったんだから」
「そうは言うが、昨夜も我の晩御飯が無かったぞ、今朝も起きぬし」
「それはごめんなさい、すぐに用意するわね」
みことは、
「そういえば、あなたどれ位食べるの」
いくら何でも、巨大化している
最小サイズ(チンチラ位)に合わせのでは幾分少ないだろうか。
「研究所では食事は別々だったし、教えてもらってればよ良かったかわね」
「そこまで気にする事ではない。
流石の我も自分で食していた食事量位は把握している。」
「研究所でもそうであったが、大体大型犬と同じ程度の量で大丈夫だ」
どうやら、
そのサイズの食事量が適正らしかった。
「そう、それは良かったわ、あげ過ぎておデブになっても大変だものね」
みことは
「これはなんだ。」
「別に毒とかは入ってないわよ」
「そうではなくてだな、見た事の無い食事であったのでな」
「牛肉ベースに野菜とかブレンドしたやつよ、今あるもので作ったから
名前はないけど、今度考えておくわね」
みことはそう言って、
「美味いな、これは研究所の食事とは段違いだぞ。」
「ありがとう、それなら尚更今のメニューに名前必要ね」
みことはそう言って
「さぁ、
みことは食事を終えてから唐突に
小谷周平と木崎は研究所から二人が帰ってきたとの情報を入手し現在みこと宅の近くまでやって来ていた。
「そう言えば、
小谷周平は白浜事後は自宅待機状態と成り、みこと達が戻って来るまでは特にやることが無く、木崎への定時連絡と状況を軽く聞く程度であったため、確認も含め改めて質問をした。
「えぇ、そうですよ、
「大変ですよね、政府の任務だなんて」
「小谷君、何か他人事では無いですか?」
「えっ?」
「君もそうなんですから、しっかりして下さいね、それではすぐに
木崎は少し冗談交じりに小谷周平へ苦言を呈していた。
「そうでしたね、白浜事件の後はゆっくりしていたのでなんか実感無くて。」
「大丈夫ですよ、すぐに嫌でも実感しますから」
と木崎に若干脅されながらも、二人は談笑しながら目的地であるみことのマンションのエレベーターへ乗り込み最上階を目指す。
「ここに来るのも久しぶりですね」
そう、このマンションも高輪真の事件以来しばらくぶりであったので妙に懐かしく感じていた。
「そうですね、まあみことさんはここで生活しているので会議とか何かと来る事はあるんですけど本来は政府の用意した施設とかで会合開くんですよ」
木崎は通常は異能者宅へ頻繁に訪れることなど滅多にない事を告げながら小谷周平とみことの部屋の前までやって来ていた。
木崎は躊躇なく合鍵を使って目の前のドアのカギを開ける。
そして、二人が部屋へ入って行くと奥から声が漏れ聞こえて来た。
「ちょっと
奥から聞こえて来たその声はみことのもので間違え無いが、余りにも色っぽく、そして何よりも――――
「みことさん、木崎です、大丈夫ですか」
木崎はまさかと思い銃を片手に侵入しドアを開ける。
そこには、ベッドに俯せになり
「何そんなに慌てて」
「いや、その、、、もしかして獣〇かと、、、」
「はっ、なわけないでしょーが」
みことは木崎のまさかの発言に全力でこ拳を振るいノックアウトした。
「じゃー、一体何してたのかな?みことちゃん」
聞きなれた声が聞こえて来た、声の方向を向くとそこには新藤奏の姿があった。
「低周波マッサージしてるだけよ、、、ちょっと疲れてたから、」
みことは恥ずかしそうに奏でに返事をしそのまさかの返答に一同笑いに包まれた。
ただ、一人を除いて―――
スピリット・オブ・デザイア 戸松 亮 @tomatsu-baccasu-ryou
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