第9話 家族
…………
「お父さんお父さん!ねえねえもっと遊ぼうよ!!」
「ハッハッハ!エルンは元気だなあ!さすが私の娘、次期魔王はエルンしかいないな!」
「・・・まおうってなあに?」
「ん?魔王って言うのはなぁ……国民をjehegejsjs」
突如男の顔が溶け始め、血まみれになる
……………………
〜魔界学園寮a棟〜
「……!……ハァッ……ハァッ……」
「どうしたのエルン!?うなされてたよ!」
心配そうにマーズは駆け寄る。なぜ彼女の家で寝ていたかと言うと前回の事件もあり、エルンは「ある組織」に狙われていることをカイラは推測した。
そこで、カイラはエルンの身の危険を案じて魔界のなかでも屈指の実力者でもあり、彼女の友達でもあるマーズの寮部屋にしばらく泊める事にした。
「……なんでもない。ちょっと悪い夢を見てただけ。」
「エルン…………と、とりあえずさ!ご飯できたから一緒に食べよ!」
「うん…」
マーズが配膳をする、エルンはゆっくりと彼女が作った料理を口に運ぶ。
「ど、どう?おいしいかな?私っ[家族]以外に料理振舞ったことないからさ……
あっ……ごめん……」
「……いいよ。気にしてない」
マーズの何気ない言葉でもエルンの心には深く刺さった。エルンにとって「家族」とは何か上手く理解する事ができなかった。
ただただ重い時間が過ぎていく……と思った矢先にエルンが口を開く。
「私さ…家族のほとんどを戦争で亡くしたのは知ってるよね?」
「うん…」
「お父さんも……お母さんは私を産んだ時に亡くなったらしいけど…兄貴も戦争で行方不明になったまんま。仲の良かったお手伝いさんも全員燃えちゃったし、私には何も無かった。
その事に前の私は耐えられなくて自分の心を塞ぎ込んだ。学校も初めの頃は誰とも喋らなかったし、もちろん誰からも喋りかけられなかった。」
「……」
「だけどマーズ、あなたのおかげで再び心を開かせてくれた。」
「……!エルン…!」
「あの時の私に何度もマジックバトル挑んできてくれたよね…」
「うん…全然勝てなかったけどね(笑)でもエルンのおかげで魔法も上達できたし!」
「そうだね……確かに最初はうっとおしかったけど何度もあなたと接していくうちに、私は人と関わることの大切さをあなたに教えてもらった。
…もう家族はいないけどマーズ、あなたが家族みたいなもの。」
「ううっ…ううっ……えるゔゔゔゔゔゔん」
「ちょっ…ちょっとマーズいきなり泣きながら抱きつかないでよ!」
「エルン…私もエルンと友達で良かった!」
「うん……あ、お風呂入ってくるね」
「はーい!」
〜学園寮・マーズの部屋 風呂〜
「…っもう、マーズってば…」
風呂で自分の体を洗いつつエルンは、先程の出来事を思い出し少し赤面する。
綺麗な銀髪の髪を洗い流し、その華奢な体ごと湯船に浸かろうとしたその時
「エーールーーンーー!!一緒にお風呂入ろー!!!」
「!!?ちょ…ちょっとマーズ!?何でいきなり!?」
「いやー実は寮生が1日に使える水の量決まっててさ…一緒に入った方が節約になるかなっと思って!」
「もう…!早く言ってよ!」
「えへへ…ごめんごめん!」
「…………」
「……?どうしたのエルン?」
エルンはマーズの肉体を凝視する。同級生とは思えないその豊満な胸をむき出しにして見せられるのはエルンにとって屈辱でしかなかった。
「……ごめんもう上がる」
「ええーー!もう上がっちゃうのエルン!?もっと一緒にお風呂はいろーよ〜!!」
まるで突風かの如く浴室を後にしようとするエルン、だがマーズがそれを許すわけがなくエルンの腕を掴んだその時。勢い余り足を滑らせ2人とも転倒した。
「いてて……エルン大丈夫?」
「うん…だいじょうb……!!!」
エルンが倒れた矢先に、そこには大きな2つの山があった。エルンは苦悩した、なぜ彼女にはあって自分には無いのだろうと。黒い感情が一瞬彼女を覆った。
「きゃっ!エルンちょっとぉ…ソレ揉んじゃだめえ!」
「………………【アイシクルブラスト】」
「ちょ……なんで私がああああ!!」
翌日マーズは風邪を引いた。彼女曰く原因…というか理由は不明らしい。
魔王の娘が圧倒的才能で魔王となり勇者達を蹂躙していく 黒米 @ao1666
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